
今日は冬に逆戻りしたかのような寒い一日でした。栃木県内では積雪があった地域があったようです。足利は積雪はありませんでしたが、朝から冷たい雨が降り続き、時折白いものが混じっていました。
それでも今日は楽しみにしていたことがありました。この3月の異動で別の職場に移ったタカ様が来ることになっていたのです。タカ様とは同じ部署でしたので親しくさせていただいていました。お互い文学好きだったので話も合いました。タカ様はいつも7時ちょっとすぎには職場に来ていました。早い時間に行けばタカ様とたくさんお話ができるだろうと考え、7時半前に職場行き待っていたのですが、実際にやってきたのは私の仕事が忙しくなった9時近くのようです。11時頃にやっと少しだけ話ができました。
「せっかく足利にやってきたのにあいにくの天気ですね。」
「仕方ありませんわ。お天気だけはどうにもなりません・・・。」
「タカ様とお別れした日は桜が満開でしたね。ここ数日の雨で散ってしまいました。」
「桜が散るのは自然の摂理です。仕方ありません。でも晴れた日にひばりの鳴き声が聞こえていても、春は寂しいものですよ。万葉の時代に大友家持もそんな和歌を詠んでいます。ツゥさんなら知っていますよね。」
「もちろん知っていますよ。今日はいつまでいられるのですか?」
「お昼くらいまでいるつもりですよ。」
「それでは仕事に戻りますので、ちょっと待っていてくださいね。きっとですよ。」
「チョット・マッテ・クダサイ」(作詞/作曲:E.CARNER - J.NAKASHIMA、訳詞:香取 治)は1971(昭和46)年に発売されたゴールデン・ハーフの5枚目のシングルです。ゴールデン・ハーフは1970(昭和45)年にスリー・キャッツの「黄色いさくらんぼ」をカバーしてデビューしました。中学生だった僕はすぐに虜になりました。最初は5人組でしたが、すぐに一人が脱退していまい、エバ、ルナ、マリア、ユミの4人組グループとして活動していました。その中でも僕が好きだったのはエバでした。エバ・マリア・バスケスというフルネームをすぐに覚えたものでした。
「チョット・マッテ・クダサイ」はアメリカのハワイ出身のサム・カプ(SAM KAPU)という歌手のカバーです。この曲は世界中でカバーされたのですが、日本でもフォーリーブス、小川知子、小林麻美などがカバーしました。一番印象に残っているのがゴールデン・ハーフのものなのです。ゴールデン・ハーフといえば「黄色いサクランボ」「バナナボート」「太陽の彼方」といった曲の方を憶えている人が多いと思いますが、僕はなぜかこの歌が思い浮かぶのです。
仕事は思った以上に時間がかかってしまいました。12時半過ぎに事務所に戻ったのですが、タカ様はもういませんでした。「ツゥさんによろしくお伝えください。」と言って帰って行ったそうです。残された僕宛のメモには「晴れた日にまた来ます。
あの日のようにまた一緒に呑みましょうね。きっとですよ。」とありました。
うらうらに照れる春日にひばり上がり心悲しもひとりし思へば 大伴家持
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流行歌研究会 | 音楽/映画/テレビ
Posted at
2015/04/08 21:27:09