
先日のブログ「
アヤメが咲きました♪」で問題らしきものを出しましたが、今回はその解説をしたいと思います。ちなみにマァからあの花は正式にはドイツアヤメ(ジャーマンアイリス)だと教えてもらいました。
本題に入る前に、先月のWBCの決勝戦の時にテレビ欄が話題になったのを憶えているでしょうか。一番左の文字を縦に読むと「夢願う侍にサクラサク」となっていました。なかなか粋な応援メッセージでしたね。こうしたことは時々あってSNSなどで指摘されていました。こうした隠し文字は推理小説などにもよく使われていました。ラブレターに使った人もいるようですが、私はそんなことはしたことがありません。
和歌の修辞法の一つに折句というのがあります。あの「唐衣」の歌は折句ではとても有名な短歌なのです。高校の古文の時間に勉強したはずです。その説明をしたいと思います。
短歌は五・七・五・七・七の三十一文字で成り立っています。それぞれのまとまりを句と言います。句ごとに切って書いてみましょう。
唐衣
きつつなれにし
つましあれば
はるばるきぬる
旅をしぞ思ふ
まだわかりづらいので全てひらがなで表記してみましょう。
からごろも
きつつなれにし
つましあれば
はるばるきぬる
たびをしぞおもふ
見えてきましたね。一番左の文字を縦に読むと「かきつはた」と読めます。ここで「かきつばた」になっていないと思う人がいるかもしれませんね。古文の教科書では濁点の「てんてん」を分かりやすいように付けていますが、本当は「てんてん」は付いていないのです。ですから「かきつはた」は「かきつばた」と読めるのです。
次に私の好きな折り句を紹介しましょう。徒然草の作者として有名な吉田兼好が友人である頓阿とやりとりされた短歌があります。どちらも当時を代表する歌人であり教養人です。まず兼好が次の歌を頓阿に送りました。
夜も涼し寝覚めの仮庵手枕も
真袖も秋に隔てなき風
それに対しての頓阿からの返歌は次のようなものでした。
夜も憂し妬たく我が背子果ては来ず
なほざりにだに暫し訪ひませ
これではわかりませんよね。今回は折句の勉強ですから意味の説明はしません。ひらがなにして句ごとに書いてみましょう。
よもすずし
ねざめのかりほ
たまくらも
まそでもあきに
へだてなきかぜ
よるもうし
ねたくわがせこ
はてはこず
なほざりにだに
しばしとひませ
もうおわかりですね。兼好は「よねたまへ」(お米をください)とお願いしたのですが、頓阿からは「よねはなし」(お米はありませんよ)と言われてしまったのです。二人はとても貧しかったようですが、深い教養も伝わってきますね。
ところが話はこれで終わりではありません。今度は一番右の文字に注目してみてください。そして縦ではなく下から上へと読むと…。
最後にネットで見つけて感動した短歌を紹介したいと思います。小山佐和子さんの短歌です。もう説明はしませんので意味も含めて読み解いてみてください。
美しき草色萌ゆるライ麦は
いつか黄金の波となりゆけ
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Posted at
2023/04/20 21:17:49