
「業平ものがたり 『伊勢物語』の謎を読み解く 松本章男 著 平凡社」を読了しました。
「業平」とは何だかわかります?その前に読めましたか?
在原 業平(ありわらのなりひら)は平安時代の歌人です。百人一首には次の歌が選ばれています。
ちはやぶる 神代もきかず 龍田川
からくれなゐに 水くゝるとは
伊勢物語の主人公「昔男」のモデルとされていて、小野小町が美女の代表なら、業平は美男子の代表なんです。藤原高子や伊勢斎宮恬子内親王といった高貴な女性たちと禁忌の恋をしたとされる貴公子なのです。
伊勢物語の謎を読み解くとありますが、まず伊勢物語の作者を歌人の「伊勢」としています。その伊勢が細川幽斎が喝破したように「実を虚に作」ったのが「伊勢物語」だというのです。隠された業平の実人生を明らかにするために全百二十五段をいったんばらばらに解体、段順を変えて読んだのがこの本なのです。
「伊勢物語」をまともに読んだことはなかったのですが、あらためて在原業平の生涯を知りとても面白く読めました。
松本氏は「おわりに」で男性が説話の主人公となって名をとどめる条件を次のように述べています。
第一に、その人物は女性に好感される身体的特徴をもたねばならない。「体貌閑麗」という措辞を冠された業平は、背の高いすらりとした体型であったのでは。
第二に、その人物はシンパシーをかう生涯をおくっていなければならない。
第三には、自由闊達な人間性、しかもフェミニストでなければならない。弱者をいじめるようなタイプ、金銭に恬淡でないタイプは、女性から嫌われる。生真面目すぎるタイプも敬遠されるのでは。
第四に、その人物は人情家でなければならない。
私にはほとんど当てはまりません。どうりで女性が近寄ってこないはずです。
Posted at 2011/11/01 06:02:59 | |
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