5月6日。
ひとりの高校生が冷たいハイウェイの路面で命を落とした。
運転能力に大いに問題のあるドライヴァーが起こした事故ではあったが、学校もバス会社も責任の所在を擦り合って、未だ一人の命が失われた根本的原因が見えない状態が続いている。
ただ僕が思うに、この遠征が 後一週間 、いや、あと 10日 でも遅く行われていたら、あのドライヴァーが運転していても、17歳の高校生は 死ななかった と僕は思っているのだ。
それは問題の多い人物が運転していたからだけでは済まない問題なのに、もうひとつ、なぜか触れられない 大きな問題 が、この事故には隠れているからだ。
どうして、その点にスポットが当たらない のか、僕は不思議でならない。
その隠れた問題とは ガードレール だ。
実は以前から ガードレール に関する問題や、トンネル に関する問題を ブログ で上げて来たんだが、10年以上経った今でも解決していないことが、今回の事故でも明らかになってしまった。
まず、皆さんは ガードレール について、どれくらい知っているのか確認したい。
1ton 前後の 軽自動車 から 10ton 以上のトラックまで混走する道路。そんな10倍以上の重量差がある物体を全て受け止められるガードレールなんて存在しないのが事実だ。
もう30年以上前に習った事なので、現代に基準は変わっているかもしれないが、ガードレール の定義は
車重14トン車が時速60Km/hで、15度の入射角で衝突しても破壊されない
と習ったような気がする。
つまり、強度を20トンだとかの大型車に合わせると、普通の乗用車がぶつかったら、普通車は粉々になってしまうだろう。
さりとて普通車に強度を合わせると、大きなクルマがぶつかったら、意図も簡単にガードレールを破壊して道路外へ飛び出てしまうだろう・・・という事で、当時のクルマの車重の分布から 「14トン」 という重量が算出されたと講義を受けた記憶がある。
まぁ細かい事を言えば、道路に合わせてA種、B種と言った具合に「強度基準」があるのだが、それとて対象となるクルマの重量は何某かの中間値である事は間違いない事実なのだ。
だから、皆さんに覚えて欲しいのは
「大型車が突入しても何とか止められて、普通車がぶつかっても何とかドラーヴァーが死なない」
という基準で「ガードレール」は出来ているという事を知って欲しいのだ。

理想的な角度!?でぶつかって、ガードレールに跳ね返された乗用車・・・・
そんなガードレールの基本を見ながら今回の事故を振り返ってみよう。
1.チェーン脱着場のガードレールが無かった。
雪国に住んでいる人なら分かるはずだ。雪が降るシーズン以外は多くのチェーン脱着場はガードレールで囲まれている事が多く、今回はオフシーズンなのにガードレールが無かった。
過去の GoogleMap を紐解くと、

2024年5月の画像ではガードレールで囲われていた。
一昨年の 5月 には、脱着場は ガードレール に囲われていた。もっと前まで遡ってみると、

2017年の11月では 降雪シーズン を前に ガードレール が外されていた。
2017年の11月には、降雪シーズン を控えて、ガードレール が外されていた。今回の事故の時も、こんな感じだったハズだ。
くだんの クッションドラムも、

毎年、繰り返されているのだろう。10年以上前の画像からも今回と同じ位置で クッションドラム が置かれていた。
今回と同じ位置に置かれている事が分かる。
2.チェーン脱着場 のガードレールと、道路のガードレールの段差
脱着場にガードレールがある場合、道路側のガードレールが

知ってか知らないかは別にして脱着場のガードレールより道路側のガードレールが外側に設置されている。
脱着場を囲うガードレールより 外側 に端部がなる様になっていた。という 2点が、この事故に大きく関わっていたと思うのだ。
過去の Google Map の画像などを見ると、5月中には 脱着場 を囲うガードレルが設置されていたと思うのだ。だから、もし脱着場を囲うガードレールがあれば、僕が最初に 17歳の高校生は死ななかった という根拠がココにある。
さらに事故現場を眺めてみよう。

