
昭和40年代初頭。高速道路が開通し、国民の所得が上がって来た。
そんな折、国内の自動車メーカーも、時流に沿ったクルマの開発が急がれる様になった。
軽自動車のメーカーと言うより、モーターサイクルでは成功を収めていたスズキであったが、さらなる発展の為に、四輪の部門でも他車を驚愕するモデルの開発が急がれた。
ポイントはこうだ、
・高速の開通によって時速100Km/hの連続走行が可能な事。
・それまでの国産車のデザインとは一線を画するデザイン性の高さ。
・イニシャルコスト、ランニングコストが安価な事。
・軽自動車規格であっても大人四人が満足する居住スペースを確保。
・豪華さ
早々にデザイナーを欧州に派遣し、技術部門はエンヂンの開発が急ピッチで進められた。
そして登場したのが1967年春にリリースされた、LC10型こと 「フロンテ360」 であった。
それまでの国産車には無かった、まろやかな曲面と曲線が融合したデザインが多くの人の目を惹き付けた。
コークボトルをモチーフにした、曲面と曲線を織り交ぜたエクステリアデザインは、それまでのボッテリとしたデザインが多かった国産車、とりわけ軽自動車の中では異彩を放っていた。
このデザインは、見かけだけの為に生まれてのでは無く、軽量化の為にモノコックボディを採用するにあたって、強度を増すために必要な曲面と曲線の機能性からの要求であり、さらに高速走行時の空気抵抗の低減にも考慮した結果として生まれたデザインであった。
そして通常、曲面を多用したデザインだと、居住性が犠牲になってしまう事が多いのだが、スズキのデザイナーと生産技術屋は、機能性とデザインを見事に両立させていた。
LC10を正面から見ると、実はウィンドゥ部が、ほぼ垂直に立っている事が分かるだろう。曲面基調と見せて実はココを立てることによって肩周りから頭上空間を確保しているのだ!
一見すると、曲面と曲線ばかりで構成されているように見えるエクステリアだが、真正面から見ると、ウィンドゥ部がほぼ垂直になっている事が分かるだろう。
こうする事によって、限られた軽自動車の空間、具体的には肩周りから頭上の空間を創出しているのだった。
コークボトルをインスパイアしたデザインは、この後しばらく国産車のデザインの主流となった。特にリヤをポップアップしたデザインは多く見られた。
それを感じさせないデザイン力は、現代にも通ずる・・・いや、現代のカースタイリングの世界より遥かに技量の高いモノだったのだ。
果たせるかな、LC10のフロンテ360は大いに注目を浴び、LC10を専用に生産する「磐田工場」が稼働した。
LC10フロンテの快進撃はデザインだけでは無く、エンヂンにも及んでいたのだ。
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Posted at
2015/04/05 11:45:16