
船舶関係や電力関係、そして鉄道に詳しい方なら、そこに使われる ディーゼルエンヂン のスペックを鑑みて、クルマより凄いのではと感じているに違いない。
ターボチャージャー、まぁ業界人なら「過給機」って言ってしまうのだが、戦後すぐから舶用や、陸用の大型のディーゼル機関にはなくてはならないマストアイテムだった。
ただ、初期のころは過給機のインペラの機械加工ができず、真っ直ぐに削りだしたアルミの羽を金型に当てがって熱をかけて曲げていたものだ。
それが、工作機械や工具の進化によって、僕が過給機を作っていたころになると、上下2分割だが削り出してインペラを作れるようになった。
僕が加工して頃の最先端だった、2分割式のインペラ。羽が長短あるのも最先端だった。
だから、舶用のディーゼルも陸用の大きなディーゼルも一見すると、重くて大した回転もと思う向きが多いと思うけど、大体はステレイト6で、それ以上の気筒数になるとVヴァンクで、Vヴァンクのエンヂンになると、 ツゥインチャージャー、ツゥインインタークーラー で、ボアがでかいから吸排気を効率よくするために4ヴァルヴが当然だったのだ。
皆さんが身近に乗っているフェリーのディーゼルエンヂンのヘッド。まぁ業界では中型の部類なんだが4ヴァルヴなのがよくわかるだろう。
ただ、エンヂンの高さがあるので、さすがに OHC なんてありえなくて、OHV でクランクからプッシュロッドで吸排気の4弁を押しているのだ。
これが僕がいた会社で作っていた ボアが340mm V型16気筒ツインチャジャー、ツインインタークーラーの舶用ディーゼル。業界的には 4弁二重加給、空気冷却装置付きって言っておりました。
僕が手掛けた最大のボアは 460mm で、あと少しで4サイクルが成立しなくなる大きさだった。そして気筒数は V型 18 気筒 で、その大きさも然ることながら、V型の姿は美しさも感じるものだった。
これが鉄道の世界になると、気動車と客車では、また違うのだが、客車に関していえば、水平対向のエンジンも結構あって、その外観の機能美に作っている本人も惚れ惚れしたものだ。
ただ、残念ながらコストの問題で、単純な横型のストレイト6やストレイト8気筒に代わり、
かつての水平対向のエンヂンはコストの関係で絶滅して、通常のエンヂンを横に倒した横型が主流に。
さらにコストと前後スペースの削減の要請から角度の大きなV型のエンヂンが多くなったものだ。
そうそう、面白いのは鉄道のディーゼルの駆動にはATが使われている事も意外に知られていないスペックだったりする。
クルマのレースシーンでは、当たり前のコンロッドの磨きも、当然のようにやっていたし、考えてみれば、一回の航海で何か月も港に入らない船にも使われる訳で、如何に壊れないかという観点で、結構な手間暇をかけてエンジンを作っていたのだ。
使用環境や要求性能の差という単純な言葉で片づければ、そうしたディーゼルたちの素性を片付けられるが、そこで培われた内燃機の技術は密かにクルマのエンヂンにもフィードバックされていたことを僕は、昔の業界人として、皆さんに知ってほしいと思った次第なのだ。
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Posted at
2015/08/22 11:34:50