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徳小寺 無恒のブログ一覧

2005年10月10日 イイね!

真実 フェアレディ・ワゴン発掘

真実 フェアレディ・ワゴン発掘初代フェアレディZ(S30Z)は、時間が経つにつれますます輝きを増して、名車として語り継がれている。

しかし、その登場に際しては、並々ならぬ努力と、量産車としての工夫が満ち溢れている。

例えば、S30Zの特徴である、フロント・ヘッドライト部分の造詣は、ヘッドライトの部分を空けることによって、プレスの工数を下げ量産がし易くなっている。

この工法は、後に三代目のプレリュードのリヤ・フェンダーの造詣に採用された。



さらに、S30Zに特徴的な、サイドまで回りこんだバンパーの形状も、実はボディとボディの継ぎ目を隠し、ハンダによる継ぎ目を埋める・・という作業を廃止し、ここでも一円でも安くしようと工夫がされていたのだ。

すでに、Mr.Kこと「片山氏」と同じくらい有名なってしまったが、このS30Zをデザインしたのは「松尾良彦 氏」である。

彼には多くの武勇伝が残されており・・

新人で日産に入社した時、ちょうどブルバード410が発売される事になり、ピニンファリナから送られて来たモックアップを見て・・
「こりゃ売れない!」
と上司に言って問題となった。

それじゃ、お前何とかしろ!と言われて410のマイナーチェンジを担当し、410の尻下がりのデザインを直し、SSSを開発し売上げをあげた、などなど枚挙にいとわなかった。

その松尾氏(以下敬称略)が、次に手がけたのは運命のクルマ「S30Z」であった。

松尾が開発に入る頃、組織変更があり、松尾は410は売れないと言って直言した上司「四本和巳」の下で働く事になった。

その組織の中でも松尾が所属したグループは、人数が少なく、あれもこれも一人でこなさないといけない状態だった。
それは、ちょうど510ブルーバードの開発が佳境に入り、この先、売れるか売れないか分からないスポーツカーのグループに人を回してもらえなかったからなのだ。

そんな中、松尾は次期フェアレディの構想を練っていた。

「トヨタ2000GTみたいな一般的でないスポーツカーは、はたして正論なのか?」

「日本ではプリンスS54BやコロナRT50など、北米ではマスタングなどの スポーティ・カー が売れていて、フェアレディなどの需要が少ない」

などと市場分析を始めた。

松尾の分析はこうだった。

「スポーツカーが売れないのは、耐候性、治安の悪いオープンカーが多い。高価、荷物が積めない、乗り心地が悪い、高性能過ぎて乗り難い」

であった。

ユーザーにとって、正直「スポーツカー」の方が「スポーティ・カー」より魅力的で乗りたいクルマであるが、上記した欠点があるから乗れない、それなら、「スポーツカー」の魅力を失う事無く、新しい時代の「スポーツカー」を造ればいい・・・と結論付けたのだった。

そこから多くのスケッチが描かれ、モデルが造られ、S30Zは玉成されていった。。



その中で、前出のデザイン上の工夫をすることによって価格を下げる事も進めたが、さらに量産効果を狙って複数のヴァリエーションも考えられていた。

じつは、後からシリーズに加えられた4人乗りのS30Z・・・「2by2」もすでにこの時デザインは完成されていたのだ。

歴代Zの中で、このS30ZとZ32以外の「2by2」は、どうも違和感のあるデザインとなってしまっているが、S30Zも最初から全てのデザインを考慮して造られているので、それほど違和感が無かったのだった。



それでも、発売された当時、口の悪い連中に言わせれば、「2by2」の事を「フェアレディ・ヴァン」と言って、その存在を認めようとしなかったものだ。

しかし、量産効果を狙った、複数のS30Zのイメージスケッチの中に 「ワゴン」 の存在も検討されていたのだった。。。

それが、TOP画像のスケッチであった。

スポーツワゴンのはしりは、スバルの「レオーネ・ツゥーリング・ワゴン」だと言われているが、実はその遥か前に、マツダがロータリーを載せた「マツダ・サヴァンナ・ローターリー・スポーツ・ワゴン」があったのだが、それよりも遥か先に、日産は、いや松尾は「スポーツカー」である「S30Z」に「ワゴン」のスケッチを描いていたのであった。



