
受験の時の忘れられない光景が頭に浮かんでくることがあります。
試験開始時間20分を切った時に、同じ高校の友人であるトグチ君が僕の席につかつかと歩いてきました。「ツゥよ、消しゴム忘れちゃったんだけれども、余分に持ってねえか。」「ねえよ!受験生で消しゴムを忘れるなんて最低だぞ。」「忘れたものは仕方ねえじゃないか。その消しゴムを半分に割って俺にくれよ。」「仕方ねえなぁ…。」
そんな馬鹿なやりとりをしていると、私の後ろに座っていた娘さんが「よかったら、これを使ってください。」と消しゴムを差し出してくれました。それが君との最初の出逢いでした。
無事に入試に合格した僕は、入学前のガイダンスに出席しました。僕が部屋に入った時には、他の人は全員そろっていました。空いている席に座り緊張しながら周りを見渡すと、微笑んでくれる女性がいました。それが君との二度目の出逢いでした。入学後は自然と親しくなり、君は恋人と呼べる存在になりました。このまま楽しい学生生活を送れると思ったのに…。
「君と歩いた青春」(作詞/作曲:伊勢正三)は、1976(昭和51)年に発売された風の3枚目のアルバム『WINDLESS BLUE』に収録されています。
『かぐや姫』解散後、伊勢正三は『猫』にいた大久保一久と『風』を結成しました。「22才の別れ」の大ヒットで一躍人気フォークデュオとなりました。正やんファンとしては嬉しかったのですが『三階建の詩』を既に聴いていた私からすると、何を今更と思ったりもしていました。
『風』の曲では「
ささやかなこの人生」「
星空」「
あの唄はもう唄わないのですか」「
あいつ」をこのブログでは紹介しました。それ以外にも「ほおづえをつく女」など好きな曲はあるのですが、実はこの歌が一番好きなのです。今までアップしなかったのは、その歌手の一番好きな曲をアップするとそれで終わりになってしまいそうな気がしたからです。青春の幕を閉じたくないのです。拓郎の場合は「落陽」がそれにあたります。
太田裕美も同年に発売された5枚目のアルバム『12ページの詩集』でカバーしています。1981(昭和56)年にはシングルをリリースしています。裕美ちゃんの曲として記憶している人も多いでしょうね。当時はそうは思わなかったけれど、学生時代の彼女は裕美ちゃんに似ていたような気がします。でも最近、君の顔がよく憶え出せないんだよなぁ…。
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流行歌研究会 | 音楽/映画/テレビ
Posted at
2016/07/13 05:36:29