• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+
イイね!
2020年08月26日

巨大 5マイルバンパーの餌食になったクルマたち

巨大 5マイルバンパーの餌食になったクルマたち  先日、久々に最近で言う「あおり運転」に遭った。

 まぁ、ここまで「あおり運転」だっていう見本の様な運転で、十字路で直進しているウチのクルマの直前を右折で突っ込んで来たものだからクラクションを鳴らすと、いきなり「急ブレーキ」。

 その後も、低速運転に急ブレーキに蛇行運転と、ドライブレコーダーの前で、よくぞ、「あおり運転」の見本のような挙動をし続けて、ある程度見届けた後に、某署のしかるべき管轄に電話。

 その様子を見てか、急に側道に入って眼前から消えたのだが、その後、然るべきところにデータを焼いて持って行ったのだが、カミさんの一言でとりあえずは現在保留状態。

「こういった運転手は、必ず他でもやるので、その際にはご協力を」

という事で、さてさて、この先どうなるのか・・・

 そんな時、不幸にしてぶつかったりした時に衝撃を和らげてくれるのが、バンパーなんだが、最近のバンパーはボディデザインと一体化されているし、逆にぶつけるとエライ出費になってしまうので、ぶつけても大丈夫なようになんて言ってられなくなっている。

 しかし、1970年代初頭、北米では問答無用に、何があってもクルマにダメージを与えないという思想で 「巨大」 なバンパーが義務化された時期があった。

 僕が、それを知ったのは、何かの雑誌で北米のクルマ事情な~んていう特集を見た時に、カウンタックに装着されていた ソレ を見て、余りのデザインのぶっ壊し加減に唖然とした。

その名は 「5マイルバンパー」

 これが、建前は「5マイル(約8km/h)程度の衝撃が加わっても、バンパーが衝撃を吸収して後に復元し、ボディやラヂエター、もちろんバンパーそのものも決定的なダメージを与えないようにするというものだったが、実は、大した速度でもないのに、バンパーはおろか、ボディや灯火類などの損傷に対する保険金の支払いに頭を抱えていた保険会社の圧力で作られた米国の保安基準だ。

 厄介なのは、衝撃を吸収するという機能だけでなく、大きさや高さまで規定されており、それを満たすために、サブのバンパーをバンパの上にさらに装着したり、オーヴァーラダーの追加など、重量増に不細工なバンパーが車体から突き出すなど安全性という名の下のデザインの崩壊以外の何者でもなかった。


僕の世代で強烈に 5マイルバンパーを装着したクルマと言えば・・初代セリカなんかを思い出す。

 まぁ中には、それを逆手にとって上手い具合にデザインで処理をした車種もあったが、モデルライフの途中で、5マイルバンパーを装着する事になった車種は哀れとしか言いようが無かった。

 その最たるモノが、S30Z、正確には S31Z だろう。
もはや、古典的なヴィンテージカーとしてプレミアムな価値が出ているS31Zなんだが、彼の地でも、5マイルバンパー が装着されたモデルを見ると顔をしかめるし、


北米で絶大な人気を誇るZも、5マイルバンパー付きになると敬遠される事が多い。

中古車の市場でも、年式が新しくなるのに値段もそれ以前の方が高いという逆転現象が起きてしまっている。

 さらに実はバンパー以外にも米国では問題があって、ヘッドランプの照度どころか、形状までも規定されて、1984年までは「異形ヘッドライト」は許されていなかった。

 そのために、オリヂナルのヘッドライトを捨て、SAEの規格のヘッドライトを北米向けに輸出していたクルマが多数存在していた。


メルチェデスのSクラスも異形角型からSAE規格丸目4灯に。まるで、ひと昔前の日本の教習車やタクシーの様だ・・・

 5マイルバンパーの呪縛は1982年に規制が緩和されて、巨大なバンパーが見られなくなったが、ヘッドライトの 怨念 は1984年まで続いていたので、例えば我が日産の Z31 などは、


Z31は、ヘッドライトの縛りを上手くかわして、SAE規格レンズ+ドライヴィングランプという技でデザインを損なわなかった。

オリヂナルの異形角型が北米では使えなかったので、SAE規格レンズ+ドライヴィングランプというナイスアイディアで規制をかわしたことは有名なハナシだ。

 なんたって、この北米仕様の方がカッコイイと日本でも交換する連中が居たくらいだ。

 Z31は、実に旨い具合に SAE規格の束縛から新しいアイディアを導き出したが、もはやオリヂナルのデザインからかけ離れて、違うクルマになってしまった車種もあった。


もはや違うクルマになってしまったのが初代ゴルフ。名前もラビットになっていた。

 その代表が初代ゴルフで、5マイルバンパーにSAE規格レンズ化によって、前から見ると、「お前誰なんだ!?」という悲壮な状況になっていた。

 きっと ジョルジェット・ジュジャーロ 先生も、この姿を見て、いくら輸出先の要求とは言えとは・・・と、その変わり様に何日も泣き明かしたに違いないと僕は思っている。(笑)

