「
黒く塗りつぶせ」を聴き終ったあと、またお酒を呑んでいるとこんな歌が口から出てきた。ロックよりもこんな曲の方が俺にはお似合いのようだ。おまえとはもう逢えないことはわかっているのに・・・。
「黒の舟歌」(作詞:能吉利人 作詞:桜井順)は1971(昭和46)年に発売された野坂昭如のシングルである。高校時代に深夜放送で初めて聴いたのだと思う。高校生にはこの歌の内容ができるはずもなく、変な歌だなと思っていた。でも、この歌の持つ力、すごさは感じていた。
俺が野坂昭如という名前を初めて見たのは高校の図書館であった。『マリリン・モンロー・ノー・リターン』という本の作者にその名前はあった。どうしてその本を手にしたかはわからない。内容もとうに忘れてしまっている。『エロ事師たち』や『アメリカひじき・火垂るの墓』を読んで感激したのは大学に入ってからである。小説家としての野坂と歌手としての野坂が結びついたのはいつだったろうか。永六輔や小沢昭一と一緒になって「中年御三家」を名乗り、「黒の舟唄」「マリリン モンロー ノーリターン」「バージンブルース」を日本武道館でも歌っていた姿を記憶している。野坂のよく解らない小説を歌を読んだり聴いたりしながら、みんな悩んで大きくなったのだ。そんな野坂も2003年に脳梗塞で倒れて以来、闘病生活を送っている。
「黒の舟唄」は多くの人がカバーしているが一番有名なのが長谷川きよしであろう。もしかしたら私もこちらを先に聴いていたのかもしれない。
女性シンガーでは加藤登紀子が最高だ。9月に足利の鑁阿寺でコンサートが開かれる。この曲も歌ってくれるだろうか。
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流行歌研究会 | 音楽/映画/テレビ
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2015/06/18 05:43:10