私のストレス解消法はドライブである。それも500キロ、1000キロといった長距離が好きだ。ストレス解消といっても、ストレスには、長時間忙しく働いたときに感じるような疲労のストレスと、人間関係や経済環境などからくる精神的ストレスがあって、ドライブで解消できるのは精神的ストレスのほうである。疲労のストレスが高いときにドライブなどしたら、居眠り運転になって危険だ。
なぜドライブをすると精神的ストレスが解消されるのか。精神的ストレスがかかったとき、自律神経の働きでコルチゾールというホルモンが分泌され、身体に「闘争か逃走か」の態勢をとらせるメカニズムがある。これは、外敵に襲われたとき、恐怖や怒りといった感情を呼び起こし、適切な対応をとらせる原始的なメカニズムがいまだ残っているものである。外敵が去れば、ホルモンは脳で吸収され恐怖や怒りといった感情も、自律神経の反応も収まる。
もっとも、現代では精神的ストレスの内容が原始時代とは大きく異なる。人間関係や経済環境などからくるストレスは、外敵が襲ってくるような状況とは違い、ずっと継続してかかり続けるものである。そうすると、コルチゾールはずっと分泌され続け、「闘争か逃走か」の態勢も、恐怖や怒りといった感情もずっと続くことになる。まずいことに、恐怖や怒りといった感情が持続していると、論理的思考を行う前頭葉の機能が抑圧される。そして、恐怖や怒りといった感情に関連する過去の経験や未来の不安が次々と浮かんできて、いっそう感情の乱れが強まるというストレスのスパイラル状態に陥ってしまうことがある。このスパイラルを放置しておくとどんどんストレスが溜まってそのうち破綻してうつなどになりかねない。
ここで、ドライブの出番となるわけだが、ドライブが精神的ストレスを解消するわけは、前頭葉が感情のコントロールを失っている状態から回復させる効用があるからだと考える。自動車の運転は、前頭葉で周囲の状況や道順、自動車操縦の方法などを認知し、手足の運動と連携しながら行う高度な作業である。もちろん、冷静に判断しなければまともに走れない。怒りや恐怖の感情はひとまず置いて、運転動作に集中しなければならない。そうするうちに、前頭葉が統制をとりもどし、精神的ストレスが高い状態、つまりコルチゾールが高い状態を解消するのだと思う。これが、いわゆる「気分転換」の正体だと考える。
しかし、ドライブでストレス解消するにも限界があって、そもそもドライブする気にさえなれないようなときには、無理に出かけないほうがいいと思う。こんなときは、感情の乱れが大きすぎて(ストレスが大きすぎて)前頭葉が統制をとれない状態、運転に適さない状態だと思われるからだ。こんな状態で運転しても、信号を見落としたり車体を擦ったりとロクなことにならないし、事故の危険も大きい。こんなときは、心療内科を受診する、ストレスの原因を取り除くなど、もっと大掛かりなストレス解消法が必要になってくる。
今日は一日いい天気だったが、どこかに走りに行こうと思いながら、出かけるのがおっくうで(渋滞や事故など悪い想像ばかりしてしまう)、結局どこにも行かなかった。かなりストレスが溜まっていて、ドライブでは解消できないレベルまで達しているのかもしれない。
Posted at 2018/08/26 00:24:01 | |
トラックバック(0) |
クルマ談義 | クルマ