
第74期将棋名人戦で挑戦者の佐藤天彦(28)が羽生善治名人(45)を4勝1敗で破り、新名人となった。A級1年目での初挑戦での名人位獲得は見事である。棋士で佐藤姓と言えば、これまでは佐藤康光九段が有名であったが、これからは天彦(あまひこ)の名がより知られることになるでしょう。
1997(平成9)年の名人戦で谷川浩司が羽生善治を4勝2敗で破ったのが谷川時代の最後の輝きであった。次の年に佐藤康光に名人を奪取されてからは谷川は名人戦の舞台に立つもののいわゆる「羽生世代」と呼ばれる棋士に勝つことはできなかった。丸山忠久が名人位を獲得したあとは羽生と森内俊之の激闘が繰り返されるようになった。羽生世代とは長年将棋界を牽引してきた羽生善治とほぼ同年齢の棋士、佐藤康光、丸山忠久、藤井猛、森内俊之、郷田真隆、村山聖(故人)、先崎学をさす。
羽生世代を打倒する本命とみられていたのが、渡辺明竜王・棋王(32)である。竜王位10期獲得し名誉竜王位の称号を得、現在は棋王でもある名棋士なのだが、不思議と名人位への挑戦はまだない。そんな渡辺を一気に追い抜いたのが佐藤天彦なのである。
来期のA級順位戦は今季以上に目が離せない。渡辺の気合はこれまで以上であろう。羽生、佐藤康、森内の名人経験者もこのまま引き下がるとは思えない。行方尚史、屋敷伸之、深浦康市、三浦弘行といった実力者も虎視眈々と狙っているだろう。広瀬章人と初めてA級に昇級した稲葉陽は佐藤天彦名人と同じ20代である。俺だってと思っているに違いない。
予想ではやっぱり羽生が大本命であろうが、来期は渡辺が行きそうな気がする。新しい将棋界を楽しみに見て行きたい。
Posted at 2016/06/01 18:12:28 | |
トラックバック(0) |
囲碁・将棋 | ニュース