
暗い、くらい話題しかなかった日産から、ようやく明るい話題がもたらされた。
ここ数日、クルマ関係だけではなく、一般紙まで、まるで何かに憑りつかれたように
(まぁ日産本人が一生懸命に各方面に力を加えた賜物なんでしょうが・・閑話休題)
新しいZの話題が活字や、ネットに溢れていたが、ようやく、その姿が露になった。
これまでの公表された動画にある様に、過去の「Zフィロソフィ」を散りばめたものになるというティザーの通り、特に初代の S30系 の要素がそこかしこに見え隠れするディテールで登場した。
先ずはフロントの造形だが、実は、このフロントの造形こそが、初代S30系のハイライトで、それらの造形は実は機能から導き出されたデザインだった事に、これまで、その事に触れられているモノがあまりにも少ない事に、僕は少々驚きを隠し得なかった。
ボンネット上の膨らみも、ヘッドライト周りの造形も機能と必然性から生まれたデザインだった。そのエキスが新しいZにも生かされているが・・・
ボンネット上の膨らみは、傾斜して搭載しても収めきれなかった、背の高いL型エンヂンの「逃がし」だったし、特徴的なヘッライト周りの造形も、フェンダーを一体でプレスするために開口部が必要だった為に生まれた造形だった。
特に、このヘッドライト周りの抜ける造形は、後年、四代目のプレリュードのリヤのフェンダーからリヤランプへ抜けるデザインと構造に影響を与えていたのだ。
初代S30Zのヘッドライト周りの造形処理とフェンダーの処理の手法は、このプレリュードのリヤフェンダーとリヤランプの造形と構造に生かされたのだ。
ボンネット前端の中心を境に「へ」の字に折れた処理、そして、前出のボンネット上の膨らみ加減と言い、まさに S30Z をオマージュしたものと分かる。
これがサイドに至っては、
サイドのシルエットは、ルーフライン、Cピラーの造形と S30系のにおいがプンプンしている。
ルーフのラインと言い、Cピラーの造形と言い、まさに S30系 の匂いがプンプンしている。
その中で僕が注目しているのが、ルーフラインに沿って設けられたメッキのモール処理だ。これが実に良いアクセントになっているが、これだけ大きなモールを無傷で付けるには相当苦労が伴う事も事実で、例えば、初代フーガのコンセプトも、当初はルーフに幅広のメッキモールが付いていたが、量産になると、幅が狭くなり、長さもグッと短くなった。
初代フーガもコンセプトの時は、ルーフに幅広で長いモールがあったのだが、量産になると短く幅も狭くなっていた。
さてさて、今度の「Z」はどうなるか注目だ。
そして最後にリヤの造形なんだが、
リアフェンダーのコークボトルラインはS30だが、ランプの造形はZ31後期か!?
これは、まず絵にかいた様なコーダトロンカスタイルで、さらにS30系のリヤフェンダーのコークボトルラインの様な膨らみとルーフから続くなだらかな面とが実に上手く呼応して処理されている。
ここが、今回の Z コンセプトのぼくのいちばん好きな部分だ。
テールランプの造形は、確かに細かい造り込みの部分は Z32 なんだが、全体の雰囲気は Z31 マイナー後の様子に似ていると僕は感じている。
ネットでも、この新しいZについて、色々な意見が出ているが、僕的にはイマひとつ、スポーツカーとしてのエモーショナルな部分が足りない様な気がしてならない。
そして、部分部分で見ると、実に良くできたデザインなんだが、全体で見た時、どうもまとまりに欠けるような気がしてならないのだ。
おそらくそれは、歴代の Z のエキスを部分部分に散りばめた故に、それが部位ごとのアイコンとして成り立っているが、それが個々に主張しているがために全体としてはまとまっていないからだと感じている。
正直、確かに S30系 のデザインを、この新しいZにも伝承していると言えば聞こえがいいが、現段階では Z33 -Z34 の正常進化版と言った雰囲気としか見えないのが少々残念だ。
今回の新しいZプロトタイプの登場で、ますますS30系のデザインのオリヂナリティと完成度の高さの輝きが増したような気がする。
Z33-Z34 のデザインの中に、如何にして S30系のエキスを突っ込むかに腐心したデザインとなってしまっているとも言えよう。
日産は、このZプロトタイプのデザインが、ほぼ完成したデザインというが、特にフロント周りの造形は、もっと煮詰めないといけないと思う。ヘッドライトの造形は、二次元で見るからだろうか奥行きが感じられず、どうも平面的に見えてしまう。もっと奥行きを感じる造形にならないだろうか。
全体的な構成と、デイライトの構成をもっと奥行き感あるモノにならないだろうか。
もっともっと言いたいことはあるが、過去日産はコンセプトモデルから市販モデルに移行した場合に大きく良くなった例が多くある。
R33のGT-R や R35 の GT-R がそうだった。
R33 GT-R もギリギリまでデザインのリファインが進められた。
もはややり切った、ほとんど市販モデルという声が聞こえるが、もっとリファインを続けて、市販される際には、おぉおこれは凄いという声がもっと沸き上がる様に日産には頑張って欲しいモノだ。
Posted at 2020/09/18 07:03:22 | |
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