
最新のディーゼルエンジン搭載モデルである、
BMW 320d BluePerformance に試乗してきました。
日本の乗用車からは、ほぼ絶滅していたディーゼルエンジンですが、
この数年で息を吹き返しつつあります。
私は、未だにディーゼル車は、所有した事がないのですが、ちょっと興味がありました。
前置きはさておきとして、早速試乗です。 用意して頂いたのは、320d Sports。
これまで、320i Sports と 328i Sports に試乗させて頂いているので、
比較対象としては、申し分ないです。
エンジン以外は、ほぼ同一仕様なんでハンドリングなどについては割愛します。
車両重量に関しても、特別に重たくはなっていません。
320i とほぼ同重量(+10kg)ですし、328i と比べると逆に軽量(-10kg)です。
さて、STARTボタンを押して、エンジンをスタート
周りが少々騒がしかった事もありますが、アイドリング状態だとディーゼルとは思えません。
ディーゼル独特のガラガラ音ではなく、ゴトゴト音とでも言うようなエンジン音です。
不快なエンジン振動も伝わってきません。
最新ディーゼルエンジンは、
一昔前のディーゼルエンジンとは、比べ物にならないくらい進歩しているようですね。
これはエンジンだけでなく、エンジン/ミッションマウントや消音材などの進歩もあるのでしょう。
アクセルを踏み込んでいくと、さすがにエンジン音が高まるのでディーゼルと判りますが、
クルマに詳しくない人だと、案外判らない程度かも知れません。
320d の最大トルクは、380Nmもあり、これは、320i の270Nm を大きく上回ります。
328i は、350Nmですので、これすらも上回るトルクを発生します。
その為、アクセルを踏み込んでいった時の加速力は、申し分ないです。
試乗は、一般道だけでしたが、
高速道路で80km/hから加速する時などは、かなり実力を発揮してくれそうです。
それくらい中間加速には長けている印象です。
コレだけのトルクがあり、しかも燃費が良いとなれば、
ディーゼルも一考の価値以上のものがありますね。
時期ファミリーカー候補としては、ディーゼルも検討したくなります。
ただ、全てを手放しで褒め称える事は出来ません。
それはディーゼルエンジンが一昔前よりも進歩しているのと同様に
ガソリンエンジンも進歩しているのです。
上に書いたように、低速トルクに優れた320d ですが、
320i と 328i と比べた場合、トルクの出方に少々物足りなさがあるのです。
もちろん最大トルクは、その2車を上回るのですが、最大トルクの発生回転数に違いがあります。
320i 270Nm 1250~4500rpm
328i 350Nm 1250~4800rpm
320d 380Nm 1750~2750rpm
上記を見て貰うと判るように、最大トルク発生回転数の幅が狭いのです。
特に低回転域に500回転の差は、大きいですね。
328i が、1250rpm時に 350Nmを発揮するのに対して、
320dは、320i の270Nmを下回る、230Nm程度しか発生していません。
これにより、アクセルをそれほど踏み込まないゼロ発進加速では、
380Nmの大トルクの恩恵を受ける事が出来ないのです。
しかもですよ、320i/328i と同じ8速ATではあるのですが、
ファイナルギア比が違っているのです。
320i/328i が、ファイナル 3.154 なのに対し、
320d は、ファイナル 2.813 となり、約10%のハイギアードなんです。
おそらくエンジンの許容回転数が低い事と、上記トルクバンドが狭い事への対処なんでしょうけど、
これはゼロ発進加速では、かなり不利なセッティングです。
エンジン回転を2000回転以下で、抑えて走った場合ですが、
320i/328i は、最大トルク発生回転領域でギアが繋がっていきますが、
320d は、最大トルク発生回転以下に落ちてしまうのです。
いわゆるトルクバンドを外すという事になります。
この最大トルク発生回転数の違い と ファイナルギア比の違い のために
低回転域では、320dは、ガソリン車に遅れをとってしまうのです。
320i よりは、確実に320d の方がトルクフルですが、328i との比較となると微妙な感じです。
320という事で、328よりは、パワー/トルクでも上回らせないという意図的なものがあるのかも知れません。
確かに320dは、320i の20諭吉アップですが、328i と比べると100諭吉ダウンです。
これで動力性能も328i を凌いでしまうと...
328i が売れなくなる可能性もあるからって理由だったりしてね(笑)
以上、320d の試乗レポートでした。