済州航空2216便の壁面激突事故。
前回までのまとめ。
0.該当空港は鳥の楽園のど真ん中に建設された。
1.最終進入状態でバードストライクしてもそのまま着陸するだけで問題がなかった。にもかかわらず全く不必要な着陸復航(GA)をしてしまった。
2.(機体に何らかの問題があって)着陸復航するのなら30分以上旋回してチェックリストを確認して、十分準備してから着陸するべきだったのに、該当機は何の準備もなしにすぐに反対側の侵入で高速で胴体着陸した。
3.着陸時の映像を見ると、
1)バードストライクした右エンジン=逆噴射が作動している。
2)バードストライクしなかった左エンジン=停止しているように見える。
ー>操縦士が間違って右エンジンを停止した可能性が高い。
4.車輪、フラップが格納されている。
3)油圧、発電供給系統が3種類あって、エンジンが停止しても車輪やフラップを出すことができたのになぜか出さないまま胴体着陸している。
ー>操縦士が緊急時に車輪、フラップを出す手順を知らなかったか、時間的、精神的余裕がなく対処できなかった。
済州航空2116便は着陸寸前に右エンジンがバードストライクに遭い、そのまま着陸すれば良かったのに不必要なゴーアラウンドを行いました。
機体に不具合のある場合のゴーアラウンドは図の左側のように30分以上旋回してチェックリストを確認してギアを下ろし、フラップもセットして再着陸すれば問題はありませんでした。
しかし今回は、焦ったのか、わずか3分で右側の様に反対側から再着陸を試みています。
ボーイング737-800のマニュアルには、エンジンに不具合のある場合の着陸復航でフラップを展開する場合は、地面と平行か少し上昇する状態で展開すること、と書かれています。
しかし最初の着陸中止からわずか3分で空港に再着陸しています。
しかも残り滑走路が1600mしかない状態の場所に胴体着陸。
胴体着陸は機体の3か所しか設置せず、タイヤでのブレーキも効かないので通常の着陸よりより多くの滑走距離が必要になります。
車輪もフラップも出さず、逆噴射もバードストライクした右エンジンしか利かせていない状態で、1800mm先の殺人コンクリートバリアまでに停止できるわけがありません。
バードストライクのあった右エンジンのスラストリバーサーは作動しています。無事なはずの左側エンジンは停止しています。
世界中どこの空港にも例がないと言われる滑走路終端から200mmの位置にある頑丈なコンクリートバリア。
本来着陸するはずだった方向の先にはそのようなものはありません。
フェンスと滑走路延長工事中の平らな土地が広がっています。
本来のILS構造物は左の写真のように飛行機がぶつかっても大きな衝撃にならないように作られていなければなりません(それでも離着陸の際にランディングギアをひっかけて事故になる場合もあります)。
しかしこの空港は右側のように土塁の上にコンクリートの杭を打ち込み頑丈に作られていました。
なぜなのでしょうか?
もしかしたら事故機のパイロット(や他のパイロット)は、土塁の下にあんなに強固なコンクリート構造物が隠れていたのを知らなかったのかも知れません。
・・・・
まとめ
0.該当空港は鳥の楽園のど真ん中に建設された。
1.最終進入状態でバードストライクに焦って、緊急事態宣言を出し、そのまま着陸するだけで問題がなかったにもかかわらず全く不必要な着陸復航(GA)をしてしまった。
2.何らかの理由で焦ってバードストライクをした右エンジンではなく、正常な左エンジンを停止してしまった。
3.GAする際に必要な手順を全く守らず、慌てて管制官に聞いた最初と反対側の滑走路から、3分以内に車輪もフラップも出さずに胴体着陸した。
4.胴体着陸した際にはバードストライク側のエンジンは稼働し、正常な側のエンジンは止まっていた。
5.再着陸した方向は当初の着陸とは反対側の滑走路末端に死の壁がある方向で着陸した。
6.滑走路の残り1600mしかない場所に高速で胴体着陸。
7.そのまま止まり切れずに激突して爆発炎上。
どう見ても未熟な操縦士の操縦ミスに見えます。
正解はアメリカの調査団の報告を待ちましょう。
・・・・
個人的には雇用条件や労働環境、整備状態も良くないと思われるLCCには、飛行機恐怖症の私はできるだけ乗らないようにしています。
LCCのパイロットエラーで墜落寸前または墜落した事例のごく一部。
・
ピーチ航空252便、那覇空港墜落直前事故(2014年、A320-200)
・
インドネシア・エアアジア8501便墜落事故(2014年、A320-216)
もちろんLCCでも優秀なパイロットが転職してきて危機を無事に乗り越えた事例もあります。
・
サウスウエスト航空1380便エンジン爆発事故(2018年、B737-7H4)
・
ジェットブルー航空292便緊急着陸事故(2005年、A320-232)
今回参考にした動画の一部は下記になります。
それ以外に複数の現役パイロットの解説Youtubeを参考にしました。
あなたはこれでもLCCに乗りますか?
航空危険国の飛行機に乗りますか?
この事故は日本では決して正当に報道されないでしょう。
数年後、アメリカの調査レポートが発行されれば、その時にみんカラを続けていたらレポートしたいと思います。
**追伸
アメリカの他のパイロットたちの様々な動画を見ていると、
該当機は該当空港アプローチ時から、高度が低すぎて侵入しており、バードストライク宣言をする以前から急に高度が上がっていることより、ゴーアラウンドを決定した後にバードストライクしたかもしれない、という可能性があるかも、と言う意見が出ております。(あくまで可能性の一つと言うイメージです。)
しかし、管制には、Mayday(緊急事態宣言)ー>バードストライクー>ゴーアラウンド、と宣言していますので、
進入高度が低すぎて修正ー>修正しすぎてグライドスロープより上がりすぎたー>その時にバードストライクが発生ー>それで慌てて緊急宣言してGAを決定ー>あくまで当初はそのまま着陸するつもりだったが鳥吸い込みで慌てて反射的にGAしてしまった。
のではないかと素人の私は考えています。
ゴーアラウンドを決定した後にバードストライクしたとしても、パイロットの技量不足と操縦ミスであることには変わりはないのですが。
この辺はフライトデータレコーダーとボイスレコーダーの解析が進めば結論が出るでしょう。
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Posted at
2025/01/04 00:05:04