自由化、自由化と小うるさい割に、実は規制の山という北米の現実に、思わず
「お前には言われたくない」
と常々思っている次第なのだ。













ブログ一覧 | クルマ | クルマ
Posted at 2020/08/26 13:03:24

イイね!0件



タグ

今、あなたにおすすめ

ブログ人気記事

【カメラ】シバザクラとミツバチ(た ...
おじゃぶさん

今週も皆様のご協力応援ありがとうご ...
晴馬さん

座敷わらしに会いに行こう〰︎🎵
白ネコのラッキーさん

セキュリティー付きエンジンスタータ ...
@Yasu !さん

朝の一杯 5/1
とも ucf31さん

ペーパーレス
avot-kunさん

この記事へのコメント

2020年8月26日 21:01
こんにちは。
5マイルバンパーとSAE規格ライトの規制は知ってました。
個人的には、そういう輸出仕様独特のスタイルもなんか味があって好きでした。
その後、最初から規格を前提としたデザインで登場した車種だと、ブルのマキシマとかカムリプロミネントとかカローラGTSとか。

しかし、カウンタックのバンパーは初めて見ました。
あまりのデザインの破壊力に衝撃的すぎますね。

コメントへの返答
2020年8月26日 22:02
言われる様に、5マイルバンパーとSAE規格に縛られた時代のアメ車や北米仕様車をヨシとする向きもいらっしゃる事は事実ですね。
あの5マイルバンパーの規格を、うま~く取り入れてデザイン化したクルマより、後から付けました感をひとつの「文化」として楽しむオーナーもいらっしゃいます。
しかし、TOP画像のカウンタックはレッドですが、これがホワイトの個体となると、5マイルバンパーの「取って付けた感」がますます増殖して、思わず「苦労したんだね」と声を掛けたくなってしまいます。(笑)
逆に ポルシェ などは、5マイルバンパーと思えない良いデザインしてましたね。
そうしたクルマたちも追ってみるのも面白いと思いますよ。
2020年8月26日 23:49
初代カムリやT11スタンザ、910も北米向けは規格ライトでデザインが台無しになっていましたね。。
どれも異形ライトだからバランスが良かったわけで。


コメントへの返答
2020年8月27日 2:17
T11もゴルフと同じくらい別物のクルマになってしまいましたね。
910は、まぁまだまともな方で、角目4灯でロングノーズだったので、まだまだ良かったのではと・・・
2020年8月30日 8:45
フォトアルバムの方へコメントしてしまったhorry_tです。
よく読まずせっかちにすみませんでした。

保険会社の圧力で作られた保安基準とは初めて知りました。その時代をよくご存知で、それ専門のお仕事をされているようで、貴方の文章は読む価値があります。

>>モデルライフの途中で、5マイルバンパーを装着する事になった車種は哀れ

確かにX1/9でいえば1300の後期くらいから無骨な梯子バンパーがつきました。1978年モデルチェンジした1500cc 5速仕様では、この米国規制ありきで欧州、米州統一のデザインでした。ただその機構、おっしゃるように。

>>5マイル(約8km/h)程度の衝撃が加わっても、バンパーが衝撃を吸収して後に復元し、ボディやラヂエター、もちろんバンパーそのものも決定的なダメージを与えないようにするというものだった

私のクルマでは大変丈夫なショックアブソーバーが備わっています。自ら追突してこの機構を試した(わざとではなかったでしょうが)クラブのメンバーがいたので、観察しましたが、最初4、5センチほど押しつぶされて鼻先が短いのですが、しばらくして元どおりになり、すごい...と思ったものです。

何れにしても重量増加で困ったものです。ショックを中空の鉄製に置き換えて、アルミ合金製バンパーはFRPで成形したオーナーもいました。

>>我が日産の Z31 などは、Z31は、ヘッドライトの縛りを上手くかわして、SAE規格レンズ+ドライヴィングランプという技でデザインを損なわなかった。

確かに上手ですね。フォルムに変わりはなかったのですね。
いろいろと書かせていただきましたが、他にも読むところがたくさんありありそうなのでしばらく徘徊させてください。