もし、S30Zにワゴンが出ていたなら・・・日本の、いや世界のクルマの文化における「ワゴン」の存在は、今とはまったく違った形になっていたに違いない。

「安く・高性能・美しい」の三拍子が揃った「S30Z」がリリースされて、世界で売れ続けた事は周知の事実である。

そこには、松尾の様な冷静な市場分析力と、量産に向けた日産というメーカーの努力があったからである。

そんな「S30Z」の開発の中で、現代の「スポーツ・ワゴン」のコンセプトがあったという事実は、非常に興味深く、如何に売れるクルマを造る人間は先見の目があるかという証明であったかという、ひとつのケーススタディであるように思えてならないのだ。

多くの人の熱意で現代に蘇った「Z33」。

はたして後世の評価は・・・合わせて気になる部分でもある。。
Posted at 2005/10/10 17:24:10 | コメント(4) | トラックバック(1) | フェアレディ | クルマ
2005年09月16日 イイね!

金属 意外な事にお金が掛かっているもんだ・・

金属 意外な事にお金が掛かっているもんだ・・先日ソアラのデザインについて、いくら開発者の苦労と努力があっても、必ずしもそれが報われない・・・事をコメントしたが、Z33にもそれがあるのだ・・・

例えばメーター周りのアルミパネルだが、この工法は薄く自由に成型できる方法なのだが、Z33の場合には薄さが災いして、成型時の「巣」などの発生が予想を超えて、不良率がクルマの部品としても異常に高くなっている。。。。

それでも、ホンモノの金属感を表現したいという開発者の意図が重視され現在も採用されているが、部品単体で見てもクルマの部品としては破格の高額部品となってしまっているのだ。。。

今回、Z33はマイナーチェンジを敢行したが、ここでも思わぬ部品が大きな問題となった。。。

それがエアコンの操作用のツマミ・・・「ダイヤル」である。。。

マイナー前は、樹脂のメッキ部品であったが、それが触った感触や質感で問題アリと多くのユーザーから声が寄せられた。。。
さらに追い討ちを掛ける様に、欧州の某車がこの部分にアルミの部品を採用してリリースしたのだった。。。

そこで、マイナー後は「ダイヤル」を樹脂から「アルミ製」に変更してさらにデザインも代える事にしたのだが・・・

デザイナーがデザインキャドでデッサンし、それがメーカーに提示された・・・

そこからが戦場であった。。。デザインキャドから、部品を作るために部分部分の数値化が図られ、図面かされたが、これを現在ありうる工法で実現するか?それが大きな問題となった。

形状は一見すると単純な様だが、実は微妙な曲線と曲面が多様されており、さらに操作性の問題から重量にも制限付けられた。。

とある方法では成形性は良いのだが、表面の処理が困難で行き詰ってしまった。

またとある方法では、薄肉化成型性は良かったものの、精度に問題があり、ダイヤルを回した時の節度感が悪く、また壁に突き当たってしまった。。。

さらに追い討ちを掛けたのが、表面の処理だ。

いかにも当たり前の色合い、風合いだが、実は今の日本ではどれも失われてしまった技術であったのだ。。。

かつては高級なオーディオでは当たり前だった処理の方法が、シスコンになり、それも海外で生産されるようになって、国内では殆ど見ることが出来ない手法になってしまったのだ。。。

しかし、開発陣は短い時間の中で、ひとつひとつ問題をクリアーにしてゆき、それらを解決していった。。。

そこにはメーカーの努力もあったが、下請けという影の立役者がいた事を特記しなければならないだろう。。。

今度日産のショルームでZ33のインパネを見ることには、そんなメーカーや下請けと呼ばれる影の立役者の姿を想像しながら、メーターパネルやエアコンのダイヤルを触れて欲しい・・・と思うのだ。。。

単純な部品であるがこそ、実は多くの英知が注がれている事を忘れないで欲しいのだ。。。
Posted at 2005/09/19 01:12:13 | コメント(1) | トラックバック(0) | フェアレディ | クルマ
2005年06月09日 イイね!

