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2021年10月18日

豪州 日本人が車を作れるハズは無い!

豪州 日本人が車を作れるハズは無い! 勝とうと思うな。

 よいよ出発の時、難波達は上司から意外な言葉を聞くことになった。

「勝とうと思うな。勝つよりも、壊れたら修理して必ず完走する事。そして何処がどう壊れたか、他のクルマは、どうだったか観察し、できればデータと取るんだ!」

 それは、難波達にとって屈辱的な言葉であった。競技に出るのに何故、勝利に拘ってはダメなのか?俺達は会社に期待されていないのか。

 そんな難波達であったが、オーストラリアに旅立つ日、羽田空港では、オーナーズクラブ他、大勢の人達が激励会を催してくれ、難波達を多いに元気付けさせてくれたのだった。

全部、日本製です。

 オーストラリアに着くなり、彼らにさらに苦しく辛い現実が待っていた。

 終戦から13年が経っており、過去の戦争の傷跡はたいしたことは無いだろう・・と予想していたのだが、実際にはそうでなかったのだ。

 領事館からは「多少、不愉快な事もあるでしょうが・・」と言われたのだが、食事中にクルマの日の丸が削り取られたり、何より、日本と言う『敗戦国』が、まだ戦争の痛手から立ち直っていないと思われており、何処へ行っても、同じ事を質問された。

 「これは全部、日本製のクルマか?」

 難波達は 「もちろん全部、日本製で出来ています!」


どうせアメリカから部品を買って組立ててるんだろ。そんな声が難波を苦しめた。

と答えるのだが、それでも「バッテリーは?ガラスは?タイヤはどこから輸入したのか?」と矢継ぎ早に質問してくるのだ。

 それも無理からぬ事であったのだ、なぜなら当時オーストラリアで国産車と呼べるものは、GMを国産化したホールデンくらいだったのだ。

 しかし、難波達を悩ませたのは、そんなナショナリズムだけではなかった。

 まずは、こんな小さなクルマに、三人も乗って参加する事に好奇の目が集まった。


ラリー前の「車検」。ここでも小さな DATSUN は注目を浴びた。

 しかし、サービス隊を持たない日産は、壊れたら自分達で直して走らなくてはいけなかったのだ。ドライヴァー二人は日本人、もう一人はナヴィゲーターとして現地から人を雇ったのだ。


1000cc にも満たない小さなクルマに三人も乗車してラリーを闘うなんて!?後席と前席の間には仮眠用の遮光カーテンが付けられていた。

今度は、そのナヴィゲーターから疑問を投げかけられてしまった。

「ラリーは軽いクルマが勝つんだ!日産は勝つ気が無いのか?」

難波は言葉の意味が分からなかった。「どうしてだ?」と聞き返すと、

「日産は競技だけでなく工具も売ろうとしているのか?」
「このクルマには、普通の倍の工具を積んでいるではないか?6丁で良いスパナを12丁、ボックスも24駒で良いのではないか?」

もっともである、残念だが当時の日産車は、エンジン周りは、英国のオースチンから技術供与を受けた「ストーンエンヂン」の流れで「インチ」。
それ以外は「メートル」のネジが使われていたので、必然的に工具が二倍分必要になってしまっていたのだ。


当時の日産は、英国のオースチンから技術供与された「ストーンエンヂン」の流れをくむエンヂンだったので、エンヂン周りは「インチネジ」が使われていた。

 それまで、当たり前と思っていたことが、国際的には当たり前で無い事に気づかされた。

930Kg の車重で、34馬力の小さなエンヂン。

最高速も99Km/h というクルマに大人3人乗車という、誰もが考えても無謀なラリーへの挑戦に難波たちは旅立っていったのだった。




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Posted at 2021/10/18 00:12:27

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この記事へのコメント

2021年10月18日 14:05
こんにちは!
昔のサラリーマンはパワフルだったんですね。 日産のみならずT.H.M
他のメーカーさんの努力も察することができます。 今、私たちが10年10万キロ走っても大丈夫な車はこうして出来ていったんですね。
感謝!!

 さて、4~50年くらい前の欧米諸国は「日本に車など生産できない。」と思っていたようですね。 そして10~15年くらい前の自動車生産国は「中国に車なんて作れんの?」という姿勢だったと思います。
 しかしながらコピー車だらけだった中国車が、バッテリーとモーターのノウハウを蓄積し独自のデザインの車を安価な人件費で作り出したらどうなるんでしょうか?
 2~30年後の車市場は中国車が当たり前に流通しているのかな?
バブリーな人たち用に、モーター付きのスーパーカーも作っているんでしょうね!!
コメントへの返答
2021年10月19日 0:42
ここに出てくる四人の若武者は、すべて軍隊経験者。
まさに軍人精神で乗り切った・・・訳では無いのでしょうが、戦争には負けたけど、戦後日本を早く復旧させたい、早く世界水準にしたいという気概は、半端では無いと思います。
特にクルマは、戦時中に航空機、戦車などを作っていたメーカーが殆んどで、平和産業としてクルマ造りに進んだ訳ですので、何としても米国を主に対等に渡り合えるクルマが作りたかったのでしょう。
しかし、言われるように、追いつき追い越せで熱量を上げていると、今度は追われる身になり、逃げ方を知らないモノですから、いつの間にか後進だった国が並んで、そして追い越されてしまう、これを過去から未来へと続けて行くんでしょうね。
そして、そこには先を走っていたメーカーや国がやっていなかった、技術、技術的応用で、今度はあっと言う間に追い抜いちゃうんでしょうねぇ。
まだまだ大陸はとか、半島はなんていう声をよく聞きますが、ちょっとでも気を緩めていると、あっと言う間に抜かれちゃうんでしょうねぇ。

プロフィール

「後視 いやぁこんなに簡単なバックカメラがあったなんて!! http://cvw.jp/b/124785/23876370/
何シテル?   01/04 14:54
無類のクルマ好きで、日産車を愛してやみません。 徳小寺 無恒のHNを引っさげ、かつての愛車、ワインレッド・パール・ツゥートンのU14ブルーバードの話題を軸...

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