長文失礼いたしました。
コメントへの返答
2020年9月3日 1:41
アメリカは訴訟と保険の大国で、道路の穴ぼこひとつでコケても行政を相手に訴訟をかつては起こしていた様なお国柄です。
保険も然りで、どうせ保険料を払うならと、ちょっとしたダメージでも、どんどん躊躇なく保険を使うので、その支払いが大変だったと聞いております。
ちょっと話題は逸れますが、そんな、存在感の強い米国での保険会社ですが、スポーツカーに対する保険料は、日本以上に過料が厳しく、1980年代からは、事故が多いという事で、スポーツカーには信じられない様な保険料が掛かるようになり、その保険料のせいで、ターゲットにされた多くのスポーツカーが北米から撤退を余儀なくされた事は有名ですよね。
しかし、5マイルバンパー同様に、その効果や定義があいまいで、スポーツカーイコール、2シーターか、ツゥドアクウペ程度の識別しかなく、マツダのRX-8が出た時は、当初は4ドアなので保険料が高額では無かったという不思議な現象も起きました。
さてさて本題の5マイルバンパーですが、言われるようにデザインの問題もそうですが、ほとんどはアブソーバー内蔵で、その重さもそうですが、復元性を持たせるためにシャーシも強固にする必要があり、その重量増たるはかなりのモノでした。
それを嫌って、アブソーバーレス用のステーとか北米では今もそうした車種用の重量対策キットが多く出ています。
確かに、その衝撃を吸収するという効果は絶大なんですがねぇ。
当時の技術では、衝撃吸収性のトレードオフで重量増対策はダメダメでしたね。
2020年9月5日 21:00
こんばんは。
初代セリカの5マイルバンパー装着車の写真は、ホイールアーチが出ていますので、初代セリカの中でも後期型ボデーのように見えます。北米向けの車両は、日本向けのようにリフトバックのマスクにはならなかったのでしょうか?とても新鮮なのとともに、二代目セリカがスラントノーズで登場したことがよくわかりました。
コメントへの返答
2020年9月6日 8:20
フロントもボンネットの先端がV字になっているのでLBマスクだと思いますよ。
スラントノーズは、5マイルバンパー対応のデザインが昇華した事と、空力の要請で、1970年後半から多くのクルマが採用してましたね。さらにSAE規格規格のランプレンズに対応する事もあって、この頃、角目にする事の流行ってあっという間に国産車に蔓延したので、「角目斜鼻病」なんてもよく言われておりました。
2021年4月15日 12:45
このバンパーのフェラーリとか

当時は…「・・・?」でしたね

今は逆にレアかな?

突然の書き込み失礼いたしました
コメントへの返答
2021年4月17日 11:53
今となっては、良いアメリカ的な思い出・・・ではなく、やはり本国でもこの時期の巨大なバンパーモデルは、たいした価値も付かず、絶滅の危機に瀕しております。
自動車業界の「黒歴史」の証人として、そろそろ保護活動が必要かもしれません・・・ね。

プロフィール

「後視 いやぁこんなに簡単なバックカメラがあったなんて!! http://cvw.jp/b/124785/23876370/
何シテル?   01/04 14:54
無類のクルマ好きで、日産車を愛してやみません。 徳小寺 無恒のHNを引っさげ、かつての愛車、ワインレッド・パール・ツゥートンのU14ブルーバードの話題を軸...

ハイタッチ!drive

みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2025/5 >>

     123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

リンク・クリップ

おもしろ塗装工房 プロ仕様の耐熱塗料 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2022/05/08 13:49:11
アニキの春うらら~( ̄▽ ̄) 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2018/04/18 13:27:15
復活!ブルーバード 
カテゴリ:クルマ
2005/01/29 16:43:18
 

愛車一覧

日産 NV350キャラバン NV White Base (日産 NV350キャラバン)
子供の病気の進行により、C26 チェアキャブ を所有していたが、大型で重量級のクルマ椅子 ...
日産 セレナ LCV E STAR (日産 セレナ)
BX-Car をどこまでも乗りつぶす気でしたが、子供の病気の進行が予想以上に早く、歩行困 ...
BMW 3シリーズ セダン BX-Car (BMW 3シリーズ セダン)
日産から、これぞというクルマが出ないまま時間はどんどん経過し、X-Carも我が家に来て4 ...
BMW 3シリーズ セダン X-Car (BMW 3シリーズ セダン)
免許を取って以来・・・いえいえ生まれてこの方の「大」の日産ファンでしたが、昨今の日産車の ...
ヘルプ利用規約サイトマップ

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!

あなたの愛車、今いくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離(km)
© LY Corporation