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晴耕雨読のブログ一覧

2016年01月05日 イイね!

「駆けぬける歓び」... 本、読書... My breakfast...

「駆けぬける歓び」... 本、読書... My breakfast...

「駆けぬける歓び」…

 新年早々、向かった先は… 気持ちの落ち着く場所。
 ここには特別な思いがある…

 希望に向けて飛び立つスターフライヤー…
 「夢」を乗せて滑走路を走りぬけ、上昇する機影がみるみる小さくなっていく…

 正月2日、澄み切った大気の中、ここ北九州空港にBMW X3と共にいる…










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本、読書…

「生きる」という感動...


「親鸞 一、二、三、四巻」吉川英治著 1万年堂出版

 新しい年になって最初に読みたかった本がこれである。その理由は、昨年、五木寛之さんが書かれた「親鸞」※を読み、歴史上の人物である「親鸞」の生き方に強い共感と感銘を持ったからである。

※筆者註:「親鸞」((五木寛之著)を読んだ後、同著「蓮如」(岩波新書)、髙村 薫著「空海」(新潮社)を読んだ。いずれも歴史上の人物で、その生き方に惹かれたからである。いずれの作品も拙稿ブログで紹介させて頂いた。

 この本は、昨年10月から12月までに順次配本されたもので、国民文学作家として多くのファンを持つ吉川英治の作品を、単行本でしかも大きな活字で読めるように工夫された上で出版された。また、『宮本武蔵』『三国志』『新・平家物語』など、数々の歴史小説を生み出した吉川英治の小説第一作が、30歳台に書いた「親鸞記」であり、その後40歳台に書き改めたのが本書だという。

 吉川英治の美しい文章で綴られた「親鸞の波乱の生涯」が、胸に沁み入るような感動をもって味わえる。最近、「人生」と言う事を考える時間が多くなっている筆者の心情が、この作品を欲しているのであろうか… 

 ふと、人里離れた山奥にある「せせらぎ」を見ていると、気持ちが澄み切っていくかのような無心の心境になっていく… そんな物語であった。

 お薦めしたい感動の一冊である。

簡単な紹介… (第1巻の本帯より)
「平家が全盛を誇っていた頃、十八公麿(のちの親鸞聖人)は、京都の藤原家に生まれた。平安貴族の嫡男でありながら、なぜ、わずか九歳で出家したのか。得度式の前に次の歌を詠んでいる。

明日ありと 思う心の あだ桜
夜半に嵐の 吹かぬものかは
(今を盛りと咲く花も、一陣の嵐で散ってしまいます。
人の命は、桜の花よりもはかなきもの……)

比叡山で、範宴と名を改め、仏道修行へ。10年間、どれだけ勉学に励んでも、心に明かりがともらない範宴は、大和へ遊学に向かう。久しぶりに下山した京の町は、平家の滅亡とともに、変わり果てていた。人も、社会も、激しい無常の中にいることを知らされるのであった」


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直木賞候補になった作品…


「孤狼の血」柚木裕子著 角川書店

 今、本屋さんにはこの小説を見かけることが多いのではないかと思う。そして、巷間、注目されている作品の一つ。その理由は、この作品が2016年154回直木賞候補にノミネートされたからだ。

 柚木裕子さんの作品は、既に「検事の本懐」(2013年大藪春彦賞受賞)を「お薦めの一冊」の中で紹介しているが、今回が二作目と言う事になる。この作家のデビュー作品「臨床真理」(2008年宝島社主催「このミステリーがすごい!」で大賞受賞)を読んで以来、ほとんどの作品は読んでいる。好きな作家の一人で、「検事の本懐」の痛快さとその面白さは飛び抜けている。

 今回の柚木裕子さんの作品は、これまでの小説とは180度急展開したと思える趣向で書かれた本だ。ハードボイルドタッチの常識外れの刑事の動きが凄い。「こういう小説も書くんだ… 」と驚いてしまったほどだ。黒川博行氏のハードボイルド小説を読んでいるかのようなスピード感と面白さがある。

 果たして、2016年154回直木賞に輝くのだろうか… 神のみぞ知るということか…

簡単なストーリー… (本帯より)
 昭和六十三年、広島。所轄署の捜査二課に配属された新人の日岡は、ヤクザとの癒着を噂される刑事・大上のもとで、暴力団系列の金融会社社員が失踪した事件の捜査を担当することになった。飢えた狼のごとく強引に違法行為を繰り返す大上のやり方に戸惑いながらも、日岡は仁義なき極道の男たちに挑んでいく。やがて失踪事件をきっかけに暴力団同士の抗争が勃発。衝突を食い止めるため、大上が思いも寄らない大胆な秘策を打ち出すが…。正義とは何か、信じられるのは誰か。日岡は本当の試練に立ち向かっていく―。



