「俳人漱石 坪内稔典 著 岩波新書」を読了しました。
今は俳句ブームです。テレビ番組『プレバト!!』の俳句コーナーでの夏井いつき先生の毒舌ぶりが人気になってます。特待生の梅沢富美男、フジモン、東国原英夫などの俳句に感心しながら毎週観ています。夏井いつきさんの著作も『絶滅寸前季語辞典』などを読みました。
坪内稔典も私の敬愛する現代の俳人の一人です。俳句会では親しみを込めて稔典(ねんてん)さんと呼ばれています。この本にも載っていますが、こんな俳句を詠んでいます。
三月の甘納豆のうふふふふ
水中の河馬が燃えます牡丹雪
桜散るあなたも河馬になりなさい
たんぽぽのぽぽのあたりが火事ですよ
春の風ルンルンけんけんあんぽんたん
ふざけていますよね。でもそんなねんてんさんが好きなんです。でも、坪内稔典氏は俳人であると同時に、京都教育大学名誉教授でもあります。特に正岡子規に関する研究で第一人者なのです。
この本は子規と漱石、そして稔典さんの鼎談という形をとっています。夏目漱石は文豪として知られていますが、「吾輩は猫である」を書く前は有名な俳人だったのです。正岡子規は近代文学の巨人であり、俳句の革新にも尽力しました。漱石とは友人であると同時に俳句の師匠でもあったのです。次のような俳句が有名です。
柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺
鶏頭の十四五本もありぬべし
いくたびも雪の深さを尋ねけり
糸瓜咲いて痰のつまりし仏かな
そんな3人の夢のような鼎談です。楽しみながらも漱石俳句を味わうことができます。以下がこの本で紹介された漱石の俳句で私が気に入ったものです。
寐てくらす人もありけり夢の世に
鐘つけば銀杏ちるなり建長寺
永き日やあくびうつして分れ行く
ひやひやと雲が来るなり温泉の二階
菫程な小さき人に生れたし
吾妹子を夢みる春の夜となりぬ
読んでいてふと思った。子規は若くして亡くなったのは知っているが、漱石は何歳で亡くなったのだろうか。調べると正岡子規は34歳、夏目漱石49歳とあった。漱石は50前に死んだ?それで「吾輩は猫である」「草枕」「虞美人草」「三四郎」「こゝろ」「道草」といった名作を執筆したというのか!
私は何をしてきたのだろう、もう還暦になろうとしているのに…。稔典さんはと調べてみると今年で73歳です。まだまだお元気で活躍してほしいですね。
ブログ一覧 |
本 | 趣味
Posted at
2017/12/17 15:33:45