
「俳句世がたり 小沢信男 著 岩波新書」を読了しました。月刊誌「みすず」に連載した文章をまとめたものです。そこで引用されている気になった俳句を私なりに紹介したいと思います。小沢氏の文章を読みたい人は実際に読んでください。
入学の子の顔頓に大人びし 虚子
こんな俳句から始まります。高浜虚子の句です。俳誌『ほとゝぎす』を主催した俳人です。
入学試験のシーズンです。受験生と受験生のいるご家庭は大変ですね。「
受験生ブルース」を聴くまでもなく受験勉強は嫌ですよね。若いときに戻りたいと思っても受験生にはなりたくありません。でも、あの受験勉強をしていた数年間が一番成長した時期かも知れません。
一を知って二を知らぬなり卒業す 虚子
こんな句も紹介されていました。卒業が間近な私ですが、二など知らないのかも知れません。一生勉強なのかも知れません。
死なうかと囁かされしは蛍の夜 真砂女
怖い句ですね。鈴木真砂女の句です。真砂女は情熱的な女流俳人です。銀座1丁目に「卯波」という小料理屋の女将をしていました。
鞦韆は漕ぐべし愛は奪ふべし 鷹女
恋の歌と言えば三橋鷹女のこの句も忘れられません。鞦韆とは何か知っていますか?ぶらんこのことなんですよ。「しゅうせん」と読みます。春の季語です。
春泥やまさかの人が向うから 澄子
夕桜あやうくハイと言いそうに
この二つは可愛らしい感じの句ですね。池田澄子さんの句です。
板前は教え子なりし一の酉 登四郎
能村登四郎の句です。教え子に板前はいたかな?すぐに思い浮かびませんが、教え子のお父さんが板前の寿司屋を知っています。廻らないお寿司屋さんなのでたまにしかいけませんが…。
行く年やわれにもひとり女弟子 木歩
富田木歩の句です。この人は知りませんでした。歩行不能、肺結核、貧困、無学歴の四重苦に耐えて句作に励んだ人だそうです。木歩には女生の俳句の弟子がいたそうです。彼は恋をしていたそうですが、結核で亡くなりました。悲しいですね。
私の弟子は男よりも女の方が多いです。最後も女弟子たちです。彼女たちももうすぐ卒業です。そして、私も一緒に卒業します。
朝寝して寝返りうてば昼寝かな 風天
イイですね~!こんな境地になりたいと思っていましたが、もうすぐそうなります。でも実際にそうなると退屈なんでしょうかね。
風天の句ですが、誰だかわかりますか?ふうてんと口に出せばわかりますね。フーテンの寅さんこと、渥美清さんの句なんです。いかにもという感じの句ですね。
還暦や吠ゆる術なく懐手 晃風
最後に私の句を紹介します。先日のブログで還暦になってしまったと報告しましたがその際の感慨を詠んだ句です。さてさて今年はどんなに一年になるのでしょうかね。
Posted at 2018/01/25 05:30:27 | |
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