
自らの型式 AW を抽象化したエンブレムを纏い、安価でありながら高い志で創生された 初代MR2 だが、ベースとされたカローラのコンポーネンツを流用したことから、残念ながら 「付け焼刃」 、見せ掛けだけの 「ミッドシップ」 などと陰口を叩かれた事も事実だ。
しかし、スタッフたちの熱意は並々ならぬものがあった。
主査である 吉田 明夫 は、開発スタッフ10名余を、50時間に渡って強制的にサーキットで、細谷四方洋 を招きクルマの挙動について身体に叩き込ませた。
それまでは、専用のドライヴァーがスティアリングを握って、そこで体験した事をスタッフに伝えて、それを開発スタッフがリファインさせて、再びドライヴァーが・・・という組織だったが、スタッフそのものもクルマに乗って、クルマの完成度を高めていったのだ。
そうした努力が実ったのが、乗り味もそうだが、意外なところにも結果が出て来た、その一つがエアコンの効きだった。その特徴的なメータークライスターがセンターから噴き出したエアコンの風を遮り、ドライヴァーに届かなかったのだ。それをドライヴァーが見つけ、これは顔に熱い時に涼しい風が届かないのはどうか・・と開発スタッフに言ったが当初は取り合ってくれなかった。
それが、サーキットランで真夏の暑い最中走行して、開発スタッフが体験すると、確かにこれはイケナイとなって、
発売当初は何の出っ張りか誰も理解できなかったのだが・・・
クライスターに微妙な膨らみを与える事によって、「壁面効果」によって、クライスターに沿って風が流れる様になって、快適なドライヴァーズシートとなった。
動力性能も、身の丈にあった、トヨタ・・・いや僕的に言えば ヤマハの伝家の宝刀 「4A-GELU」 の適度なパワーによって、辛うじてだがシャーシの方が速いクルマにできた。
リミッターを外せば簡単に 200Km の世界へ。この頃は簡単にリミッターを外せてねぇ・・
後にモアパワーという声に押されて、スーパーチャジド・モデルが出たが、正直、NAでのバランスの良さが崩れて、ちょっとヤンチャなクルマになったのは残念だった・・・閑話休題。
その MR2 には、趣味性の高いクルマと言う事で オプション も数多くリリースされていたが、中でも面白かったのが、
狭いルーフをクリアーする為に、後ろ側の足が異常に伸びたラックが印象的だ。
狭いルーフを如何にクリアーするかという 「ラック・ベース」 だ。
前側は良いんだけど、後ろ側はかなり苦労して設置させるべく苦労して作っているのが分かる。
ちなみに当時の価格は \19,800- なんだが、正直僕は見た事が・・・・(笑)
付け焼刃などと揶揄された、初代 MR2 なんだが、実は・・・という熱意が隠されていた事を皆さんにも知って欲しいと思う次第なのだ。
Posted at 2012/09/08 18:13:32 | |
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