
かつては日産の「長男坊」とか、「日産を代表する」なんて形容されていた「ブルーバード」。
モノコックボディの採用、四輪独立懸架、電子式燃料噴射などなど、日産の新しい技術は、ブルーバードからという雰囲気も持っていた。
しかしねぇ、日産の ド下手 なマネジメント等によって、貴重な日産の DNA のひとつである「ブルーバード」も現代では脈略を絶たれてしまった。
そんな中で、日産本人も「忘れて下さい」というモデルがあった。
ブルーバードは1500~2000クラスで激しい販売台数争いを戦って来た! クリックで拡大
大きく肥満体になってしまった ブルーバードU こと 「610」と、公害対策などなどで、満足にデザインも企画も出来なかった 「810系」 が代表格だろう。
ただ僕的には、610 も併せて 710 もデザイン的には、線の一本一本、面構成などは、本当に考えられて作られており、610 も 710 も、直線パキパキなデザインの好きな日本人に合わなかっただけで、非常に見ていて惚れ惚れするデザインだったと思っている。
さらに時代も悪かった。
暗転 豊かさが足を引っ張ったバイオレット、ブルUの悲劇
↓
https://minkara.carview.co.jp/userid/124785/blog/36594612/
その次の 810系 は、公害対策で開発費用も無く、下手をしたら「モデルチェンジなんてやっている場合か」と、国内外でクルマに対する非難ごうごうのなか、やっとできましたというモデルで、何時ぞやか、「自動車の定常円旋回特性に関する理論的考察」という
クルマ関係なら誰もが知っている論文 でも有名な、810 の開発主幹であった「石川康雄」さんと話した時に、「あれもしたかった、これもしたかった・・けど形を変えるのと、ほんの一部のメカのリファインが精いっぱいだった」と言っていたのが印象的だった。
そんな 810 なんだが、これが豪州に行くと非常にエポックメイキングなモデルとなって、実は、日産は豪州の
「85%の現地生産」 という目標に合わせて、豪州VWの工場を買い取り、最初に生産されたモデルが 200B こと 810 だった。
豪州日産初の現地生産モデルが 200B こと 810 ブルーバードだった。
それが面白いのが、単純に日本仕様の焼き直しではなく、セダンに 「SX」 なんていうスポーティモデルを加えた事だ。
「SX」は、専用のアルミにファットなタイア、グリルのデザインも異なっていた。
専用のアルミやタイア、外観も少し変えられており、これが、あの 810 か!?と思えるくらいスポーティな外観になっていた。
もともと、フロントグリル周りは、意識して 510 に似せられていたが、
僕が乗っていた、510最後期の、俗にいう「幸せの1400」と呼ばれた 1400DX。
「SX」のブラックアウトされたグリルのデザインが、ますます 510 ぽい雰囲気を醸し出している。
まぁ設備の関係で、リヤはリヂットだったが、それはそれでチューニングしやすく、結構、あちらのジムカーナ等で活躍していた。
リヂットならではのコントロール性の良さからジムカーナには最適だった。
そんな不人気の 810 も、国内販売では、たまにライヴァルの「コロナ」に勝つ事があって、ある時、810 に「コロナ」が月間売台数を抜かれたことを、日経の記者がトヨタ広報に告げると、
「犬が人を噛むとニュースにならないが、人が犬を噛むとニュースになるんですね・・」
と皮肉たっぷりに返されて事は有名なハナシである。
苦難 人が犬を噛むとニュースに・・・
↓
https://minkara.carview.co.jp/userid/124785/blog/137433/
そんな、開発者も認める「熟成不足」の 810 も、当時の国産車に流行っていた「病」、「角目斜め鼻 症候群」に感染してしまい、
スカイラインでさえ、角型ライト、スラントノーズ 症候群 に感染してしまったのだ。
ヘッドライトを角型に変更してマイナーを敢行した!
もちろん 810 も感染してしまい 角目 の 811 へとマイナーされた。
マイナーで 酷使に耐える 「HEAVY DUTY CAR 」のキャッチでスポーティさをアッピイルしていた。
公害対策で、さんざん低公害や低燃費を謳っていたが、やっぱり ブル はスポーツ だという事で、激しいイメージ戦略になった。
たしかに、角目になって精悍さが増してカッコよくなったが、それでもコロナには勝つことはできなかった。
そんな中で誕生したのが、ブルーバード生誕20周年を記念して発売された SPIRIT20 だ。
専用のボディカラーに、ミシュランタイヤ、シビィのフォグなんて当時の若者が欲しがるアイテムが満載されていた。
専用の装備にカッコいいボディカラー。金があったら買っていた(笑)
専用の「トーオントーン」と呼ばれるツゥートンカラーに、ミシュランXVS、シビィの沃素(ハロゲン)フォグなどなど、正直、当時、「金」があったら買っていたに違いない一台だ。
この後に、スーパーヒットになる 910 が出たのだが、その時、日産から「610と810系は下取り等で、販売店に入庫されたら スクラップ にするように」と中古車市場での不人気や、610、710、そして810系のイメージの悪さが、新しいブルーバードに影響を与えない様にという指示が、現代において、これらの個体が殆ど残っていないという不幸な歴史になってしまっている。
810系の日本や、海外での様子を見ると、その時代の日産の様子が垣間見れると思うのだが如何だろうか。
Posted at 2023/09/21 14:30:19 | |
トラックバック(0) |
ブルーバード | クルマ