
先日まで展示していた981型ケイマンSにナンバーが付いたとの連絡を貰ったので、早速試乗してきました。
試乗車には、オプションのクロノパッケージとPASMが装着されていました。
その他は、良く判りません(笑)
ナンバーがついて間もない新車の状態です。 走行距離は、わずか350km余り。
その為、まだ各部の慣らしが終わっていない状態での試乗記となります。
まずはポジション合わせですが、特に問題ありませんでした。
右ハンドルなんで、ABペダルが左にオフセットしていますが、それほど気になりません。
欲を云えば、あと1~2cm右にあるとありがたいですね。
ポジション合わせが終わったところで試乗開始!
PDKのセレクターをDレンジに放りこみスタート
なお、今回も試乗枠が1時間以上の放置プレイでした(笑)
1.エンジン
ケイマンSのエンジンは、3.4Lのフラット6
991カレラ, 981ボクスターS と同じエンジンです。
ECUチューニングの違いにより3車のパワー/トルクは異なります。
ケイマンSは、丁度真ん中の特性が与えられていて、その最高出力は325ps
(991カレラは、350ps、981ボクスターSが、315ps)
低回転から十分なトルクが出ているものの、本領を発揮するのは5000回転より上ですね。
NAの高回転型エンジンらしい特性です。
このエンジンの美味しい所を使うのであれば、スポーツモードが良いですね。
ノーマルモードだとアイドリングストップやコースティング機能が働きます。
高速道路を走っていると、結構頻繁にコースティングモードになるので燃費には良さそうですが
”らしくない”気がします。
ボクスターSの10ps増しですが、その違いは判りませんでした。
ピークパワーを出す回転数が違うので、常用回転ではほぼ同じと考えて良さそうです。
ただ、5000回転から上のサウンドは、ボクスターSより官能度が高い気がします(笑)
逆に云えば、低中回転で使っていると少々物足りなさがあります。
多くの方が試乗レポートでトルクが薄いという表現を使っている事に同感出来ます。
スペックよりも遅く感じてしまいうのは、最近の低圧ターボの特性に慣れてしまったからかも知れませんね。
2.静粛性
クローズドボディですが、その構造上エンジンが室内にあるのと同じです。
私は、ミッドシップに慣れているからそれほど気になりませんが、一般的にはかなりうるさい方ですね。
エンジンは、シート後方30cmの位置にあるようですので、遠慮なくエンジン音が室内に響きます。
但し、巡航ギアの7速を使うとエンジン回転数は、極端に低くなりますので気にならないレベルかな。
エンジン音以外の遮音はしっかり出来ているようですので、車外からの騒音は気になりません。
その分、室内のプラスチック部分からのビビリ音がちょっと気になりました。
あとは、レゾネータの音かな? 常時ヒューンという微かな音が聞こえてきます。
エンジン回転を上げている時は、そのエンジンサウンドに掻き消されているので判りませんが、
回転を抑えてクルージングしていると、ちょっと気になりました。
あと、静粛性が高いからなのか、スピード感が無いんですよね。
メータを見るとそこそこの速度になっていても、ゆっくりに思えます。
3.ブレーキ
ブレーキ性能は、やぱりポルシェ! 素晴らしいものがあります。
特にブレーキタッチは、真綿で締め付ける感覚で、踏力に比例して制動力が増していきます。
踏んだら踏んだだけ効いてくれるので、これは気持ちよいですね。
ただ、低速では、少々制動力が高すぎようで慣れないとギクシャクするかもです。
気になったのは、姿勢変化かな?
ポルシェは、ブレーキを掛けた時にボディ全体が路面に押し付けられるような姿勢が特徴なんですが、
PASMノーマルモードだと、結構前のめりになりました。
PASMスポーツモードだと、この姿勢変化が少なくなるものの、同じ傾向です。
ブレーキバランスがフロント寄りになっているのかな?
ミッドシップ乗りの私には、ちょっと違和感がありました。
4.ギア比
ギア比については、データシートがないのですが、
実測で確認すると 7速 100km/h で 1700回転くらいでしたので、
ファイナルギアは、恐らくボクスターSと同じで 3.617と思われます。
依然として991のファイナルギア比がハッキリしませんが、恐らく3.09でしょうから加速性能に関しては、ケイマンSの方が優れるかも知れません。
0-100km/hなどのデータを見ると991カレラの方が速いとなっていますが、
このギア比なら...(以下自粛)
5.ハンドリング
都内の試乗なので、ハンドリングについては良く判りません(爆)
全体的にドッシリとしています。 エリーゼのようなライトウェイト感覚は皆無です。
ケイマンSの試乗のあとは、GTIで帰路についたのですが、GTIの方がライトウェイトに感じました。
新車という事で各部がまだ馴染んでいないからかもね。
日本の峠道で走るなら、エリーゼの方が楽しいのは間違いないでしょう。
ポルシェは、スポーツ度の高いケイマンであっても想定している速度レンジが高いです。
6.乗り心地
実は、この項目が今回の一番の試乗目的だったりします(笑)
PASMは、ノーマルでスタート。
乗り出して直ぐに判りました。 素晴らしくしなやかなアシになってます。
私が試乗したボクスターとは別物に感じます。
実は、981型ボクスターSに試乗した時に、気になったのがリアサスの動きでした。
PASMのノーマルモードにしても、固く、突き上げるような感じがあったのです。
リアサスの形式がストラットなので、ある程度仕方ないのですが、991のマルチリンクのようなしなやかさが欲しいと思ったワケです。
両車は、基本設計は一緒ですから、この改善は、ボディ剛性もしくは、PASMの進化ですかね。
私は、ボディ剛性が高いので、アシがしなやかに動いている方に一票かな。
981型ボクスターは、旧型に比べるとボディはしっかりしてますけど、
やはりクローズドボディのケイマンは、更にしっかりしているので、アシの動きも良いのでしょうね。
正直云って、スペックを見ないで試乗したら、このリアサス形式がストラットだと気付かないかもです。
これは、ボクスターが悪いとかじゃなくて、そのクルマの性格の違いと思います。
次にPASMを、スポーツに切り替えます。
しかし、乗り心地に変化なし。 アレ?
壊れているんじゃないかと思ったのですが、そうでは無いようです。
ブレーキング時のピッチングが少なくなっていますので、スポーツモードに切り替わっているのは間違いないのですが、
ほとんど乗り心地には変化がありません。
路面が良いという事もあるのでしょうが、このモードで常時使っていても大丈夫と感じました。
しかもですよ、履いているタイヤは、19インチですからね。 これは驚くべき事です。
うーん、この乗り心地の良さは、正直云って想定外でした。
これは、次期車候補として、かなりポイント高いです。