今回は少々マニアックな話で失礼します。
Toyota iQ(1NR-FE)の吸気系における意外な“抵抗源”について取り上げてみたいと思います。
それが、こちらです。
※これはToyota純正のスロットルボディ用ガスケット(部品番号:22271-47020)です。一見、ただのシール材に見えるかもしれませんが、よく見ると吸気経路の約2/5を真鍮製のメッシュが塞いでいるのが分かります。
装着されている個所はスロットルボディと吸気サージタンクとの接続部。
※このスロットルボディの後ろですね、写真には静電気除去抑制コーティング剤のFORTEが写っています♪
【なぜ、こんなところに“網”が?】
このメッシュ構造は、以下のような目的で設計されていると考えられます。
・吸気脈動による空燃比の乱れを整える
・低回転域での燃焼の安定性を確保する
・吸気ノイズ(エンジン吸気音)の抑制
・流速の局所乱れを減らす
つまり、誰がどんな使い方をしても不具合が出ないようにという、量産車両における“保険的設計”の一部です。
しかしこのメッシュ、Air Repairが展開している最適化チューニング環境においては、もはや“足かせ”になっていることが判明しました。
【総合チューニング下では“不要”どころか“有害”】
Air Repair iQでは、以下のような多層的チューニングを実施しています。
・エアスムーサーによる吸気整流&吸気量(吸気速度も)の増大
・スロットルボディ内スロート加工
・MINICON-PRO による空燃比の最適化/ECUプログラムへの総合関与
・MINICON-α による燃料噴射タイミング制御
・MINICON-DS による点火タイミング制御および4気筒同時点火化
・各センサー・プラグ接地部へのカーボンナノチューブペースト処置
・エレスタビヒューズ・エレスタビエアフィルターの採用
・追加グラウンドケーブルによる導通強化
これらすべての対策によって、吸気系における整流や燃焼安定性、センサー応答性は純正状態とは比較にならないレベルで向上しています。
その状態であってもなお、「吸気通路の17%前後をふさぐ金属メッシュ」を残しておく理由は、もはや存在しないのです。
【メッシュを除去した結果】
メッシュ部のみを切除し、ガスケットのシール性はそのまま保持して組み直したところ、以下のような改善が確認できました:ガスケットの芯材と一体化しているため切除作業は慎重に・・・
・中高回転域でのトルク特性がスムーズに伸びる
・アクセルレスポンスがよりダイレクトに
・燃焼の安定性・始動性には一切悪影響なし
・燃料や油脂類も考慮した結果6400rpmまでスムーズにトルクのある回転上昇
これにより、純正設計とチューニング設計の明確な“目的の違い”が浮き彫りになりました。
【結論:万人向けと、性能追求の違い】
量産設計とは、「あらゆる状況を想定して不具合を出さないようにする」ことが目的です。
一方、Air Repair のようなチューニングは、「純正条件を生かしつつも特定条件下で性能を最大限に引き出すこと」が目的です。
つまり、“最適化”のためには、必要のない要素を見極め、削ぎ落とす勇気も必要だということです。メッシュ付きガスケットはその象徴的な例でした。
今後も、Air Repairではこうした量産設計の見直しポイントをひとつひとつ丁寧に検証し、必要に応じてリセットしていきます。
【編集後記】
見た目には地味でも、性能に大きく影響するパーツは意外と多いものです。特に“吸気”は空気の流れそのものなので、ほんの小さな抵抗や段差でも違いが出ます。
純正設計を疑うのではなく、「自分の仕様に合っているか?」を見直すことが、チューニング成功の第一歩なのかもしれません。
Posted at 2025/06/23 08:46:20 | |
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