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My breakfast


 朝食はいたってシンプル。ブラック・コーヒー※ or 紅茶(アールグレイかダージリン)、4/1に切り分けたの食パン、ヨーグルト、そして野菜サラダ(この日はたまたまなかったが)。

※筆者註:先月我が家の仲間入りをしたネスカフェドルチェ・グストで煎れたもの(既にブログでも紹介した)

 ここ半年ぐらいはこのメニューが定番になっている。毎朝4時から5時くらいの間に起床し、朝食は5時半から6時半くらいの間にいただく。朝食の前後には「読書」が付随する。朝の澄み切った空気の中でする読書は、気持ちが良く、目で追う文章が思考の世界に沁み入っていくかのように書物に耽溺する…

written by Seikoh-Udoku


Posted at 2016/01/05 16:43:15 | トラックバック(0) | 本、映画 | 日記
2015年12月25日 イイね!

映画「海難1890」... 本、読書...

映画「海難1890」... 本、読書...

映画「海難1890」…


 今この時期に、筆者の思いがこの映画を観たいと言う気持ちにさせてくれた… 歴史的事実に基づいて作られた映画なので、その説得力に重い何かが含まれていた … 真心、友情、そして感動。


 日本とトルコの友好関係の礎となったエルトゥールル号遭難事件を題材に、日本・トルコ合作で映画化されたヒューマンドラマ。



 最終シーン近くで、「私達には忘れてはならないことがある」、「語り継がなくてはならない物語がある」という言葉が印象的だった…


 この映画を通して、このうえなく心に染みわたる『真心』を感じたひとりになった…



簡単なストーリー

和歌山県沖で台風に遭遇し沈没したトルコ軍艦の乗組員たちを村人たちが救った1890年のエルトゥールル号海難事故と、イラン・イラク戦争でイランに取り残された日本人たちの救出にトルコ人たちが尽力した1985年のテヘラン邦人救出劇。日本とトルコの絆を深めた2つの事件を通して、人が人を思う気持ちの大切さを描く。



 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆



 映画鑑賞後は、サブウェイのサンドウィッチと決めている。お気に入りは、ロースト・ビーフと生ハムだが、今日はロースト・ビーフに野菜多め、ソースはわさび醤油、そしてホット・ティーを注文。
いつもながら美味しくいただいた。




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本、読書…



最新刊… 修復腎移植と震災を背景に描く、魂の再生物語



「禁断のスカルペル」久間十義著 日本経済新聞社


 最近、医療サスペンス小説に興味が向いてしまう。この小説も楽しみにしていた一冊で筆者の期待は裏切られることはなかった。と言うよりは、いくつかの場面を思い浮かべながら胸に迫るものがあった。


 「修復腎臓移植」というテーマが現実的な課題として目に見える形で登場する。主人公の女医が様々な困難な場面に遭遇しながらも、その人生を果敢に歩んで行く姿が描かれている… 

 そのストーリーが見事に最終章で結実する。「テイク・ザ・スカルペル」(メスを執れ)という言葉が出てくるが、手術の場面も詳述されていて、この種の小説としては完成度の高い作品であると思われる。


 著者の久間十義氏の作品はこれまでにも数冊読んでいるが、意欲作が多く好きな作家のひとりでもある。

簡単な紹介… (本帯より)

 自らの過ちが招いた家族との別離。生きる望みを失った女性医師が流れ着いた東北の病院で目にしたのは、卓抜な技術を持つ医師たちによる、禁断の手術だった。なぜ人は病気の腎臓を移植してまで生きねばならないのか?3・11により、一瞬にして懐かしい人々の命が奪われる過酷な体験を経て、その意味は次第に明かされる…。日経連載時に大きな反響を呼んだ、医療小説の新たな傑作!


♡ ♡ ♡ ♡ ♡ ♡



土方歳三を読む…


 「新選組」及び「土方歳三」については、本がある限り読み続けていきたい… 色々な方々が描く「新選組」及び「土方歳三」の世界を堪能したい。



「土方歳三散華」広瀬仁紀著 小学館文庫


 この作品も良かった。これまで登場してきていない土方歳三の一面を知ることが出来る。繊細な優しい気遣いをする土方歳三… また惚れ直してしまった。


 この作品では、京都から物語が進行していく。広瀬仁紀氏の描く五稜郭での土方歳三の最期が感動的。新選組及び亡くなった新選組隊士を深く思いやる土方歳三の姿が愛おしく思える。


簡単な紹介… (本帯より)

「死ぬなら戦場で死にたい」と、函館五稜郭で討幕軍に討たれた土方歳三。幕府の崩壊と共に消えた新選組の鬼副長として活躍した彼は、局長・近藤勇が官軍に投降した後も、新選組の指揮をとり、最後の最後まで戦い続けた――。頼みとする会津も敗れ、仙台で榎本武揚軍に加わる。そして、函館での凄絶な闘死。


♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢




思い出の大切な一冊...



