
皆さんは、オイル添加剤と言って思い浮かべるのは何か、多くの人が真っ先に思い浮かべるのが「モリブデン」だろう。
僕とモリブデンの出会いは、大学の頃で、その頃のイメージは、モリブデンを金属に添加すると、焼き入れ性が向上するとか、強度や靭性が上がるなんていう事で、強度の必要な ボルト や シャフト 類の設計をする時には、好んで「SCM」や「SNCM」を使っていた。
さらに工作機械の加工実習で、工作機の摺動面の耐摩耗性や滑りを良くするためのグリス添加用に、また、別のグループが金属加工の切削性改善の試験の為に「二硫化モリブデン」の粉末があった。
ある時、フト、「機械摺動面の摩擦が下がるのであればクルマでも・・」と思い立ち、実験に使用する「二硫化モリブデン」を「少量」拝借して、カストロール DC-TURBO に混ぜてエンヂンに注入すると、メカニカルノイズは減るし、いつもよりエンヂンが軽い!という事で、それを知った「悪友」も含めて、
エンヂンオイルに「二硫化モリブデン」を混ぜるとエンヂンはエラク調子が良くなったのだが・・
我も我もと「モリブデン教」の教徒が、ロータリーの燃料に「灯油」を混ぜてみた以来に増えたのだが、
(ロータリーに灯油は脱税になるので構内だけの遊びだったが・・・閑話休題)
悪事は長く続かず、デスラーによく似た東洋工業から大学の教授になった、金属加工の担当教授から呼び出されてしまった。
「こりゃこっぴどく怒られるなぁ」 と半泣きで教授研究室に入ったのだが、その時、半べその僕に向かって、
エラク怒られるかと思ったが、そうではなく・・・
「二硫化モリブデンを単純にオイルの混ぜるとは、徳小寺くん、君は馬鹿かね」
と。
なんたってウチの大学には、何故か、ロータリー47士の残党は居るし、その他にも、さすがに 広大 には適わないが、エンヂンには一言も二事もウルサイ研究者が集まっていたので、そのデスラー教授も、内燃機関のイタズラと聞いて、居ても立ってもいられなかったのだろう。
さらに、「モリブデンに足を突っ込んだからには、単位に関係なく、論文にまとめろ」と、遥かに怒られた方がラクな「宣告」を受けてしまった。
それからが地獄で、同じように「二硫化モリブデン」を添加して、摩擦抵抗の低減の春を謳歌した連中と、ひと月で何某かの作文を書くために、必死こいて時間を過ごした。もちろん、自分たちに課された、卒業に必要な論文と合わせてだったので大変だった事は今でも良い思い出だ。
そんなプライヴェートな課題が課されている事は、エンヂン好きな東洋工業OBの教授たちの間にあっと言う間に広がり、もちろん自分の担当教授にも伝わって、フォローするどころか、笑って「みそぎして来いや」と言われる始末で。
まずは、クルマのオイル添加剤とはという事で、当時、廣島にあったカーショップ「モンテカルロ」に通って(笑)種類を調べてみた。そこで分かったのが、
1.金属表面コート添加剤
「有機モリブデン」などの溶融性添加剤
2.メタルトリートメント
「フッ素」、「硫黄」などの金属に直接働きかけ表面を滑らかにする。
3.固形潤滑材
「二硫化モリブデン」、「テフロン」などの固形摩擦低減剤。
が売られていることが分かった。
ここで、お恥ずかしいながら「モリブデン」って種類がある事を初めて知った次第で、まずは、その違いと、なんで「モリブデン」を入れたら摩擦が・・・という事を調べる事にした。
その前に、その3種類について、これは、あくまで尻の青い大学生が、学校にある本や雑誌で考察したモンなんで怪しい事は重々前置きして、
2.メタルトリートメント
謳い文句は、「エンヂン内のシリンダの表面をなだらかにして」とあるが、端的に言うと、シリンダの表面を「溶かして」なだらかにしていると言え、金属は良いけど、他の材質は大丈夫!?みたいなものと考えた。
そして、「有機」と「二硫化」モリブデンの違いは、となると、「二硫化モリブデン」はあくまで「固形」、「有機モリブデン」は科学的に合成された液状の物質という概念は、なんだか分かってきた。
モリブデン 二硫化モリブデン 有機モリブデン オイル添加剤
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Posted at
2021/08/10 00:02:31