歴史を訪ねる...『佐々木小次郎』— 感動のスポットへ—

歴史を訪ねる… 『佐々木小次郎』

— 感動のスポットへ—

吉川英治の小説「宮本武蔵」が刊行されてから、「巌流島の戦い」は全国的に知られるようになったかと思います。つまり、「宮本武蔵」と「佐々木小次郎」の登場です。ついでながら、武蔵が決闘にわざと遅れてきたという話は吉川英治の創作とされ、フィクションのようです。

6年ほど前になりますが、司馬遼太郎の「宮本武蔵」と村上元三の小説「佐々木小次郎」を読んでから、筆者は「佐々木小次郎」に強い関心を持つようになりました（この二冊の本は当サイトで紹介しています）。

2017年5月30日には「巌流島」を訪れ、「宮本武蔵と佐々木小次郎」の歴史に触れました…

PENTAX K-70 

そこで、巌流島の決闘及び「佐々木小次郎」をより深く調べていきますと様々なことが見えてきます… 

先ず、巌流島の決闘には、宮本武蔵は4人の弟子を連れてきていたという説があります。その資料（細川氏側の史料『沼田家記』※）によれば、武蔵が去った後、小次郎は息を吹き返しましたが、隠れて見ていた武蔵の弟子によって殺されたと記されています。

※注 ここで引用する資料に関しては、筆者は直接読んではいないことを申し添えます。本来「孫引き」と言われる手法は良くありませんが、ここは学術的な論文発表の場ではありませんのでご容赦頂ければと思います。

決闘の後、小次郎に感じ入った地元の人々が、この島に菩提を弔ったといいます。決闘が行われた巌流島はもともと「舟島（ふなじま）」という名前でしたが、佐々木小次郎がこの地で敗れたことで、巌流島と呼ばれるようになりました。その由来は、小次郎の剣術の流派が巌流（岩流）といわれていたことから、舟島を巌流島と名付けたそうです。普通であれば、島の名前は勝者に由来するところですが、敗者に由来しているのは上記のようなことがあったからだろうと解されています。つまり、佐々木小次郎が人々から畏敬の念を集めていたことが窺い知れるかと思います。

さらに、巌流島の決闘時の両者の年齢にも諸説あります… 宮本武蔵は20代だったとされていますが、佐々木小次郎は18歳、50歳代、70歳代という説まであります。

他方、佐々木小次郎の出自にも諸説あります。岩国出身説（吉川英治の小説「宮本武蔵」）、豊前添田説（平成15年のNHK大河ドラマ「宮本武蔵」等々）、越前国（福井県）出身説（『二天記』）もあります。

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このように、佐々木小次郎については謎に包まれている部分が多くあることが判りました。筆者は、ますます「佐々木小次郎」という人物に惹かれてゆきました。

そんな時「佐々木小次郎の墓」が山口県阿武郡阿武町福田下に存在する… ということを知り、急遽訪れてみることに… 

そこは山口県萩と島根県津和野の中間の奥深い場所にあり、自宅からはかなりの遠距離のところに位置しています。

現地近くには「佐々木小次郎の墓」という案内板があり、細い道を少し登ったところのわずかの駐車スペースまで進みます。

ここからは木々が生い茂っている狭い道を、案内板を頼りに200メートルほどゆっくり登って行きます… 

このような奥深い山道をひとりで歩を進める…  神秘的な雰囲気です。

歴史の鼓動が聴こえてくるかのような感覚になります…

念願の「佐々木小次郎」にやっと触れられた瞬間です…

この墓の歴史的経緯等に関しては、墓横に設置されている説明板に分かりやすく記されています…

 新たに判ったこと…  こういう歴史があろうとは…  合掌

この奥地まで訪れた価値は、筆者の中では十分過ぎるほどありました。筆者にとりましては極めて有意義な訪問であり、このような「歴史への散策」は静かな感動をもって終えることができました。この文章を書き終えた今でも「佐々木小次郎」の余韻を感じています。

written by Seikou-Udoku