去年の春、関越道で悲惨なバスの衝突事故が有ったが、その時に盛ん言われたのが、アイサイトの様なブレーキ補完システムがあれば、事故が防げる、日本のメーカーはそうした安全装置の装備に積極的でない・・・などと言われていたが・・・
同じく去年の暮れに三菱ふそう がこんなプレスリリースをした事を皆さんはご存じだろうか。
三菱ふそう
大型観光バス新型「エアロクィーン」と新型「エアロエース」に
衝突被害軽減ブレーキを標準搭載し発売
~最先端の「安全テクノロジー」を全車標準搭載~
http://www.mitsubishi-fuso.com/jp/news/news_content/121211/121211.html
一見すると、あぁようやく、大型車のメーカーも重い腰を上げて、衝突を防止する装置を搭載し始めたんだなと思うだろうが、ここに、こうしたバスならではの大きな問題点が見え隠れしている事に気付いただろうか。
プレスリリースの中で、
「AMB」は、高精度のミリ波レーダーにより、前車との車間距離を監視し、衝突の恐れがあるときに、ブレーキ制御により衝突時の速度を抑えます。
という一文があるのだが、皆さんはこの文章を見て、なにかお気づきにならないだろうか。
そう、最後の 「ブレーキ制御により衝突時の速度を抑えます」 という部分なんだが、スバルのアイサイトでは、
スバルのアイサイト専用のWEBより。プリクラッシュブレーキの安全性を強調。
「自動ブレーキをかけて衝突を回避、もしくは被害の軽減を図ります。」
と止まる事を強調している。
実は、大型車特にバスの場合には、十分に止められる距離でも止められないジレンマがあるのだ。
つまり、バスの乗客に対してシートベルトをするように指導しているが、殆どしていないというのが実情だ。さらに、長距離バスでは、走行中に乗客がトイレなどの移動する場合もあるだろう。
そんな時、まともに止まる動作をされたら・・・
そうした実情から、大型車の場合には完全停止するパターンより、速度を落とす場合の方が多いセッティングにならざる得ないのだ。
乗用車の場合、ほぼシートベルトの装着率が上がっているので問題は無いが、旅客バスの場合には、シートベルト装着率が低い状況ではまだまだ完全停止の道は厳しいのだ。
そうした点でも、マスコミなどは、全てをメーカーの責任して、乗客の安全への意識向上に対する報道をしない現状にも問題があるだろう。
メーカーへの攻撃は簡単だが、不特定多数への報道は下手というマスコミの状況も、実は、大型車バスの安全性の向上に影を落としている事を見逃してはならないだろう。
安全はメーカーばかりに押し付けるのではなく、我々乗客にも責任が有るという事を、知ってもらいたいと僕は感じている次第なのだ。
Posted at 2013/06/01 12:46:07 | |
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