上蓋 S30Zボンネットの切り欠きの正体は!?(切り欠きシリーズ!?)

上蓋 S30Zボンネットの切り欠きの正体は!?(切り欠きシリーズ!?)過日のブログで 「トヨタ2000GT」 の、フロントフェンダー左右の切り欠きの正体を激白したのだが、これも日産ファンでも意外に知られていない(気にしていない!?) S30Z のボンネット上の二箇所の「切りかけ」の正体を暴こうと思う(笑)。

まず、頭に入れていただきたいのは、S30Zのボディサイズだ。



全長4115 全幅1630 全高1285 ・・・・・・

ちなみに「ラティオ」のディメンジョンは
全長4395 全幅1695 全高1535


画像では大きく見えるS30Zでも、全高はセダンとの違いはあるが、全長も全幅も「ラティオ」より小さいのだ。



実はS30Zは、意外なほどコンパクトなボディサイズだったことが分ると思うのだ。

そこへ大きなL20とかL24、S20を搭載する訳だから、エンジンルームはいっぱいいっぱい。

トヨタ2000GTほどではないが、補機類のレイアウトも知恵の輪状態だったという。

初めて「S30Z」を見たフォードやGMの技術者たちが、その「知恵の輪」エンジンルーム・レイアウトを見た時に

”DATSUN MAGIC”  ”crazy!!”


と言った話は有名なハナシだ。

さてさて、そこで登場するのが「ボンネットの二ヶ所の切り欠き」なのだが、狭いエンジンルームに、補機類をレイアウトするとなると、



トヨタ2000GTと同様に「バッテリー」の置き場が無い。

改めてエンジンルームを見回すと、タイヤハウスとパッセンジャールームを仕切る間に空間が空いているではないか、そこで、左右のその空間に「運転席側はウインドウォッシャータンクとマスターバックシリンダーの注油口」、助手席側には「バッテリー」が鎮座して、そのメンテが容易な様にボンネット上に「蓋」が付いた。。。という訳なのだ。

ちなみに輸出仕様になると、自動的にマスターバックも左右逆になるので、「運転席側:バッテリー」、「助手席側:ウインドウォッシャータンク」となる次第だ。

せっかくなんで、さらに「S30Z」ネタを・・・

「ルームランプ」、「トランクルーム・ランプ」って現在では当たり前なんですが、「S30Z」当時、多くの国産車がそうであった様に・・・・

「エンジンルーム・ランプ」


が標準で付いていた。

当時から、日本車の故障率の低さは世界的に有名でだったが、それでも、「イザ」という時の為に夜間の急なトラブルでも大丈夫な様に「エンジンルーム」にも「ランプ」が付いていたのだ。

ちなみに「エンジンルーム・ランプ」は、ボンネットの開閉にリンクしていなくて、「ランプ」の横にスイッチがあって、それで「ON・OFF」するようになっていた。

まさに現代では考えられない「標準装備」のひとつだった次第だ。


Posted at 2005/06/09 09:55:06 | コメント(2) | トラックバック(0) | フェアレディ | クルマ
2005年05月28日 イイね!

変身 S130Z産みの苦しみ・・イメージスケッチに苦心を見た!

変身 S130Z産みの苦しみ・・イメージスケッチに苦心を見た!フェアレディの歴史の中で、もっともモデルチェンジに苦心したのが、「Z」として二代目に当たる「S130Z」だ。

なにせ先代が売れに売れて、ギネスにスポーツカーとしての販売台数のレコーダーとして未だに、その名が残っているくらいの偉大な先輩の後、開発陣の苦悩は大いに理解できるモノだ。

S30Zも登場した当時は、斬新で快適なスポーツカーであった事は疑う余地もなかったのだが、さすがに10年という歳月はS30Zと言えど、販売末期に至っては「オールドカー」の範疇に入ってしまった。

