地上を走行する車輪の付いたものを車と表現するならば、今の最高速度記録はThrust SSCが1997年に記録したマッハ1.016(Flying mile :1227.985 km/h (763.035 mph)/Flying kilometre:1223.657 km/h (760.343 mph))です。音速は時速1225km(標準大気圧で)。
F4ファントムのエンジンを台車に載せて走行。FIAの記録で認定されるには規定された距離内で走行し、停止できなければいけないのでハードルはかなり高いものですね。
この記録は未だ破られていません。
次の動画はちょっと感動ものです。音の壁を超えた時の衝撃波(ソニックブーム)の音と歓喜のスタッフ。写真では砂漠に衝撃波が写っています。
こちらは交信の動画
そして、いま記録を狙っているマシンが数日前にテストで時速1010Kmを記録しています。こちらはエンジンは1基。
これら車(?)の凄いところは地上で目指すというところ。空気はご存知の通り高度が低いほど空気の自重で密度が高い(気圧)んですね。だから空気抵抗も揚力も最大なんです(成層圏近くのマッハ地上とはまた違う条件です)。紙飛行機が地面近くで距離が伸びるのは自重により空気が圧縮されてその上に乗るからなんですね(その親玉がスペースシャトル)。
空気抵抗を抑えながらダウンフォースを最大に得る。かなり難しいです・・・
そして、その超高速の車輪を接地感を確かめながらコントロールする操作技術。おそらく航空機より難しいかと・・・
単純に一部だけから空気抵抗や揚力や、空気による抗力を議論すると間違え易いので要注意です。最大目的は機体(車体)をどのようにしたいのか?そこを空力的観点からみて、全体での特性をイメージしてそれを壊さないように多角的に空力負荷物を調整してやる。あと、忘れやすいのが空気の内部抗流。冷却や空調の為に取り入れた空気ですね。エンジンルーム内の空気、ダクトから入った室内の空気。全体の空気の流れに対してどのように影響があるか?大小は?無視できるか?等等多角的な見方が空力に関しては必要になります(静電気チューニングも本来の目的は流体への影響を考えてです)。
※音は空気の振動です。自分の発した音が空気を伝わって前方にも伝播しています。速度を上げれば上げるほど自分の前方に空気が圧縮されると、音の波も圧縮されます。マッハ1の直前にはその波が一つに圧縮されて壁になります。これが音の壁=マッハ1です。この壁を破る時に空気の破裂が発生して衝撃波が生まれるのです。この威力は凄まじくて低空飛行で音速を超えた時に衝撃波を受けた建物のガラスは粉砕される事もあります。
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空力 | 日記
Posted at
2019/11/25 12:28:04