8トラック・カセットから、フィリップス・カセットこと 「コンパクト・カセット」 への進化の過程を何度かブログしたが、それでは純正のオーディオはどんな風に進化していったかを思い起こしてみる。
国産車に於いて最初のオーディオと呼ばれるものは、やはり 「AMラヂオ」 が最初だろう。これとて、下級グレードでは省略されて、何もないというのが当たり前の時代が長く続いた。
B110サニーのインパネ。これでも豪華仕様で、AMラヂオに時計、タコメーターに5速マニュアルという当時の最先端の装備が満載の仕様だ。
それが暫くすると、8トラックカセットの普及に伴って、8トラのデッキを搭載するクルマが現れる様になった。
「ハコスカ」ことC10の最高級グレードGT-Xには、8トラのデッキが標準装備だった。
我が家でも、ハコスカことC10セダンのGT-Xが一時期あったのだが、記憶のかなたでデッキがあったような・・・という事で、当時のカタログを掘り起こしてみると、
なんと、硬派で鳴らしたスカイラインのC10でも、櫻井眞一郎が好きだったオーディオの影響もあって8トラデッキが標準だった!!
ちゃ~んと8トラデッキが標準である事が記載されていた!!これは当時としては画期的な事で、ラヂオ以外のもが付いているというのは、本当に凄い事であった。
しかし、8トラの栄光もそう長く続かなかった。なんたって、大きいし、音質も大した事が無い・・・という事で、徐々に フィリップス・カセット が主流になって来たのだ。フィリップス・カセットは、軽量で小さく、音質も登場時に比べ驚くほど進化していた。
そうした小型軽量というメリットは、再生する機械、つまりデッキの小型化にも大いに寄与して、クルマにとって大事な省スペースという要求にマッチして、生産量も増えて事によって、一気に搭載するクルマが増えた。
スカイライン・ジャパンことC210の頃になると、以前のAMラヂオの様にカセットデッキが搭載される事が当たり前の様になった。
しかし、まだまだ当初のカセットに対して再生するデッキには、カセットの高音のノイズ、「ヒスノイズ」を低減する「ドルビー」を初めとしたノイズリダクションも付いてなく、ただ再生する・・という、音が有れば良い的な感じであった。
しかし、良い音への憧れは、クルマのメーカーを突き動かし、最初に、C210スカイラインが 「Technics」 と手を組んで、当時考えられるスペックを網羅したクルマ専用のオーディオをリリースした。この 「Technics」 のオーディオは、その後の日産車に展開が図られ、多くのクルマにオプションで採用されるに至った。
「Technics」 を搭載したC31ローレル。見た目にもこだわって、高級感のある造りだ。
そうなってくると、車種別の専用のオーディオという、コストコストで部品の共用共通化が図られている現代から見れば、実に羨ましい装備が各車各様に見られるようになった。
S110ガゼール(シルヴィアも同等)に搭載された、ガゼール専用のオーディオシステム。これが夜のイルミも綺麗でねぇ。。。憧れました。
ただ、音の入り口の進化具合は中々だったのだが、問題は音の出口で、正直、今のレヴェルで見れば、とんでもなくスペックは低く、さらにスピーカーの出口のデザイン重視もあって音抜けも悪く、音質的には、社外品に一歩も二歩も劣っていた事は否めない事実であった。。。
しかし、一端走り出したオーディオの進化はとどまる事を知らず、最終的には、ドルビーBのノイズリダクションに、カセットのポジション選択が可能になって、とうとう録音機能の付いたものまで現れる始末となった。
ドルビーにカセットのポジション選択・・・もう、この先は無いだろうと思っていた矢先、910ブルーバードに録音マイク付きのグレードが登場!これには、多くのジャーナリストも驚いた!!
こうした、コンパクトカセットの時代は実に長く続いたが、次なる時代の足音は、確実に響きだしていた。そう、CDを初めとするデヂタル・メディアの登場だ。
ただ、今から見れば信じられないだろうが、最初のCDデッキは、ちょっとした振動で音飛びを起こし、常に振動にさらされるクルマには不向きだと言われていた。それでも振動に強いモノが開発され、純正のオーディオ・システムにも続々と採用される様になった。
R32スカイラインのオーディオには、カセット時代とCD時代の過渡期とも言える、CD、カセット両方のデッキが搭載されていた。
その後は、皆さんもご存じの様に、多数枚のCDを連続で再生するマガジンが出てきたりして、CDの時代と向かっていった。
そして現代では、特に再生するモーターを動力とするデッキは鳴りを潜めて日頃、何気なく効いている携帯や携帯プレーヤの音を、Bluetoothなどを使って電波で飛ばして再生するモノが多くなってきている。。。
あのノイズいっぱいの、AMラヂオから、カセット、そしてデヂタル・ソース、へと純正のオーディオも進化を続けて来たのだ。
さてさて、今の次には、どんなオーディオが目の前に現れるのだろうか?あまりにも早い技術の革新に、正直「次」は何か?計りかねているのが、多くのドライヴァーの実感ではないだろうか。
Posted at 2013/10/21 01:42:48 | |
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