2020年07月07日
成長 七夕生まれの君へ。父より
七夕生まれの君へ
お誕生日おめでとう。
今年で君も17歳になりました。つい昨日まで、お父さんの後ろについて来るだけの印象がありましたが、今では、自分で考え、そして行動して、その行動力にお父さんもお母さんも驚くことがしばしばです。
足も動かない、腕も上がらなくなってしまいましたが、そんなハンディを感じさせない君の明るさには本当に関心するやら驚くやらで、そんな前向きな性格を与えてくれた神様に感謝の気持ちでいっぱいです。
ただ、大きくなった君の生活をサポートするには、親としても正直厳しい事も事実で、最近は入浴や、学校の通学にデイサービスを利用する事が多くなりました。
出来るだけ外に出て、学校を卒業しても、独力で行動できるようにと考えて、週末などに、デイサービスの方と二人だけで外出する事を増やしました。
大好きな博物館めぐりや、水族館、模型の電車を走らせに出てゆく事も多く、そんな時、そうさせている自分がいるのですが、君が居ない家は寂しく感じてしまうのには困りました。
一番最初に、この病気が分かった時、何歳でこうした症状が出て、何歳でと予言者の様に言われた事が、たしかに、ひとつひとつ、現実になってしまっていますが、症状が軽いうちに十分な対処療法とリハビリを受けることができ、そのおかげもあって、だんだんと予想より遅くなってきている事が、今は救いになっています。
残念ながら、まだ、この病気の治療法は見つかっていませんが、めぐりめぐって、この病気を専門に治療や研究している先生に出会った事は、本当に有難く心強いモノです。
今、日本で君と同じ病気で闘っている患者さんは、約5,000人だそうです。
そのほとんどは、病状が悪化して初めて診察するので、症状の経過を見るだけが精一杯で、病気の進行を遅らせる事が出来ないのだそうです。
六歳の時、何気ない血液検査を受けて、それが北里で、普通より検査項目が多くて「過剰な検査内容ですが」と言われながら受けた事で病気が分かった君。
最初は、その運命を聞いて、お父さんもお母さんも何日も泣き通しました。でも、そんな時、お父さんとお母さんは君が話した言葉をふと思い出しました。
まだまだ、小さくて言葉もたどたどしかった話し初めの頃だったのに、その話だけはしっかりとした「言葉」でお父さんとお母さんに君が話しかけたのです。
「お空の上から、ずっとお父さんとお母さんを見ていて、ここに行けば、楽しいいだろうなって思ったんだ。だから、お父さんとお母さんに会いに来たんだよ」
って。
その言葉を思い出して、お父さんとお母さんは覚悟を決めました。
せっかく、お父さんとお母さんを選んで生まれて来てくれたんだから、どんなことがあっても、動けなくなっても、話すことが出来なくなっても、生まれてきてよかったって言ってもらえるように育ててゆこうって。
運命は過酷です。
どんなきれいごとを言っても、病気の進行を今は止める事が出来ません。
今は、心臓が弱くなるのを防ぐために、また、ひとつ薬が増えてしまいました。
そんな過酷な中でも、絶望することなく、今を精いっぱい生きている君を見ていると、逆にお父さんとお母さんは励まされてしまいます。
遠い病院に通うようになって、その病気の先生は、遠慮なく病気の事、病気の進行の事を家族みんなの前で話すので、君も自分の病気の事を、人一倍知っていて、ここままだと、歩けなくなるんだよね、身体が動かなくなるんだよね、話すこともできなくなるんだよねって淡々とお父さんとお母さんに語ることがあります。
でも、そのあとには、だから、今、いっぱい話して、いっぱい笑って、いっぱいけんかもできると良いねって君は言います。
お父さんとお母さんを選んで生まれて来てくれた君の為に、未来を語るより、今を家族三人で精いっぱい、笑って、怒って、泣いて、話をいっぱいして、家族みんなで過ごしてゆきたいと思います。
正直、お父さんには両親が居ません。誰にも相談も気持ちをぶつける事が出来ません。でも、病気で身体の一つ一つの機能が失われてゆく君への悲しみの気持ちより、君が生まれて来てくれたことに心から感謝しています。
ありがとう。
また新しい一年が始まりますね。これからも、GT-Rが好きで、鉄道が大好きで、最近はゲームも一生懸命な君とステキな一年が過ごせたらと思います。
何年かして、このブログを病気を克服できて読んでくれたらいいなぁって思います。
また一年後。
七夕生まれの君へ 父より。
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Posted at
2020/07/07 22:06:29
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