
最近のガソリンエンヂンの技術で感心したのは、マツダの「i-stop」だ。
まぁこれは前回のモーターショウで公表されていた技術なんだが、正直、その時はピンと来なかったが、これだけハイブリットが幅を利かせて、まるで
「ハイブリットに非ずはクルマでは無い」 みたいな馬鹿の一つ覚えの様な状況になってくると、逆にこうした通常のガソリンエンヂンの工夫が輝いて見えてきたのだ。
一番のポイントは、そのさり気なさだ。
僕の世代のアイドリング・ストップと言えば、正直、その存在を感じさせずには居られなかったが、つまり停止時はいいのだけれど再始動時には、どうしてもタイムラグがあり、違和感を大いに感じていたのだが、今回の「i-stop」は、その点でも大いに技術の進歩を感じさせるものだ。
しかも昔のは、基本的に「MT」が必要最低条件だった。
何故!?つまり、ATだとDドライブで停止するとATを制御する油圧が、エンヂン停止によって発生しない・・・するとAT内の制御が出来ないというジレンマがあったが、それも油圧ポンプを電動化することによってクリアーしているのだ。
一番のトピックは、直噴であるエンヂンを利用して、再始動をスターターによらず、四気筒のうち圧縮工程⇒膨張行程の微妙な位置にある気筒を選んで、燃料を噴射して、あたかもデーゼルとガソリンエンヂンの合いの子の様な考え方で行っているという事だ。
一応保険の為にスターターでも回すが、あくまで主役は燃焼力による力というのがコレまでと違った考え方だ。
さらに不自然さを払拭する為に、(再現できず未確認だが・・)渋滞の様なユルリユルリとしたGO・STOPではアイドリング・ストップさせないとか、エアコンをガンガン効かせているとやはりエンヂンが止まらないとか見えない工夫が満載だ。
電気の化け物の様なプリウスと違って、通常のバッテリーと予備のバッテリーの二個しか(二個も!?)積んでいないアクセラ故に、アイドリング・ストップ時にはコンプレッサーが停止してしまうのを防ぐ、コンプレッサーの電動化ができないのは痛いのだが、考えてみれば、同じ様に電動コンプレッサーを採用しなかったインサイトだって、アイドル・ストップ時のエアコン使用は、無理をしてコンデンサーに残った冷たさで、ある程度の時間はエアコンが効かせるようにしているけど、やはり長時間は効かないし、考えてみれば通常のアイドリング・ストップの間なら、それが大きなデメリットにはならないだろう。。。
ハイブリットによる盛大な省燃費もいいけど、こうしたガソリンエンヂン自体の工夫によって、さらにそれを低コストで採用車を増やし、何時かはガソリンエンヂンの当たり前の技術にすれば、それはそれで省燃費の大きな推進役になると思うのだ。
もはやガソリンエンヂンに未来は無く、未来は電気自動車だ!なんていう短絡的な考え方も在ろうが、いやいや、ガソリンエンヂンだってまだまだやれば出来る事がたくさんあるんですよ!という可能性を示したマツダの功績は大きいと思うのだ。
しかし・・ちょっと話題はそれるが。。。本来アクセラの「i-stop」も全て200万以上のプライスになるハズだったのだが、プリウスがあんな価格で出てきたものだからアクセラの「i-stop」も200万円以下から設定された。
だから200万円以下の「i-stop」のアクセラは確かに贅沢装備が簡素化されているが、それでも十二分に快適なクルマなので
「超!お買い得」 と言えるのだ。
昔々のマツダのFFファミリアが採用したパラレルリンク・サスが、他のメーカーでも当たり前の様に使われて、FWD車の操縦性が大いに向上した様に、この「i-stop」の技術も広がれば、何もあんな
クウペ崩れのデザインのセミ・電気自動車ばかりに乗らなくとも、そりゃ燃費じゃ負けるけど、造る段階での環境負荷とかも考えると、まだまだガソリン車の方が・・・と言っては言い過ぎかもしれないが、クルマを選ぶ選択肢が増えた事は間違いないと考えている。
「地味だけど凄い技術」 という如何にもマツダらしいアプローチだけど、ある意味でガソリンエンヂンの未来を替えた技術に、もっと注目して欲しいと思うのだ。
Posted at 2009/07/20 07:44:52 | |
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