
過去から現在にかけて、何故か「女性仕様」という珍妙なクルマが多く輩出された。悲しいかな、その多くは我が日産で、何と世界初(他所の国じゃ作らないってば!・・・閑話休題)の女性仕様を1961年にブルーバード310に設定して「ファンシーDX」なる名称で売り出していた。
この「ファンシーDX」は、女性ドライヴァーの増加で女性のオーナーカーも必要だろうという事で設定され、内容は
「専用ツゥートン・カラー」
「サンバイザー裏の化粧品入れと照明」
「ハイヒール入れ」「傘立て」
小柄な女性でも楽にポジションが取れる様に「前後100mmに延ばしたシートスライド」
当時驚きの「電源コンセント」
これが意外に知られていないんだが、「ウインカー
連動(!!)オルゴール」
とかなり気合に入った仕様だった。
今見ると、恐ろしいくらいの内装の様子だ・・・まぁこれはオプションも含まれているけどね
確かに、女性は「カワイイ」のが好きだろうし、クルマをプライヴェートルームと見て、あたかも自分の部屋の延長と考えるだろうけど、ちょっとやり過ぎの感が無くは無いモノだ。
ただ、この「ファンシーDX」は、相当、当時の女性の声を聞いて開発されており、見てくれの「お姫様仕様」はともかく、小柄な女性も多かった事から、ポジションを取り易いように、シートスライド幅を「前後100ミリ」延ばしたり、小さな靴サイズでも、踏みやすい様にガスペダルを「オルガンタイプ」のペダルを採用したりと、クルマ本来の機能である
「運転のしやすさ」
にもメスを入れた事は称賛に値するだろう。
省みて、これ以降の女性仕様ときたら、見てくれ重視の仕様ばかりで、カラーリングを替えたり、シートに刺繍を入れたりと、これで女性仕様!?というモノが多く輩出された。
しかも、ベースグレードは下の方だから、装備そのものは質素で、酷いモノとして、ヴァイオレットに設定されたいた「ファンシーGL」なんて、その安さ加減を隠すために、鉄っチンホイールにボディ色を施すなんていう酷いモンがあったりした。。
ブルの初代「ファンシDX」は、少なからずとも、女性の声を聞きながら開発されていたが、それ以降の女性仕様は、男性の開発者が勝手に想像を張り巡らせて作ったとしか思えないモノがゴロゴロと出てきた。
、
見た目の女性仕様、例えばカラーリングやシートの柄、材質など、本質的な見てくれでの女性仕様は現代に於いても成立するかもしれないが、機能的な部分での女性仕様は難しくなっているのではないだろうか。
サンバイザー裏の照明付きのミラーなんて、ほとんど標準になったし、小柄大柄でシートスライド量ウンヌンなんて、男性だって大きいのから小さいのまでいるのだから、それを指して「女性仕様」というもの可笑しいモノになってきている。
もはや、これだけ女性のドライヴァーが増えると、特別に女性に媚びた仕様というもは存在意義が無くなってきていると思うのだ。
「女性仕様」これは、もはや必然性が無くなった、過去の幻影なのかもしれないと感じている次第なのだ。
Posted at 2012/10/28 11:35:22 | |
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