あゝ青春☆吉田拓郎

　１９７５（昭和５０）年の８月２日・３日に日本音楽史上画期的なイベントが静岡県掛川市で開催された。『吉田拓郎・かぐや姫 コンサート インつま恋』である。現在でこそドーム公演や野外コンサートは当たり前だが、当時はソロで大規模な野外コンサートをやった者など誰もいなかったのだ。それをやってのけたのが吉田拓郎である。さすがに一人だけでぶっ通しで歌い続けるのは無理なので、かぐや姫・風・山本コウタローとウィークエンドもステージに立ったが、あれは間違いなく拓郎のコンサートだった。
　その歴史的なコンサートの最初に歌われた記念すべき曲が「あゝ青春」（作詞：松本隆 　作曲：吉田拓郎）だった。歌った後の「朝までやります。朝までやるよ。朝まで歌うよ。」の吠えるような叫びに多くの若者は熱狂したのでした。観客数は主催者発表では５万人だったが、６万人とも７万５千人とも言われている。
　いっぱしの拓郎ファンだった私もそんな若者の一人でありたいと思っていたが、片田舎の貧乏な家に生まれ育ち、受験生だったあの夏に「つま恋」には行けなかった。

　「あゝ青春」はテレビドラマ『俺たちの勲章』主題曲でした。最初はインストゥルメンタル曲「『俺たちの勲章』のテーマ」だったが、これに詞をつけて歌にしたものである。歌ったのはトランザムというグループである。「つま恋」でも拓郎のバックを務めていた。先日、久しぶりにトランザムの名前をニュースで見た。高橋のぶさんの死亡ニュースであった。トランザムのボーカルと紹介されていたが、「あゝ青春」を歌っていたころのボーカルはトメ北川である。

　１９７９年の篠島アイランドコンサートでも歌っている。残念ながらこの時も行けなかった。拓郎ファンと言いながら拓郎のライブを見たのは１回だけだ。ファン失格だね。

　２００６（平成１８）年の『吉田拓郎 & かぐや姫 Concert in つま恋 2006』でも歌ってくれました。テレビで見ていました。この時は拓郎もすっかりおじさんになっていましたが、拓郎はやっぱり拓郎でした。拓郎は僕の俺の私の青春なのです。