 学部生時代にある専門科目に憧れ、勉強をはじめた頃、偶然この本に出会った…




「学問への散策」内田義彦著※ 岩波書店 


 ※筆者註:(故人)経済学者、著書多数。当時購入した本は「学問への散策」だけが綴られている単行本(岩波書店)だったが、写真はその後出版された本を再度買い求めたもの。


 当時、ある専門科目(経済学ではない)に傾倒しはじめた筆者は、この本の題名に引き寄せられ購入したもので、この著者の本が読みたかったという高邁な理由があったわけではない。ただの「憧れ」で買ったに過ぎなかった。しかしながら、本の目次を見ていくと、筆者の興味をそそる内容が詰まっていた。読んでみると素晴らしい本であった。


 今でも徒然なるままに読み直し、この本を見ているだけで遠い良き日を思い巡らしてしまう… この本は筆者にとっては、正に「思い出の大切な一冊」


For your information: below is a part of "Contents".


written by Seikoh-Udoku



Posted at 2015/12/25 05:15:00 | トラックバック(0) | 本、映画 | 日記
2015年12月22日 イイね!

BMW X3... at break of dawn. 本、読書... 小さなクリスマス...

BMW X3... at break of dawn. 本、読書... 小さなクリスマス...


BMW X3…  at break of dawn.


夜明けにいつもの道路を駆けぬけてみた…

吸い込む空気が冷たく、気持ちがいい…

着いた先は、夜明けの空が美しい場所だった…

こよなく頼りにしているBMW X3がそこにいる…











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本、読書…  




「この時代小説がすごい! 2016年版」宝島社


 この雑誌を偶然に知り、初めて購入してみた。時代小説は数としてはあまり多くは読んではいないがその味わいが好きで読んでいる。色々な時代小説が紹介されているので、このジャンルの小説を好む方には便利な雑誌であろうと思う。


 さて、この雑誌の中で筆者が興味を持ったのは「2016年版の時代小説ベスト20」。文庫本と単行本をそれぞれランク付けされ、解説付きで紹介されている。選考の対象になった本はと言えば、「2016年版時代小説 : 2014年10月から2015年9月までに出版された時代小説と定義されている


 「時代小説 単行本ベスト20」を見てみると、筆者が読んでいる本は皆無だった。その理由は既述したように、選考対象の本が、上記の下線に示された限られた期間に出版された新刊本に限定されているからだと思う。それでは「ベスト39」まで広げてみると… 筆者が読んだ二作品が入っていた。

22位 「ラ・ミッション 軍事顧問ブリュネ著

佐藤賢一著 文藝春秋
27位 「土方歳三 上下」富樫倫太郎著 角川書店

 この二作品はとても面白く読めたので、拙稿ブログに「お薦めの一冊」として紹介させて頂いた。両作品に共通するテーマは「土方歳三」。


 富樫さんの作品は正統派の「土方歳三」を十分満喫できたし、佐藤さんの作品は、「激しく揺れる幕末の日本を、フランス人の目から描いた意欲作」で、小説では主人公ではない「土方歳三」について、佐藤さんの描く世界が独創的で面白い。「土方歳三」をこよなく愛する筆者としては、両作品ともベストな小説として位置づけている。


 この雑誌は「斜め読み」したが、多くの意欲的な時代小説の存在を知った。未だ読んでいない注目を引いた作品が幾つかあったので、筆者の読書ノートに記載し、新年早々からでも読もうと思っている。時代小説好きには便利な情報源だと思う。


♧ ♧ ♧ ♧ ♧ ♧


味わい深いミステリーを読む…


「血の弔旗」藤田宜永著 講談社


 藤田宜永さんの作品は、今年6作品前後は読んでいるいると思う。拙稿ブログ内でも綴ったように「大人の恋愛」の物語とその描写が筆者にはしっくり来るものがある。


 一方、ミステリーものも気に入っている。今回お薦めする作品は、本格的な犯罪小説ともいえるもので、たいへん面白く読ませていただいた。


「戦後70年--- 犯罪小説はもう一つの戦後文学になった。1944年から1981年へ。ある犯罪者が駆け抜けた昭和とは…」(本帯)


