アメブロからの転載・・・
MotoGPなどでおなじみになった「脚だしコーナリング」。
始まりは確かバレンティーノ・ロッシ選手。
ケニー・ロバーツ選手のハングオンライディング以来の革新的なライディングですよね。でも私、よくある説明の多くに違和感を感じるのです。
よく解説では「足を出すと重心が下がる」と言われることが多いですが、これは大きな誤解です。
二輪における本当の重心操作
レース中、シートにドカッと座るのはストレートくらい。
実際のコーナリングでは中腰に近く、体重の多くはステップにかかっています。
・中腰+ステップ荷重 → 重心はステップ位置に移動。
・座ったまま足を出す → 重心はシート下に残り、不安定。
つまり脚を出す意味は「低重心化」ではなく、
反対側の内ももやくるぶしでマシンを押さえ、
ロール軸に対して素直に寝かせるためなのです。
マン島TTのような公道レースでは、路面のギャップを体で吸収する必要があるため、中腰姿勢は必然。
これは公道特有のライディング様式です。
そのうえでサーキットにおいては脚を出すことでマシンを安定させながらスムーズにバンクさせられる。
※2015マン島TTにおけるJames Hillier選手(KAWASAKI H2R)
ケニー・ロバーツとハングオンの誕生
1970年代、アメリカのダートトラック出身だったケニー・ロバーツは、この「足だし」ライディングをベースにロードへ挑みました。
彼が編み出したのは、足を出さずに体全体をイン側に落とし、外足でマシンを押さえるという方法。
これが「ハングオン」という新しいライディングスタイルの誕生です。
つまりハングオンは、ダートの足だしコーナリングとロードのリーンインの融合だったのです。
その後、このスタイルはロードレースの主流となり、現代のライディングへと受け継がれています。

※ケニーロバーツ選手

※私の唯一残るライディング時の写真/この時はマン島参戦が目標でした
四輪への翻訳──Air Repair iQのセッティング
四輪では、ライダーのようにステップ荷重を直接使うことはできません。
そこで私はブレーキ特性そのもので二輪的な荷重操作を再現しています。
リア:初期制動が強いジムカーナ用パッド → 踏んだ瞬間にリアサスを沈め、姿勢を安定。
フロント:耐フェード性の高いレース用パッド → 初期は穏やかに立ち上がり、ノーズをじわり沈める。
操作:左足ブレーキ+右足スロットルで、減速Gと駆動Gを綱引きさせ、旋回姿勢を自在にコントロール。
これにより、二輪でいう「前後ブレーキを使ってサスを同時に沈ませ、安定状態を作る」感覚を、四輪で再現しています。
まとめ
脚だしコーナリングの本当の意味は「重心を下げる」ことではなく、
ステップ荷重を通じて正しい重心位置を作り、マシンを素直にロールさせることにあります。
ケニー・ロバーツはそれを進化させてハングオンを生み出し、バレンティーノ・ロッシ選手に始まる現代のライディングに繋げました。
そして私は、その二輪的な思想を四輪セッティングに翻訳し、Air Repair iQに落とし込んでいます。
走りの本質は「荷重と重心の扱い方」。
それは二輪も四輪も同じです。
Posted at 2025/09/12 18:46:05 | |
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