
仕事柄、クルマの色々なパーツを見る機会が多いのだが、最近とみに思うのが、トヨタのメーターの精密さだ。
かつてはデザインなどで、日産もソコソコ印象的なメーター造りをして好評を博していたが、トヨタが「字光式」・・・つまり、昼でも夜でも文字をバックから、光を常時透過させ、さらに指針までも発光する「オプティロン・メーター」を発表してからは、一気に形勢が逆転してしまった。。。
日産も追従して色々なメーターを、トヨタに対抗して出してきたが、見栄えもいまひとつで・・・分解すると恐ろしく構造が複雑だったりしてコストが掛かる要因となってしまっている。。。
メーターといえば
みやこしさん が、その研究では第一人者で、例えばシーマのメータなども入手して、分解して研究している。。。
セルシオのメーターの画像を見ると、その輝度とは裏腹にシンプルに薄く造られている事が分かる。
シーマのメーターには、冷陰極管が使われて一見すると先進的なのだが、正直光量が少ないので、それをメーターの文字に導くために巨大なアクリル製の導光版が、文字盤の裏に配置されている。
これだけでも重量は増すし、ムラの要因にも為りかねない構造なのだ。
そのために、メーターASSYも、信じられないくらい厚みがある。
一方のセルシオのメーターは、シーマよりはるかに明るくてムラの無い発色をしていながら、ASSYの厚みは薄いし、構造もシンプルになっている。
基本的には基盤上の「チップLED」の光を文字盤に導いているのだが、これがなかなか絶妙なのだ!
文字盤の裏は、実は二重構造となっており、文字盤の裏には厚さ数ミリの乳白色のアクリルかポリカードネイド製と思われる板が一面にサンドイッチされており、その裏に「チップLED」の場所のみに穴が開いた裏ブタが付けられている。
穴の開いた裏ブタの、穴の部分から「チップLED」の光が取り込まれ、外に漏れないようにして、さらに乳白色の樹脂に「チップLED」の光を照射する事によって、光が均一に文字盤にとどくという算段だ。
これなら、恐ろしく厚い透明なアクリル製の「導光板」を使わなくても効率よく光を集める事ができるのだ。
文字盤の裏の樹脂が「透明」でなく「乳白色」というのが、第二のポイントで、「透明」な樹脂だったら、光を照射された部分が局地的に明るくなって、メーターの文字盤の光ムラになるのだが、微妙な「乳白色」の為に、光が集中する事無く均一に光が拡散しているのだ。。。
最近は、もっと構造がシンプルになっており、「アイシス」辺りでは、文字盤裏の樹脂の裏一面に光を当てるのではなく、樹脂の側面に数個の「チップLED」を照射する事によって、効率良く光が樹脂に入力され、満遍なくメーター全体に光が行き届くようになっている。。
こうする事によって、「チップLED」の数は激減するし、樹脂も1~2mmの厚さになっており、セルシオに比べても明るくて、メータのASSYの厚みも薄くなっているのだ。。。
シルフィ の様に、電球をシコタマ点燈させて、分厚い透明な導光板を駆使して根性で光を拡散する方法は、安価と言えば安価なのだが、雰囲気や構造のシンプルさでは、トヨタ方式にはまったく歯が立たない・・・のが実情なのだ。。。
セレナから、これがまったくトヨタ方式そっくりの構造のメーターが採用されてきたので、電球しこたま・・・というメーターは姿を消すのだろうが。。。ここまで来るのに日産は余りにも多くの時間と費用をかけてしまったのだろうか・・・
こんな所にも、悔しいながらトヨタと日産の違いをまざまざと見せ付けられてしまった様な気がしたのだった。。。
Posted at 2005/09/20 21:44:05 | |
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