なにより、安全性や公害対策と言った時代の要請に答える事がだんだんと難しくなってしまっていたのだ。

「S130Z」の開発は、実はかなり前からスタートしていたのだが、一番の悩みはスタイリング。S30Zのスタイリングが、荒削りながら完成され「Z」という個性を充分に具現化していたので、それをどう表現するか・・・開発陣は大いに悩んだ。

S30Zのスタイリングを昇華させる案、まったく違ったアプローチをする案・・・種々多様なイメージスケッチが描かれていたが、そんな中、当時特に注目されていた「空気抵抗」の低減を狙って、リトラクタブルヘッドライトの採用が世界的に流行していたが、「S130Z」にもリトラクタブル案が当然あったのだ。

今回は、その中から2案ほどピックアップしたが・・・

いかに「S30Z」のイメージを残しながら、新しい流れに仰合させるかを模索していた姿が、このスケッチを見るだけでも分かる。しかし、リトラクタブルを採用すると、どうもどのクルマも同じ顔かたちに見えてしまうのは私だけだろうか?

一見すると、初代や二代目のRX-7的でもある。

ここで大胆に考えてみると、もし、このどちらかが「S130Z」に採用されていたら後に登場したRX-7も違った姿になたかもしれない。

そして「S130Z」であるが、大幅なデザインの変更はされず、「キープコンセプト」でリリースされる事になった事は周知の事実である。

産みの苦しみの中に見た、時代の趨勢と流行。

そんな観点から、ひとつのクルマをじっくりと見てみるのも、なかなか面白いモノだと思いませんか?
Posted at 2005/05/28 08:51:39 | コメント(2) | トラックバック(1) | フェアレディ | クルマ
2005年05月16日 イイね!

三座 フェアレデーSP310の初期型の謎に迫る!?

三座 フェアレデーSP310の初期型の謎に迫る!?フェアレデー(フェアレディ)のネーミングを冠した二代目となるSP310の初期型には、世界的にも珍しい「スリーシーター」であった事はつとに有名な事である。

ブルーバード310のフレームにオープンボディを換装した、ブリティッシュタイプの美しい国産初の本格的なスポーツカーと言って過言では無いだろう。。。

全長3910mm、全幅1495mm、車重は870kgと、全長以外は現行のマーチよりコンパクトないでたちであった。
(K12マーチ全長3695mm、全幅1660mm、車重940Kg)

そのスリーシーターの様子であるが、これがなかなか雑誌等でもヴィジュアルとして掲載されている事が少ないので、ここで改めて紹介したいが・・・



薄いシートにヘッドレストが無い様子は、まさに時代を感じるが、意外にレッグスペースも用意されており、こっ恥ずかしさを除けば快適な空間が用意されたいた事に気付くだろう。

と・・・ここまでの紹介であれば、どこの自動車雑誌でも気が利くモノであればありそうだが、そこは徳小寺 無恒!ここで一歩踏み込んで、意外な事実を公表しようでなないか。。。

実は、このサードシートには大きな秘密があったのだ!!

こんなに昔のクルマであったのに、重量の配分までちゃ~んと検討していたという事実が隠されていたのだ!!



シートをめくると・・・なんと「バッテリー」が隠されていたのだ。

これはSPマニアでもあまり知られていない事実なのだ!

スリーシーターばかりが注目されてしまうSP310だが、実はこんな工夫が隠されていた事を誰も注目しないのは、昔から本当に不思議だったのだが、これを見られた皆さんは、ぜひ、昔の日産のスポーツカーにかける意気込みを知ってもらえたら・・・と思うのだ。

トヨタやマツダ、ホンダ、スバルのファンには申し訳ないが、どっこい日産にはこんな昔からスポーツカーにかける意気込みがあった事は、我々、「日産党の誇り」であると言えよう。
Posted at 2005/05/16 00:25:09 | コメント(3) | トラックバック(0) | フェアレディ | クルマ

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「後視 いやぁこんなに簡単なバックカメラがあったなんて!! http://cvw.jp/b/124785/23876370/
何シテル?   01/04 14:54
無類のクルマ好きで、日産車を愛してやみません。 徳小寺 無恒のHNを引っさげ、かつての愛車、ワインレッド・パール・ツゥートンのU14ブルーバードの話題を軸...

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