
僕が小学生の頃、ある日突然、我が家の駐車場に美しいブルーメタリックのクルマが舞い降りてきた。
それがスカイライン2000GT-Xであった。
それまで、ハードトップにしかなかった「ツゥインキャブ」の2000GT-Xが、その人気に後押しされる形でセダンにも追加されたのだ。
まぁ馬力はグロスで130PSというのだから、今ではちょっとしたコンパクトカーでもありふれた馬力だが、当時としては破格の強馬力で、僕達クルマ好きな小学生にとってはスーパーカーみたいな存在だった。。
当時としても、ブルー・・しかもメタリックのボディ・カラーは珍しく、どこを走っても注目の的で、そのGT-Xの助手席に乗る事は、本当にうれしくて休みの日がやって来るのが待ち遠しくて仕方が無かった。。
そんなハコスカのカタログが、門外不出の宝物として某所に隠してある。
今日は天気も悪く、時間が少しできたので、その場所からカタログを出して眺めて見たのだが、もう何百回も見た筈なのに、どうしても心が高まってしまうのだ。
まずは4ドアGT-Xのカタログ・・・
イメージカラーは「シルバー」だったが、なぜか一番大きな写真のGT-Xのボディカラーは「グリーンメタリック」で紹介されていた。
その「グリーン・メタリック」の紹介の欄には
「その精悍さ、凄味はヨーロッパのスポーツカー的なイメージ。あらゆる用途によく調和します。」
とあった。。。
「ボディーカラー」ひとつひとつに、丁寧な説明が入るのが、なんとも時代を感じさせて面白い。。
ちなみに、我が家に来た「ブルー・メタリック」の説明は。。。
「南太平洋の空の色。胸すく軽快なイメージは、これから流行する若さあふれた最新カラーです。」
とあった。。。
当時20代後半だった親父は、どうしてこの色を選んだのだろう・・・そんな思いを持ちつつカタログのページをめくった。
装備のページに入ると、真っ先に目に入ったのが「5SPEED」のエンブレムのところ・・・
いまじゃMT自体がレアなアイテムになってしまったが、当時はマニュアルで、しかも5速なんて、まったく夢の装備だったのだ。
スカイライン以外でも、リヤに「5速」とかバッヂを付けたクルマが結構居て、それがまたひとつのステータスになっていたのだ。。
もちろんウチのGT-Xも5SPEEDで、当時としては短いシフトレバー・・本格的なコンソールボックスが、子供心にスポーツしてて、さらに、そのコンソールからはタンブラータイプのスイッチが生えていて、そこで「ウインド・ウオッシャー」や「ヘッドライト」などの「ON・OFF」を行うようになっていて、またそれがメカニカルな感じがして、僕はスカイラインの魔力に魅せられてしまったのだった。。。
そうそう、GT-Xには実はオーナーの心を擽るスペシャルな装備が隠されていたのだ。
それは・・・
GTバッヂがゴールドであること、ホイールキャップのセンターオーナメントとホーンパッドに「GT-X」の文字がゴールドの背景に精悍にしつらえてあったのだ。。
かつての日産車には、こんな粋な特別感がオーナーのハートをくすぐったものだ!
僕のLIMITED号も、LIMITEDオンリーの「SSSレッドバッヂ」が奢られており、それが何物にも代えがたい誇りになっている。
スカイラインもR34までは、トップ・スポーツモデルは「レッドGTバッヂ」、豪華絢爛グレードには「ゴールドGTバッヂ」と、通常の「GT」とは差別化されていた。
さらに、スカイラインもジャパンの頃や、ブルも910の頃のターボモデルは、窓のサッシュやテールランプが「ブラックアウト」されていたりもしたものだ。。。
最近の、儲け一辺倒の日産では、こういった心憎い演出はまず不可能だろう。。。
カタログを見て、当時の広告のライブラリーを見ていると、不器用だけど日産というメーカーの、ひた向きさや拘りを感じて、僕は本当に懐かしい気持ちになってしまった。。
当時のハコスカの広告なんて、今見ても、本当に新鮮で、印象的で、忘れられないモノばかりだ。。。
そういえば、過去のブログでもスカイラインの広告をいくつかご紹介したが・・
愛 のスカイライン こんなに印象的な広告は無いだろう名作だ!:
http://carlife.carview.co.jp/User.asp?UserDiaryID=158227
回顧 スカイラインジャパンのCMは涙が出るくらい感動的だった。。:
http://carlife.carview.co.jp/User.asp?UserDiaryID=197789
魅惑 R32スカイラインCM田中広子のまなざしにドキドキ:
http://carlife.carview.co.jp/User.asp?UserDiaryID=197724
どうも最近は、広告自体も無味なモノが多くて、クルマを買うんだっていうドキドキ感が薄くなってしまった様に思える。。
売れる事も大事だろうが、いかに人の心を掴むかという事も大事だろうに・・
折りしもモーターショウも始まったし、古いカタログを見ながら日産の行く末を案じるのであった。。
Posted at 2005/10/22 17:28:19 | |
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