BRZに試乗してきた。自動車税の納付と自動車保険の更新の時期が重なる5月は我が家での自動車に対する印象が最悪で、妻はスバルディーラーに近づいてくれない。そこで、近くのスーパーの駐車場で降ろしてもらって歩いてディーラーに向かうことになった。
試乗車のグレードはS,6MTである。試乗が始まってすぐに、ボディの見切りがよくて車両感覚がたいへんつかみやすいことがわかる。Aピラーの位置やフロントガラスの傾斜も適切で視界がよいので狭い駐車場でも楽に取り回すことができる。FRなのでステアリングの切れ角が大きく、ホイールベースのわりに小回りがきくので使い勝手がよい。
乗り味に関しては、低重心のボクサーエンジンを積んだFRということから期待されて当然な要素はきちんと備えている。コーナリング時のロールが少ないことや、コーナーで前輪で旋回、後輪で駆動というようにきちんと分担させて操縦すると意のままに操れることなど、FF車に慣れた最近のドライバーにはとても新鮮な感覚だと思う。ボディ剛性感が高く、サスペンションやエンジンマウントの剛性の高さと相まって車体の一体感が心地よく感じられ、60キロ以下の速度域で交差点を左折するという操作をするだけで「気持ちいい!」と思う。低速でも操縦する楽しさがちゃんと感じられるという点で「スポーツカー」らしさはちゃんと備えている。残念なのは、ステアリングの操舵感がなんとなく人工的で、正確ではあるのだけれど精密な感じはしないという「いまどき」な感覚になっていることだ。操作力やパワーアシストの設定は特に問題ないと思うが、タイヤからのフィールをダイレクトに伝えてこないのだ。
乗り心地は、この種の車にしてはかなりよいと感じる。鋭い段差からくるハーシュネスはうまく遮断されているし、姿勢変化が少ない割にはスプリングがソフトでゴツゴツとしたショックはまったく伝えてこない。乗り心地とスポーティな乗り味の両立という点ではちゃんと現代の水準に達していて、「復刻版AE86」みたいな安直なつくりではなさそうだ。ノイズやバイブレーションの遮断もしっかりしていて、意図的に聞かせるように作られたエンジン音が「フォォ~ン」と響いてその気にさせる。
正直言って、試乗するまではBRZにたいして期待はしていなかった。しかし、試乗してみると、250万円前後の車としては上出来だと感じた。でも、日本の道路状況を考えると「スポーツカー」をそれらしく走らせる機会というのはそうそうなさそうだ。BRZは今ある奥さん用の軽自動車の代わりに導入するといいと思う。そうすれば奥さんは日々のスーパーへの買い物や保育所の送迎の中で「走る喜び」を得て生活の質を向上できるし、たまの休日には旦那さんが借りて山に出かけることもできる。乗り心地がよくて取り回しやすいBRZなら、奥さんからの不満も最小限にできそうだ。
運転日報(スプラッシュ)
天候:晴れ
積算走行距離:21328キロ
走行条件:市街地
乗員1~3名
Posted at 2012/05/12 20:04:07 | |
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