
世代交代を思わせる5月に日本GPの敗退で、マスコミや多くのレースファンの中からも「GT-Rの時代は終わった・・」との声が盛んに聞かれるようになった。。。
事実、この年の9月には、新しいスカイラン「ケンメリ」の登場がハッキリと分かっていたので、無理からぬことではあったが。。。
GT-Rにとって悪夢の5月からひと月後の6月。
そんな雑音を掻き消すかのごとく、GT-Rは富士グランドチャンピオン戦第二戦に出場した。
このレースはGT-Rのホームグランドである、富士の6kmフルコースで行われる。
6Kmフルコースに合わせてGT-Rは完璧なまでにセッティングがされていたのである。
このフルコースのテクニカルなコーナーを、日産パイロットたちの「秘儀」と「神業」を駆使すれば生き返るに違いない・・・そう思ったファンも少なからずいた事も事実である。。
「かつては、フロントローが当たり前のGT-Rだったのに・・・」
レースの予選が終わった・・・
GT-R勢のはかない望みも「サヴァンナ」が打ち砕いてしまったのだ。。
GT-R乗りの「北野」、「都平」のテクニックを持ってしても、GT-R勢はセカンドポジションを取るのがやっとであった。
決勝の幕が切っておとされた!
重量が軽く、ローギアな真っ赤な「サヴァンナ」が、甲高いロータリーサウンドを響かせながら先頭でバンクへ突入する!
もはやGT-Rは、この「サヴァンナ」の後塵を拝するしかないのか。。。
誰もがそう思ったに違いない。
スタンドとピットの目が、次のコーナーの出口に注がれた瞬間、誰もが目を疑ったのだ!そこで聞えたのは、乾いたエキゾーストを響かせた懐かしいS20のサウンドと共に北野のGT-Rが先頭でマシンを真横になびかせ飛び出てきたのだ!
スタンドは一瞬の沈黙の後、大歓声へと変わった。
不屈の王者GT-Rが、その持てる全ての力と、北野の「秘儀」によって、「サヴァンナ」をコーナーで抜き去っていたのだ!
しかし、「サヴァンナ」はその軽量さを生かして、コーナーの出口ではGT-Rにぴったりと背後に付いている。
最終コーナーを立ち上がって、富士の長いストレートに入るや否や、「サヴァンナ」はGT-Rを事も無げに抜きさっていった。。
富士のストレートが、これほど「長い」とはGT-Rにとって「無常」というしかなかった。。
最大限のスリップを使って、それでも北野は「サヴァンナ」の追撃の手を緩めなかった。
6月というのに真夏を思わせる、鋭い日差しがマシン達を焼き付けているというのに、北野は空気抵抗の増大を嫌って
「コンマ一秒」 でも早く走る為に窓を閉め切っていた。
マシンから発する熱と、太陽の熱によってGT-Rの室内は「灼熱地獄」になっていたが、その熱地獄の中から北野の目は「サヴァンナ」しか見つめていなかった。。
再びコーナーが迫る、するとGT-Rがすかさず「サヴァンナ」に襲い掛かる、GT-Rが「サヴァンナ」を抜いた!
最終コーナーを抜けストレート・・「サヴァンナ」が抜き返す・・
レースの死闘は延々と続いた・・・
「サヴァンナ」が先行し北野が抜く、再び「サヴァンナ」が・・・
富士のコースは、まるでこの二車だけでレースが行われている様であった。。。
激しいぶつかり合い、二台の距離は皆無に等しかった・・・
そして、北野GT-Rはこのレースに勝利した。
表彰台に立つ北野は、灼熱のGT-Rの室内で戦い続けた為に脱水症状を起こしていた。。
本来なら勝利に喜び満面の笑みを浮かべる場面でありながら、北野の顔は青白く、コーラを持つ手は小刻みに震えていた。。。
GT-Rは勝った。
しかし、その勝利は北野の「神業」と、「執念」によって得られたモノの何者ではなかった。。。
GT-R終焉の時計は、無常にも刻一刻と時を刻んでいたのだ。。。
10月10日・・・
その日に向かって時間は過ぎていった。。
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ロータリー VS GT-R | クルマ
Posted at
2005/06/19 14:34:46