
ちょっと前に話題になっていたが、なにやら「アフリカ」で日本の「蚊帳」が大活躍しているんだそうだ。
「蚊帳」と言えば・・・最近では、例の「となりのトトロ」がキッカケで再び日本でも注目を浴びて、幼稚園などでの需要が増えているとか。
確かに僕も「蚊帳」を経験している世代なんで、「蚊帳」の中に入るのがなんだか楽しくて面白かった記憶がある。
その日本生まれの蚊帳が、何故アフリカで活躍しているかと言うと、ここにそれを裏付ける国連の統計がある。
それは世界三大感染症と呼ばれる統計がなんだが、その三大感染症というのが「HIV・エイズ」、「結核」、「マラリア」だ。
その感染症による年間の死亡者数で言うと「HIV・エイズ」が約200万人、「結核」が約180万人、「マラリア」が「100万人以上」となっているそうだ。
ご存知の通り「マラリア」は、「マラリア原虫」を宿した「蚊」に刺される事によって発症する病気で、アフリカでは「マラリア原虫」を持った蚊の確立は「4%」だと言う。
だからできるだけ「蚊」に刺される機会を減らさなければならないのだが、「蚊」は夜行性で夜、就寝中に刺される確立が高く、夜間でも気温が高い現地では窓などを開けて寝る事が多いので、さらに「蚊」に刺される確立が高くなってしまうのだという。。。
そこで、日本の「蚊帳」が注目されたんだそうだが、さらに「蚊帳」の効果を上げる為に、殺虫剤を染み込ませた繊維で「蚊帳」を造ると確実に「蚊の」の進入を防げる事が分かったが、現地に持って行くとまったく使い物にならなかったという。
原因
1.当初の殺虫剤入りの繊維は、洗濯などをすると、どんどん「殺虫成分」が流れて半年毎に「殺虫剤」を繊維に染み込ませる手間が必要だった。
2.日本の「蚊帳」のネットの間隔は約2ミリ。
日本より気温が高い現地では、風通しが悪く「蚊帳」を掛けると暑くて眠れないというクレームが来てしまった。
さて・・・どうしたものか??という事で、探してみるとポリエチレン製の「殺虫剤」入りの「網戸用」の繊維があり、それなら洗濯をしても
最低 5年効果が持続する事が分かり、それを「蚊帳」に流用する事にした。
次ぎに「通気性」の問題だが、何とネットの間隔を通常の倍の「4ミリ」にしてしまった!!
これじゃ「蚊」が通り抜けてしまうのでは・・・と思うモンだが、いやぁ「蚊」の習性を研究したところ、「蚊」はネットの間をいきなり通過するのではなく、何度かネットにぶつかる様に飛んで、それからネットの間を通過するのだそうだ。。。
5年持つ「殺虫剤」入りのネットに、ぶつかった「蚊」は、ネットの間をくぐる前に「殺虫剤」で処理されてしまうから中に入らない・・・という算段なのだそうだ。
通常なら、ネット間隔を広げよう・・・なんて発想は起きないモンだが、現地に行って、さらに「蚊」の習性を研究した結果、通気性も問題無く、「蚊」も通れない逆転の発想の「蚊帳」が出来たという事だ。
これを聞いて思い出したのが、「江崎ダイオード」だ。
これも「ダイオード」の不純物を無くそうと世界中が躍起になっている時、逆にある「不純物」を増やす事によって理想の特性を得た・・という逆転の発想の一例だ。
どうも日頃から、四角四面に考えがちなモンだが、この「蚊帳」のハナシを聞いて、「逆転の発想」という手法を思い出したという次第なのだ。。
さてアフリカの「蚊帳」のハナシに戻るが、「マラリヤ」の撲滅に一役買っている「蚊帳」が現地の雇用も創出している!というのだ。
「蚊帳」を編むには人手が掛かる、そこで日本から作って持って行くのではなく、現地の人々の手によって「蚊帳」を編んでもらう事にしたのだそうだ。
タンザニアではそれで、3000~4000人の雇用ができたとか・・・
疫病の撲滅だけでなく、仕事も作られる。
ノスタルジーだけでなく、現実の世界でも役立っている「蚊帳」が誇らしく思えた今日この頃なのである。
「防虫剤入り蚊帳」に付いては
↓
Posted at 2008/08/28 06:27:00 | |
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