簡単な紹介… (本帯より)

 1966年8月15日、根津謙治は目黒区碑文谷二丁目にトラックを止めた。現金11億を奪うためだ。戦後の混乱期に金貸しを始めて財を成した原島勇平の屋敷で根津は居合わせたクラブのママを射殺する。カーラジオからはローリング・ストーンズの『黒くぬれ!』が流れていた。14年の歳月が過ぎ、新たな事件が彼らの身の周りに次々と起こる。「誰が何のために?」混乱と疑心暗鬼の中、根津は煩悶する。袂を分かった男たちの軌跡が再び交差する時、戦中、戦後を生きた人間の業と事件の真相が明らかになる―。昭和の時代と風俗を克明に描写した熱き犯罪小説。



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小さなクリスマス…

辺りはすっかりクリスマス気分…

クリスマスの温かさが感じられる…

まもなく過ぎゆく2015年の思い出をトランクいっぱいに詰めて、輝く2016年の扉が開くのを待っている…


ひとりごと…

 クリスマスが近づいてくると、山下達郎さんが唄う「クリスマス・エクスプレス」の曲が流れていた頃を懐かしく想い出す… あの気持ちを今も忘れていない...

written by Seikoh-Udoku


Posted at 2015/12/22 04:56:12 | トラックバック(0) | 本、映画 | 日記
2015年12月15日 イイね!

Mercedes-Benz C200... at my favorite spot ③ 国際政治研究...(本、読書)

Mercedes-Benz C200... at my favorite spot ③ 国際政治研究...(本、読書)


Mercedes-Benz C200... at my favorite spot ③

 このシリーズ最終回。三回にわたって登場したこれらのスポットは、以前BMW X3を主役としてブログ・アップしています。今回の主役は『Mercedes-Benz C200』。SAV(Sports Activity Vehicle)とセダン、それぞれの特徴・持ち味が明瞭になっているように思えます。

 この三箇所の場所は、徒然なるままに気がついたらこれらのスポットに来ていたと言う事もしばしばあります。筆者にとりましては、心おきなく寛(くつろ)げる憩いの場所と言えます…










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国際政治研究…  (本、読書)



歴史上のリーダー…. 



 国際政治を研究していくと、そこには必ず政治のリーダーが存在する。そのリーダーの持つ「政治的な位置や思想、イデオロギー等」を支持する、しないに拘わらず、その立場を超えてその人物の軌跡を辿っていくことは、「歴史」を知る上で極めて有意義であると思う。



「趙紫陽 極秘回想録 天安門事件「大弾圧」の舞台裏!」

趙紫陽、バオ・ブー / ルネー・チアン / アディ・イグナシアス 光文社


 16年間にわたって自宅軟禁され、2005年1月17日に北京で死去した人物がいた… 趙紫陽その人である。


 趙紫陽氏は1980年代には国家の経済運営の責任者として、また政治改革のリーダーとして指導力を発揮し、1987年総書記就任。1989年、天安門事件後すべての職を解任された。






在りし日の趙紫陽氏…  (本掲載の写真より)

            


 趙紫陽氏の肉声がこの本を通して読める、世界に初公開された稀少価値の本といえる。筆者はこの人物にはたいへん関心を持っていたので、このうえなく興味深く読むことが出来た。「趙紫陽」という政治リーダーは、激動の中国の中で一つの歴史を担った事は忘れることはできない。


簡単な内容… (本帯より)

「民主化運動を支持し、権力闘争に敗れて追放された趙紫陽は、その渦中で何を見、何を考え、どう行動したのか? 本書は、軟禁状態のままこの世を去った”国家の囚人"が、大弾圧決定にいたるまでの生々しい舞台裏を明かすとともに、中国の変わるべき姿を問いかけ続けた、命がけの、世紀の"遺言"である」


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この味から離れられない…



 先日、数年ぶりか一風堂のラーメンをいただいた事を書きましたが、それ以来「ラーメン」の味が忘れられなくなってしまった。

 事情により、ここ数が月ほどは「ラーメン類」は控えてきたが、食の誘惑に抗しきれずに、遂に2週間に一度ぐらいを目安にいただくことにした。

 今回、余さずいただいたのは『チャーハンとワンタンスープ』。得(え)も言われぬおいしさでした。


Posted at 2015/12/15 08:21:55 | トラックバック(0) | 本、映画 | 日記
2015年12月12日 イイね!

Mercedes-Benz C200... at my favorite spot ② がん治療の最先端をえぐり出す医療サスペンス...

Mercedes-Benz C200... at my favorite spot ② がん治療の最先端をえぐり出す医療サスペンス...


