
240K GTの話題で盛り上がったところで、C110スカイライン、通称「ケンメリ」の白のクゥーペだけの秘密を今、明かしましょう・・・
今では美しいとか、綺麗だと評価の高いC110クゥーペですが、実際に発売されるまでの評価は散々でした。
(こういう例は意外に多く、かのブル910も社内では最悪の評価だった)
最終的な生産の承認を得る為には、会社の上層部のOKが出なければいけなかったのですが、そのセレモニーの前に、当時の社長へC110のクレイモデルを見せていたのだが、そこでの評価は芳しくなかったのだ。
リヤが重々しい。。。ピラーからリヤフェンダーにかけての面が単調過ぎる・・・ピラーとリヤフェンダーの稜線の位置に、メッキモールを付けろ・・と、櫻井(敬称略)に内々にお達しが出ていたのだ。
勿論、櫻井は大反対をした。
これまで苦労して作り上げたデザインが崩れてしまう・・・と。
しかし、会社という組織では、いち担当者のできる反論はたかが知れている。
最終プレゼンの日が来てしまった。
場所は、荻窪の旧プリンスの工場だった。
プレゼンの直前まで、上層部の意見に反して、オリジナルのデザインでプレゼンする予定だったが、櫻井は思いついた、急遽、日頃は設計と製造で喧嘩ごしでやりやっている工場長に櫻井は耳打ちをした。
プレゼンで用意しているクゥーペのリヤフェンダーの稜線に沿ってメッキモールを付けてくれと。
プレゼンまでの時間は無い、しかも設定の無いモールをすぐ付けろ・・とは、無理難題な依頼であったが、工場長は他の車種のモールを加工し、あたかも最初から設定されたたが如くに仕上げた。
プレゼンが始まり、上層部達はクゥーペにモールが付いている事に気付き、上機嫌で生産にGOサインを出したのだった。
生産が始まり販売も好調であったが、例のモールは生産車には付く事は無かった・・白以外のクゥーペには !?
そう、プレゼンに用意されたC110のクゥーペは「白色」で確かに生産車の「白色のクゥーペ」にはモールが付いていたが、それ以外の色のクゥーペにはモールが付かない・・という前代未聞の造り分けがされたのだ。
「白」のツゥードア・ハードトップ のリヤのショルダーラインには「モール」が・・・
櫻井の思惑は、白色なら例えモールを付けても目立たないし、上層部には、プレゼンは白のクゥーペでやりましたよ・・と言えば、白のクゥーペだけモールが付いている理由付けができると考えたのだった。
GT-Rと普通のクゥーペの見分け方。。というのが流行ったが、白のクゥーペだけにモールが付いていた・・という事は、あまり知られていない事実であった。
C110クゥーペの秘密は、現代まで一部の関係者のみが知る、大人の秘密であった。
Posted at 2005/03/08 01:00:48 | |
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