
新しいクラウンについて、もう色々な意見が出尽くした感があるが、僕的には、ある意味で最も最近のトヨタを具現化したモデルと感じている。
最近の日本車のデザインはとは良く聞かれるセリフだが、その最たるメーカーがトヨタではないかと感じている。元々、トヨタのデザインは一過性の、その時代に即した売れセンのモノが多かったが、それがどうも最近は、それが当てはまらないのだ。
以前のトヨタ車のデザインは、全体で観るとナカナカと思わせていたのだが、よく見ると、特に側面の「面」が単調で陰影の変化が無くつまらないものが多く、その「面」の表情の無さを、プレスラインで何とかしようという傾向があったように思える。
それが最近では、全体までに及んで、ごちゃごちゃとした線が至る所に走り、全体で観てもまとまりのないモノになってしまっている。新しいヴィッツが良い例だろう。
フロント部も幾重にも線が走り、それを堺に面が折り返され、リアも同様な造りだから、見ていてビジーなイメージを受ける。
クラウンは、流石に気合が入って、その傾向が随分と緩和され、例えば、フロントからリアに流れる下側のプレスラインは実に面の折り返しが絶妙で、躍動感があって良いのだが、問題はショルダーの線だ、特にCピラー付近は、妙に線と面がポップアップされて、そこだけが全体からみると浮き上がっている様に見えて非常にバランスを崩している。
更に、リヤの造詣はサイドからリヤ正面に至る部分で、バンパー部だが、一本線が入った後に、さらにRで面が折り返されており、なんでRの手前で一本線を入れるんだい!と非常に息苦しさを感じてしまう。
その点、フーガなど日産車の処理の多くが、線に頼らずRによる切り返しのみで面が構成されているので実にスムーズに面が繋がっており、またそれが絶妙な陰影を醸し出して良い雰囲気を出している。
リヤの造詣で酷いのが86だ。
線によって、面が折り返されているので、全体は丸みを持って、絶妙に塊感を出しているのに、それが斜め後ろから見ると、パキンパキンと面が折り返されており、全体のまろみと整合性が無く違和感を感じてしまうのだ。
そんなトヨタでも、例えば二代目のセルシオなどは、余計な線が一本も無いのに、全体の面の張りがあって、シンプルでありながら、存在感のあるデザインを完成させていた。
それがねぇ、最近のトヨタ車は・・・となる訳だ。
国産車にあっては、日産とマツダが非常にデザインの質が高いと思うが、如何せん、それはボディの大きさを生かしたデサインであって、洗練度と言う点ではまだまだの様な気がしてならないのだ。
まぁここ数年のフォルクスワーゲンやメルチェデスも、なんだかぎこちないデザインなんだが、あっちは、それでも上手にまとめて来ているので、日本車の様な煩雑さや安っぽさを感じさせないのは流石だろう。
日本のメーカーは、どうもミニヴァンばかり一生懸命になっているうちに、基本的なデザインの面の質とかメッキの使い方が下手になってしまったように感じてならない・・・
街を走るクルマを見て、ときめかないのは僕だけだろうか。
新しいクラウンの挑戦的なフロントマスクを見るに付け、じゃあ全体のバランスでは?と感じてならないのが今の僕の心境なのだ。
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Posted at
2013/01/16 00:18:56