今回の幌骨を作る際、当初は機能的に行き届いたものを作ろうとして、複雑に、重くなり、重いために剛性を保てないので補強をし、また重くなるという悪循環に陥っていた。結果、「重すぎ、かつ剛性なさすぎで使用不能」と判断し、一からやりなおしていた。なるべく簡潔に、軽く作ることを目標に発想を転換したのである。
一番大きな転換点は、横のアオリを開閉しないことにして、アオリを剛性確保のための基礎として用いることだった。以前のものはアオリを開けるために幌骨は床に設置していた。幌骨と床は結合されていないので幌骨自体で剛性を確保する必要があった。その転換により、柱や梁はすべて1本の単管の部材で済ませることができた。これで大幅な軽量化ができた。
次に、両サイドのドアの構造を転換した。以前はガルウイング形状のドアだったのだが、これが重いうえに大きくて剛性が足りなかった。ドアが重いとこれを支持する構造も頑丈に作らねばならず、ますます重くなる。そこで、ドアをただの跳ね上げ式にして、開閉に幅を取るというデメリットをドア自体を伸縮させることで解消した。ドアが小型化し、剛性も上がり、軽くなった結果としてガススプリングも2本から1本に減らすことができた。ドア部分でもまた軽量化ができた。
そして、全体的に軽くなったことで、結合部の補強金具を全廃することができた。最後に残った前後方向に歪みがでるという問題も、幌骨前端部分を車体に引っ掛けてワイヤーとターンバックルで固定することで変形の余地をなくした。今では幌骨が変形する音(ガシャガシャ、ミシミシ音)もまったく鳴らない。
このように、剛性確保→補強部材が不要→軽量化→必要強度が減少→補強部材が不要…という好循環が生まれ、軽くて丈夫なものができた。頭を柔らかくして、新しい発想を得ることは大事だと思う。忙しいとなかなかそうもいかないのだけれど。
Posted at 2021/06/29 23:43:21 | |
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