山羊の餌となる野草がそろそろ無くなってきたので、ワラを中心とした飼料体型に作り替えるべく勉強中。本来はもっと前にやらないと駄目だったのだが、山羊はどんな餌でも比較的簡単に飼えてしまう事や、他の作業があったので遅れてしまった。さて、山羊の餌だが、各自の好みに合わせてやると、濃厚飼料ばっかり与える事になってしまう。しかし泌乳山羊が食欲がないので濃厚飼料を与えすぎると下痢をしてしまう。反芻動物の場合、セルロース(繊維)を胃で共生細菌によって分解する事で吸収しているのだが、濃厚飼料はPHを下げやすく、また油分は共生細菌と相性が悪い。つまり、繊維質をいかに食べて貰うかが課題な訳だ。とくに泌乳山羊は前飼っていた人も発情が分かりづらいとか言っていたが、泌乳量の割に食べらる量が少なくて、搾っているとどんどん体がしぼんでガリガリになってくる。肋骨が浮き出るようになるので怖くなって乾乳したが、もちろんそんなんで良いはずがない。
逆に今年の1月にお産をしたという雌山羊は、乳がほとんど出ない駄作で、それだけに美味しい野草を食べまくっていたからか、豚かと思うほど太ってしまった。それでも、こいつは比較的えり好みをせずに食べるのもあるかと思う。同じ血が入ったアルパインの雄がうちでは一番の優等生で、ほぼ何でも食べる。というか、木の葉に異常な嗜好を示すという事がなく、草でも良く食べると言う所か。ザーネン種はどうもえり好みが激しく、若い雄が一番わがままで、言う事も聞かなくて困る。ただ人間には慣れているので、憎めないのだけれど。ザーネンは仲間同士でもかなり激しく頭突きするなど、家畜化された動物に見られる特徴が良く出ている。鶏や黒牛なんかも同じだと聞く。
さて、牛で分かっている技術だが、冬場の基礎餌となる繊維としては、イナワラが一番良いのは分かっている。何より入手が楽で、これ以外で何頭もの山羊を飼うのは無理だと言っていい。しかしワラの嗜好は相当低く、正直全く食べてないんじゃないかとさえ思える。だから現在の山羊の本でもワラを与える記述はほとんど無い。ま、ともかく、ワラを食わせれば勝ちだと言っていい。では、どうやって食べさせるか?
まず細断して他の濃厚飼料と一緒に与える方法がある。うちもシュレッダーでソルゴーと混ぜて与えてみたのだが、結果はいまいちだった。まだワラに慣れてないという事もあるだろうが、ソルゴー自体も食べないで一日中空腹だと鳴いてせがむ(ので残り少ない野草の場所に連れて行くので、そっちで食べてしまう。まあ濃厚飼料よりはマシだろうけど)。濃厚飼料も混ぜてみたが、やっぱり選んで食べる行動が見られる。藁が餌という認識がないようだし、乾燥した草に切り替えが上手くいかない。
藁自体の飼料価値を上げる必要もある。よくあるのはサイレージにして発酵させて与える方法だが、これは技術的にはかなりレベルが高く、また藁のように乾燥させてから脱穀するような物ではあまり行われていないようだ。まあ他の餌と混ぜれば可能だろうけど、施設も必要。
勉強していて面白いと思ったのはアンモニア処理。イナワラなど硬い草にアルカリ処理をすると細胞膜が柔らかくなって食べやすくなるらしく昔から苛性ソーダや石灰液でやられていたとある。それをアンモニアで行うと気体なので処理が均一で、雑菌の殺菌にもなり、さらに窒素成分として餌に取り入れられるので栄養価もあがり、嗜好性も向上するとある。アンモニアは少量の場合はアンモニア水でやってもいいそうな。って事は尿素とか硫安でも出来るかと検索したら、やっぱりやっている研究があった(笑)。ただ、これらの処理にも密閉状態が必要なのは難点。
現在はスチールサイロはほとんどなく、ラップサイレージが用いられているが、それは専用のラップマシンがあって出来る芸当であり、一般にはサイレージ用の密閉出来る大きな袋は売られていない。値段とか考えたら多分ドラム缶でやった方が楽なんだろうなぁ。
Posted at 2011/11/18 23:19:42 | |
トラックバック(0) | 日記