
昔のアメ車は偉大だった。
パワステ、パワーウインドゥ、ラヂオなんて全てアメ車が最初だ。そうした装備だけでは無い、派手なエクステリアだって世界中の憧れで、日本車は言うに及ばず、欧州車だってかのメルチェデスだって、一時はアメ車の影響を受けたと思われるエクステリアのクルマをリリースしていた。
豊かさと自由なデザインは、購入するユーザーのみならずクルマを作る側にも絶大なる影響を与えていた事は間違いの無い事実だ。
それが・・・
今年二代目へと進化した
GM の
Buick LaCrosse(ビュイック・ラクロス) をWEBで初めて見たとき、僕はどうしようもない衝撃を受けてしまった。
正直最初見た時、何時からGMはレクサスをOEMで売り出す事になったんだ!?と混乱してしまったのだ。ディメンジョンを読めば、相変らず吋表示なんで正確ではないが、(全て約でお願いする)
5,001 × 1,857 × 1,536 (粍)
という堂々たるモンだが、これをかの レクサス460 の 「 L 」 無しを引き合いに出してみると
5,030 × 1,875 × 1,465 (粍)
と大同小異。ただエンヂンはビュイックの方が小さく 「V6-3.6L」と「V6 -3.0L」で、約1.8トン(これも未だにポンド表示なんで換算誤差がある事をご了承願いたい)の躯体を引っ張る!
この時点で、明らかにOEM説は無くなったのだが、どうにもこうにも、ここまで似通っていると、どうしたものかと悩んでしまったのだ。
かつてはクルマ造りのお手本として、そして憧れの対象として崇められてきたアメ車も、確かに昨年来のリーマンショックによって、世界の巨人、GMの良い事は亜米利加にとっても良い事だ・・・と言わしめたプライドが、ラクロスには微塵も感じられなかった。
まぁよく見ると、単純で面に張りが無く、無表情、無国籍、無味乾燥のまるで、白物の電気洗濯機か冷蔵庫を見ているようなレクサスのエクステリアに比べて、サイドの面にはキックアップしたキャラクターラインに呼応してダイナミックな面が構成されており、陰影が美しいし、リヤだって彫りが深く印象的で面白い。
内装は、もうアメ車ならではの豪華さの演出が巧みで、特にブルーのLEDを駆使しての間接照明の使い方は、どう転んだって日本車では無理だし、豪快なウェービィラインのデザインは大胆でありながら決して漫然なモノではなく計算ずくの美しさを感じる。
それがだ、AピラーからCピラーへ続く緩やかに弧を描くラインに、サイドウィンドゥの縁取りのラインや、マフラーをビルトインしたリヤスタイルを見ていると、どっかで見たような・・・となってしまう感じが惜しいのだ。
かつての世界中が見本にしたアメ車は何処へ・・・
斜陽したとは言え、ここまでに至ったかというのが僕の偽らざる心境なのだ。
ただ唯一救いなのは、ビュイックは現在日本では正規に入っていないという事だろうか。
日本人としてマネされる事は嬉しい事なんだろうが、かつては確固たる、良きも悪きも個性的なデザインに溢れていたアメ車がこうもなってしまった事に一抹の寂しさを感じている僕なのだ。
Posted at 2009/09/23 02:26:02 | |
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