地の日天の海☆内田康夫

　日光いろは坂の途中に「明智平パノラマレストハウス」というドライブインがあります。ここからロープウェイののり展望台まで行くと中禅寺湖・華厳の滝・男体山などが雄大なスケールで見わたすことができます。
　この明智平という地名を天海という僧が付けたという伝承が残っています。天海は徳川家康のブレーンとして活躍した僧です。この人は実は明智光秀であるという異説があります。自分の名を残すために名付けたと言うんですね。
　この小説はその天海の若き日を描いたものです。時代は戦国末期から信長が天下布武を掲げ苦闘を続けます。
　ここでは「天海＝光秀」説はとらず会津の芦名氏の一族で、若くして出家し随風と号したとしています。諸国の社寺等で学び、その途中に若き日の明智光秀や豊臣秀吉に出会うのです。随風が足利学校で学んだことが描かれています。足利人としては嬉しいですね。

　人気の推理小説作家、内田康夫氏の珍しい歴史小説です。しかも本格的なもので、ミステリー要素もありません。まあ、歴史自体が大きな謎ということなんでしょうね。