Mercedes-Benz C200… at my favorite spot ②


 晴天の下、水平線を遙か遠くに見える岸壁での被写体は、爽やかな雰囲気を創り出し、愛おしく思える… 





そこに佇んでいるのは『Mercedes-Benz C200』

そこには、筆者だけが耽溺している世界がある…










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がん治療の最先端をえぐり出す医療サスペンス…



最新刊...  『虚栄』久坂部 羊著 (角川書店)を読む...


 この小説の持つ「意味深さ」及びその面白さに圧倒されてしまった。これほどの迫力をもって読ませてくれた作品は、そう多くはないと思われる。お薦めしたい一冊と言える。テーマは「がん治療」。久坂部 羊氏の描く「白い巨塔」とも言える作品。

簡単な紹介…(本帯より)

「凶悪化がん治療国家プロジェクト「G4」の発足に、外科医・雪野は期待を抱いた。手術、抗がん剤、放射線治療、免疫療法。四グループの邂逅は陰謀に満ちた覇権争いに発展。がん医療の最先端をサスペンスフルに描く! 」


 ストーリーの絡みの中で、現在行われているがん治療である ⓵ 手術、⓶抗がん剤、⓷放射線治療、⓸免疫療法について、それぞれの治療方法の長所、短所が詳細に説明されており、がん治療の実務的な現状が理解出来る。

 さらに、近年話題になっている近藤 誠氏が唱えていると思える学説も随所で触れらている※ ⓐ。つまり、この小説の中で「がん治療の現状」と「近藤 誠氏の考え方」を出来るだけ客観的に描き出していることについて「フェアー」な立場をとろうとする著者の姿勢に共感を覚えた。それというのも著者の久坂部 羊氏※ ⓑは医師でもあるからである。

註 ⓐ : これは小説なので、当然ながら近藤氏の実名は出ていないが、筆者がそうであろうと想像している。また、この考え方には医学界及び医師の間では異論も多い。              
 近藤 誠氏:  医師、元慶應義塾大学医学部専任講師。現在は近藤誠がん研究所所長。著書として「がん放置療法のすすめ」(文藝春秋)、「『余命3ヶ月』のウソ」(ベスト新書)、「抗がん剤は効かない」(文藝春秋)、「放射線被ばくCT検査でがんになる」(亜紀書房)、「あなたの癌はがんもどき」(梧桐書院)その他著書多数。

※ 註 ⓑ:小説家、推理作家、医師。医療サスペンスの著書多数

 大阪大学医学部卒業。大阪大学医学部付属病院にて外科および麻酔科を研修。その後大阪府立成人病センターで麻酔科勤務他。在外公館で医務官として海外に勤務したこともある。



久坂部 羊作品との出会い…


 2003年の久坂部 羊氏のデビュー作品「廃用身※ ⓒ」を読んでからだ。この小説は、衝撃であったし、テーマも興味深かった。以降、多くの久坂部作品を読了している。

※ ⓒ 註:脳梗塞などの麻痺で動かず回復しない手足を言う。


簡単な内容… (本帯より)

「神戸で老人医療にあたる医師漆原は、心身の不自由な患者の画期的療法を思いつく。それは廃用身の切断だった。患者の同意の下、次々に実践する漆原を、やがてマスコミがかぎつけ悪魔の医師として告発していく―」







★ ★ ★ ★ ★ ★



「事実は小説よりも奇なり」…

The fact is stranger than fiction becomes.




 
 小説「虚栄」は、ストーリー展開も迫力があり、久々の医療サスペンスの醍醐味を味合わせてもらった。一方、「がん治療」及び「最先端医療」の現状を、学術書のように読むことが出来たのは満足感に充たされた。



 今ある、そしてこれから出現するであろう多種多様な治療方法・薬・先端医療技術等が、「がん治療」という目標の下に『止揚※』され、必ずや『がん克服の日』が来ることを祈りたい。


※ 筆者註:止揚とは…

ドイツ語の「aufheben」。ドイツの哲学者であるヘーゲルが弁証法の中で提唱した概念。「aufheben」には廃棄する・否定するという意味と保存する・高めるという二様の意味がある。つまり、古いものが否定されて新しいものが現れる際、古いものが全面的に捨て去られるのでなく、古いものが持っている内容のうち積極的な要素が新しく高い段階として保持されることをいう。



Posted at 2015/12/12 05:41:48 | トラックバック(0) | 本、映画 | 日記

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晴耕雨読と申します。 趣味を楽しみながら、日々暮らしております。 ブログは自動車に限らず、様々なことに関して書いてありますので、ご興味のある方はご覧頂け...
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