カーブに沿わずに、真っ直ぐ 道路側の ガードレール に向かって走って突っ込んだことが地図でも分かる。(クリックで 拡大表示)
トンネル内でも、すでにボディをこすりながら走っていたという証言があるとおり、このバスは、カーブのRに沿わずに真っ直ぐに走っていた事が地図でも分かるだろう。
進行方向に対して、それは 15度 に満たない角度・・・・
思い出して欲しい、ガードレールの基準を、車速は早いが、マイクロバスの車重や、進入角度と、仮に脱着場のガードレールが設置されていた場合を総合的に考えると、
もう少し早く脱着場の ガードレール があったら、もしくは、遅い時期に遠征していて、ガードレールが装着されていたら、
マイクロバスは、脱着場の ガードレール にボディをこすりながら走行して、ガードレールが一旦途切れても、道路側のガードレールが、脱着場のガードレールより外側にあるので、さらに擦って走っていたから、ガードレールが車内に突入することなく 停止 していたハズだと断言できるのだ。
そうであれば、ガードレール が車内に突入して、死んだ彼を車外に押しやって死亡させるという悲劇は防げた筈なのだ。
脱着場を囲う ガードレール の有無が今回の事故の明暗を分けたと断言できると思うのだ。
しかし、現実には遠征した日には、まだ脱着場を囲う ガードレール は設置されていなかったので、本来なら命を守るハズの ガードレール が車内に突入してという不幸なシナリオになってしまっているのだ。
ここで、僕が 10年以上 声を出している ガードレール の問題が解決していたら、脱着場のガードレールが無くても助かったと思うのだ。
それは、ガードレールの端部の処理の仕方だ。僕はこう思った、道路側のガードレールの端部が、あと 1m 脱着場 に回り込んでいたら、

バスの車重、いや軽自動車だったとしても、クッションドラムは無意味で、ガードレールそのものがもっと長ければと悔やんで仕方ないのだ。
脱着場の ガードレール が無くても彼は死ななかった確率が高かったと思うのだ。
ここが、僕が年々も声を上げているポイントで、ガードレールの端部の処理さえ改善されていたら今回の事故も、そして他所でも起きている、ガードレール が車内に突入してという悲劇が防げた筈なのだ。
僕が強烈に覚えているのが、2009年の岡山で起こった ガードレール 突入事故だ。

母親がよそ見か何かしていて、カーブのガードレールに突っ込んだ。突入したガードレールが助手席と助手席後ろの子供に衝突して絶命してしまった。母親は軽傷だったのに・・・。
母親が何かの原因で、カーブを直進して、ガードレール に衝突して、ガードレールが助手席側の車内に突入して、助手席と助手席に乗っていた子供二人が亡くなったという痛ましい事故だ。
よりによって、突っ込んだ際に、エンジンなどの構造物の無い、狭い範囲にガードレールが突入して、突入したガードレールが二人の子供を押し倒したのだ。
運転のミスをした母親は、ほとんど無傷だったという。
想像しただけでも悲惨で悲しい事故だった。
実は、ガードレールが突入してしまう事故は、日本だけでなく海外でも多く起きていて、アメリカでも大きな問題となっている。

アメリカでもガードレールの突入事故は大きな問題に・・・
理想論で言えば、ガードレールは継ぎ目なく道路に沿って設置されているのが一番だ。しかし、交差点があったり、道路管理の施設があったりして、どうしても継ぎ目が発生する。
その継ぎ目にクルマが突っ込むと、ガードレールが車内に突入という事故だ。
一応、そうした事故を防ぐために「袖ビーム」と呼ばれる突入防止が施されているが、

一応突入防止の「袖ビーム」があるのだが、これだけでは役不足は否めない
正直、それだけでは、ガードレール端が車内に突入する防止策には役不足というのが現実だ。無いよりはマシ というのが実情だ。
そこで彼らが現状取っている対策案が、

袖ビームを巨大化して、ガードレール端が、できるだけ外側になる様に設置した
袖ビームを巨大化して、ぶつかっても車内に入り難く、そして道路の外側に端部を逸らせることで、仮にクルマがぶつかってもユルイ角度でぶつかる様にしたのだ。
完全ではないが、これでずいぶんと、ガードレール突入事故が減ったと言われている。
もちろん、車速が早過ぎたり、車重があったら無意味なんだが、それでも事故が減っているという事実があるらしい。
最近は、さらに形状が工夫されているという。
今回の事故は、根本的にはドライヴァーに大きな問題があったことは事実だ。そのドライヴァーを使った事も大きな問題なんだが、こうした不幸な 負の連鎖 があっても、仮にクルマが車道を逸脱しても、人が死なない工夫が道路には求められると思うのだが如何だろうか。
ドライヴァーを責め立てるだけでなく、最悪の事態でも、事故の影響が少なくなる工夫が道路にもされて然るべきだと僕は思うのだ。
あと数日遠征が遅ければ、ガードレールの端部処理が、もう一工夫されていたら・・・
悔やんでも悔やみきれない事故だったと僕は思うのだが如何だろうか。
どうもの進化しなければならない。この事故から、そうした観点からの視点をもっと多くの人に持って欲しいと思って止まない、それが、この事故の僕の思いだ。
Posted at 2026/05/18 04:27:36 | |
トラックバック(0) |
ガードレール | ニュース