
果実の北京モーターショウで公表された日産のコンセプトカー
「Lannia Concept(ラニア・コンセプト)」 。
「藍鳥(Lan Niao)」 という中国語に由来しているという事で、ハッキリとは言っていないが 「藍鳥」 つまり 「ブルーバード」 をインスパイアして造られたコンセプトカーと言う事だろう。
こう書くと、すぐにブルーバードは、直線基調で平面を強調したデザインで無いといけないという画一的な声が聞こえてきそうだが、僕は決してそうは思っていない。
確かに、歴代のブルーバードで売れたのは、日本的な直線を生かしたモデルが多かったが、
歴代のブルの中で最もスポーティでブルのイメージを定着させた510。
新しいデザインの方向性を打ち出したU12だが、基本的に直線基調だ。
デザインだけでブルーバードを語るべきではないと思うのだ。
公害対策で疲弊してしまった 810 や 811 は別にして、ブルーバードの神髄は、デザインでも、メカニズムでも、日産の新しい方向性や技術を詰め込んで市場に提案する事だと思うのだ。
それが、思い込みや時期尚早で受け入れられない事があっても、日産の長男坊として、良いも悪いも存在感が必要だと思うのだ。
ピニンファリーナの尻下がりのデザインが不評を買った410。しかし、今見ると実にエレガントなデザインだ。
省みて、今回の
「Lannia Concept(ラニア・コンセプト)」 なんだが、メカニズムは別にして、実にセダンでありながらアグレッシブで個性豊かなデザインであると言えよう。
トヨタの単純な「線」のデザインではなく、線と面が絶妙にコンビネーションし、陰影が美しい。
ボディサイドのデザインは、流行のフロントフェンダーの処理には目新しさは無いけれど、トヨタの折り紙細工の様な、単純にプレスラインを何本も通したペキペキデザインでは無く、プレスラインとそれに呼応する面処理が絶妙で、陰影が美しく映える。
薄いルーフの処理で、ウエストラインが高いにも拘らず、ウインドゥが狭苦しく見えない。そして、ショルダーラインがリヤドア後方でキッキアップして、セミファーストバックのCピラーに収束しており、実に躍動感に溢れている。
かなりハイデッキなのに、それを感じさせないデザインだ。
リヤに回ってみると、かなりハイデッキで、腰高にも拘らず、それを感じさせない面の連続処理は思わず唸ってしまうモノだ。
面と面との境界線には、プレスラインが入るのだが、そのエッヂはまろやかな局面でR付けされているので唐突感が無い。そして一つ一つの面構成が実に旨くリンクされており、例えば、ナンバー周りの末広がりの八の時の面は、延長するとちゃ~んとリヤバンパーのブラックアウトされて部分に繋がっていて、それが後ろから見た時の安定性、腰高感の払拭に功を奏している。
最近の面白くない国産車のセダンのデザインにヘキヘキしている僕としては、正直、この
「Lannia Concept(ラニア・コンセプト)」 のデザインは、なんとか国内にこそ欲しいと感じて止まないのだ。
こいつに、そこそこのパフォーマンスのエンヂンを詰め込んで、SSSを名乗らせたら実に愉快だとは思わないか。
まぁ正直数は出ないだろうが、まさしく今の日産のデザインのひとつの橋頭保として、マツダやスバルのセダンの連中に一泡吹かせてやれそうなんだが如何だろうか?
数が出ないから売れないでは無く、数が出なくとも、メーカーとして「どうだ!」というイメージリーダーとして、
「Lannia Concept(ラニア・コンセプト)」を市販したら、これはじつに痛快だと感じた次第なのだ。
中国でデザインされ様が、優れたエッセンスはくみ上げるべきだ。逆に国内のデザインの惨憺たる状況にカツを入れる起爆剤になるかもしれない。
Posted at 2014/05/18 09:01:48 | |
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