
まずお断りしておきますが...
今回の試乗は、新車ではありません。
友人が購入した2006年式で、走行距離は40000kmオーバでした。
新車時と同一コンディションでは無いと思います。
こうやって前置きしたのは、当然ながら気になる点があったからですが、それについては後述します。
前にも書きましたが、V8ヴァンテージは、私にとって憧れの存在でした。
8年前には、真剣に購入を検討したクルマです。
当時は、中古で購入するにしても余裕を1200諭吉オーバでしたので断念した次第です。
その憧れのクルマに突然乗れる事になったのですから、その喜びはお判り頂けるでしょう。
まずは、試乗車のスペックですが...
エンジンは、4.3L V8 で 385ps/410Nm ,車両重量は、1630kg
ミッションは、6MTでした。
イギリス車ですから、当然ながら右ハンドルです。
ケイマンSよりもパワー80ps多い分、重量も230kg重いです。
性能的には、イーブンでしょうか。
まぁ、こんなスペック比較は、走りに影響が少ないので早速試乗です。
コックピットに収まりポジションを調整します。
シートは、本革で全て電動調整なんですね。 さすがイギリスの高級車(笑)
ABCペダルは、かなり右側に寄っています。
理由は、エンジン搭載位置に関係しています。 ヴァンテージは、フロントミッドシップなんですよね。
この写真を見て貰えれば判ると思いますが、エンジンの位置はセンター寄りなんです。
ABC各ペダルの間隔も、この手のクルマとしてはかなり狭いです。
ドライビングシューズが必須とは云いませんが、あった方が良いのは確かですね。
エンジンをスタートし、クラッチを踏み込み、マニュアルシフトレバーを1速に入れます。
そして独特の右側サイドブレーキを解除して、いよいよスタートです。
クラッチのミートポイントは、思いのほか手前だったので、シートポジションを再調整しましたよ。
さ、気を取り直してワインディングチェックです。
エンジンは、大排気量NAらしく下から十分なトルクがありました。
でも本領を発揮するのは、5000回転から上ですね。 エンジンサウンドも5000回転以上だと気持ちよくなります。
イタ車に積まれているV8ほど官能的なサウンドではありませんが、それでもかなり気持ちの良い音がします。
次にハンドリングですが、これは走り出して直ぐに違和感がありました。
ステアリング中立地点が曖昧なんですよ。
センターがキチンと出ていないと云うかセンター付近の遊びが大きいと云うべきかな。
ステアリングを切り込んで行くと、あるポイントからシッカリ感が出てきます。
ノーズの入り方は、かなり素直ですね。 ステアリングを切っただけノーズが入る感じがあります。
さすがフロントミッドシップと云ったところでしょうか? 車両重量が重い事については全く気になりませんでした。
ビーナスラインを和田で折り返して、クルマにもだいぶ慣れてきたところでペースアップ。
ストレートでは、V8サウンドが心地良いです。
そして、次にコーナへの進入に備えてブレーキング。
効き方に不満はありませんが、剛性感に欠ける気がしました。
フロントが対向6ピストンで、リアが対応4ピストンなんで、スペック的には申し分ないのですが何でかな??
そして先ほどよりも2段階は高いスピードでコーナーへ!
そこで今回試乗したヴァンテージの問題点が判りました。
ターンインまでは良いのですが、クリッピング付近で、ピッチングが収まらないのです。
常にノーズが上下に揺れているかのような動きが出てしまいます。
オーナーの某氏も、この動きがかなり気になっているようで、ダンパーをワンオフ製作して搭載したようですが、多少動きに改善は見られたようですが根本的な解決には至らなかったようです。
ダンパー交換時にアッパーマウントの劣化を指摘されているようですので、それが原因でコーナリング中の姿勢が安定しない可能性はありますね。
他にも全体的に”緩い”印象があるので、ブッシュ類の劣化は疑っても良いかも知れません。
ヴァンテージとは云え、8年落ちですからゴム類は間違いなく劣化しているでしょう。
何にしても新車の時の動きを知らないので、判断が付かない状態。
やはり興味のあるクルマは、新車の状態で試乗しておくべきだと再認識した次第です。
今回試乗したヴァンテージは、足回りに再度手を入れる事も検討しているようなので、再度の試乗が楽しみです。