
子供の命のタイムリミットを宣告されて、残りが少なくなってしまった。
2年くらい前までは、考えられる薬の処方や、発症した症状に合わせて薬を投与して、そして身体能力を維持するために毎月、理学療法を、そして家庭でも毎日、理学療法の延長を行って来た効果が出て、
これならタイムリミットを延ばせる、いや、病気も克服できる
と淡い期待を持っていたのだが、それも最近は、薬も効かなくなり、理学療法を嘲笑うかの如く、病状が一気に進行してしまった。
昨日できた事が、朝起きるとできなくなる・・・このままでは数年もしないうちに話すこともできなくなる恐怖に正直、毎日際悩まされている。
そうなると、何とか子供の夢や希望を叶えてやりたいと思うのが親という事で、ただ、それが迷惑をかけたり、社会通念に反した事は無いようにとは心掛けているが、正直、ギリギリな事もあり得てしまう。
今回も、そのギリギリのセンなんだろうが、だいたい秋口から、鉄道各社で車両基地の体験会や見学会が催される。ウチの子も電車やクルマが好きで、クルマ椅子になる前は頻繁に、応募して親子で参加していた。
それが、車両基地という施設の様子が分かっているだけに、クルマ椅子になってからは、そうした見学会などに行くことは諦めていた。今年の夏のある日だった、子供がポツリと「また車両基地に行ってみたいね」と呟いた。
やっぱり、我慢していたんだ。
僕もクルマ椅子では、難しい事は重々分かっていたが、ダメもとで、そうした見学会などの情報が入ると、その会社に直接、電話などをして「クルマ椅子」での見学が可能か聞いてみたが、その何処もが「クルマ椅子」と聞くと、安全が確保できない、クルマ椅子では参加しても移動できない、フォローする人手が無いと散々断られてしまった。某私鉄に至っては、電話口で「クルマ椅子では無理に決まっているでしょう」とけんもほろろであった。
そして、そうしたシーズン最後であろう、JRの 「新潟車両センター見学会2020」の参加ができるかメールで問い合わせると、こんなメールが返ってきた。
このたびは「新潟車両センター見学会2020」へのご参加に関わるお問合せを頂戴し、誠にありがとうございます。
今回のイベントでは車椅子のお客さまのエントリー・ご参加をお断りするものではございません。
しかしながら、段差や狭い箇所など車両センターという施設の構造上、一部に制約が伴うことも想定しております。現在、イベントメニューの詳細を最終調整している段階のため、具体的にお示しすることができず申し訳ございません。安全な催行のためご容赦いただけますと幸いです。
ご来場いただきます際には、出来得る限りの対応で関係者一同お迎えいたしますので、徳小寺さまのエントリーをお待ちしております。
このメールに僕の涙腺は破裂してしまった。
ここまでクルマ椅子に対してしっかりとした返事をもらえたのは、江ノ電と、このJR東日本だけだったからだ。
しかし、まずは200人というハードルを超えなくてはならない。そして、ネットで応募した。
数日後、我が家のポストに、
まさかまさかの倍率で当たればイイねだったのが・・・幸せがやって来た!
JR東日本から「幸せの便り」がやって来た!
家族3人分のパスと案内状がやって来た。これは今年一番の嬉しい出来事かも。
中身は当選の案内と当日のパス。
正直、当選するなんて思わなかったから、これが来たときにはエラク驚いてしまった。
さっそく、当選したはいいけど、迷惑を掛けたくないという思いから、JRにこんなメールを送った。
本日、当選の案内を頂きました。家族で大変喜んでおります、しかしながら、車両基地という条件の中、クルマ椅子での見学は非常に厳しい事も承知しております。
全ては見学できなくとも構いませんので、クルマ椅子で見学できる範囲、皆様のお手間にならないよう、また安全に配慮致しますので何卒よろしくお願い致します。
すると間もなく JR東日本から返信があり、
このたびは「新潟車両センター見学会2020」の参加ご当選おめでとうございます。厳正なる抽選を行いましたのち、事前に事情をお伺いしておりましたことから事務局に照会し、徳小寺さまのご当選を確認しました。
事務局と調整の上、車椅子対応座席をご用意し、参加証を発送させていただいきました。
(中略)
弊社都合で誠に恐縮ではございますが重ねて個別にお伺いする事項が生じた際には、先日のお電話番号宛てにご一報させていただく場合もございますので、その際にはご対応を頂戴できますと幸いです。
なお、先般お寄せいただきました温かいお言葉につきましても当日ご案内を担当します現場のスタッフとも共有し、イベント当日に向けて最終準備をすすめております。
新潟も寒さが少しづつ厳しくなる季節になってまいりました。屋外での開催となりますことからイベント当日は暖かいお支度でお越しください。徳小寺さまのご来場を関係者一同、心よりお待ちしております。
これにも、まったく感動以外の言葉が見当たらなかった。
ますます JR東日本の熱意を感じて、それでもできるだけ負担にならない様にと色々と策を練って当日を迎える事にした。
Posted at 2020/12/21 15:22:51 | |
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