ダイハツ・イースに試乗してきた。試乗したのは2WDのGグレードである。
車の印象を語る前にいきなり感じた違和感について触れたい。試乗の前にセールス担当者が「燃費が燃費で燃費は燃費じゃ燃費も燃費・・・」とひたすら「燃費トーク」を繰り広げ、最後に「燃費計でリッター20キロを目指してください!発進はふんわりアクセルで」と送り出されるのだが、自動車を買うときに考慮する要素は燃費だけではないし、試乗はその車の乗り味を見るためのもので、燃費記録を出すものではない。まるで「燃費カルト」のサティアンにでも迷い込んだような居心地の悪さを感じた。
気を取り直してインプレッションである。ダイハツの軽に共通の「ペカン」というような軽い音で開閉するドアを操作して運転席につくとシートの座りごこちに驚く。ふわふわとやわらかく腰や背中をまったくサポートしない。5分座っただけで腰痛になりそうだ。しかもサイドサポートがないからカーブではしっかりどこかにつかまっていないとひっくり返りそうになる。また、ペダルに合わせるとステアリングが妙に遠く、腕をまっすぐ伸ばしたような変なポジションをとらされる。このシートとポジションからするとワインディングには近づかないほうがよさそうだ。
路面のフィールをまったく伝えないリモコン感覚のステアリングを回して通りに出る。乗り心地はかなり良い。まっすぐ走っている限りフラットでソフトな乗り心地で軽自動車とは思えない。ザラザラゴツゴツしたショックや振動はうまく遮断されていて重厚ささえ感じる。だが、感心していられるのは交差点に差し掛かるまでである。カーブを曲がろうとするとフロントのロール剛性の低さが露呈し外側前輪に向かってつんのめるようにロールする。そしていったん傾いたらカーブの出口でステアリングを戻しつつ加速しても戻ってこない。だから、カーブが続く場所ではのたうちまわるような挙動を示し、その間シートの上で振り落とされないようにしがみつくドライバーはハンドルを切ったことを心から後悔する。また、見た目が粗末なソリッドディスクのブレーキは操作感も頼りなくドライバーを不安にさせる。
イースのインパネにはアイドリングストップで節約したであろうガソリン量や減速時の発電を示す表示が出て「いかに燃費を節約しているか」をアピールしている。しかし、イースのシート、乗り味では長距離、長時間の乗車は耐えられない。短距離専用の車として使うならば、リッター20キロでも30キロでも節約できる燃料の絶対量はしれている。そのわずかな違いに血眼になっている「燃費カルト」の信者には私はどうやらなれそうもない。私の試乗燃費は16キロだった。軽自動車の動力性能で「ふんわりアクセル」なんてやったら遅すぎて後続車の迷惑になる。燃費カルト入信のハードルはけっこう高い。
運転日報(スプラッシュ)
天候:晴れ
積算走行距離:13771キロ
走行条件:市街地・郊外一般道
乗員1~2名
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クルマ談義 | クルマ
Posted at
2011/09/28 20:06:39