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さんちゃん?のブログ一覧

2025年11月23日 イイね!

サンドロ・ムナーリとランチャ・ストラトス

”Air Repair iQと私が気づいた“構造的な共通点”

昔のラリー映像をぼんやり眺めているだけなのに、
なぜか心が熱くなる瞬間があります。

その理由の一つが、
サンドロ・ムナーリという名ドライバーと、
彼が操ったランチャ・ストラトス。



ストラトス自体が好き──というより、
あの“クセの塊のような車”を、構造ごと飲み込んで走らせるムナーリの技術
に強く惹かれてしまうのです。

■ ストラトスは構造的に「曲がらない車」だった

ストラトスを技術目線で見ると、
実は“美しく曲がるための条件”をほとんど持っていません。

・ホイールベース:2160mm(極端なショートWB)
・前後重量配分の偏りでヨー慣性が不足
・アッカーマン角度が弱い(舵角に対して回頭の立ち上がりが遅い)
・サスペンションジオメトリーも古典的
・タイヤ・ショック・LSDは現代基準ならローテク

つまり、構造そのものが
「最初の一歩が曲がりにくい」方向を向いている車です。

それなのにムナーリのストラトスは、
あれほど滑らかに、軽やかに方向を変えていきます。

■ ムナーリは“舵角で曲げない”。構造を読んで走らせる

ムナーリの操作には、現代のラリードライバーにもない特徴があります。

・舵角を入れる前に荷重線を動かしておく
・ヨーが立ち上がる前に“予荷重”で姿勢を作る
・タイヤが発生できる回頭Gの限界を理解している
・アッカーマン不足による初期アンダーを“姿勢で無効化”する

つまり、

ハンドルではなく“車体の物理構造”で曲げている。

だから中速域の90度やR60コーナーでは、
驚くほど美しいドリフトラインを描くのです。

■ ただし──ヘアピンだけは美しくならない

ここが私の大きな気づきでした。
ムナーリのストラトスでさえ、ヘアピンやフルターンのような極低速の回頭
舵角が大きい領域、一気にヨーを立ち上げる場面になると、姿勢の滑らかさが少しだけ崩れるのです。

その理由は明確で、
アッカーマン不足+ショートWBでは
大舵角域が構造的に“回頭効率が落ちる領域”だから。

私は当初、
「ムナーリでもヘアピンは美しくできないのか?」
と不思議に思いましたが、

技術的に考えるほど「そりゃそうだ」と納得しました。

ストラトスの“最も苦手な領域”が、
たまたまヘアピンだっただけの話なのです。

■ ……そこで気づいた。

Air Repair iQも、まったく同じ構造特性を持っている。

iQを競技車として扱い始めた時、
私は強い違和感を覚えました。

・アッカーマンが明確に弱い
・ショートWBでヨーモーメントが極小
・舵角に対する回頭Gの立ち上がりが遅い
・大舵角では“回りたがらない”区間が存在する

さらに、サイドターンでCT9AやGC8のように、ミラーの位置を支点にくるっと回す動き」を作ろうとしても、これはほぼ不可能。

むしろ、

大舵角を入れると“回頭が鈍る”ので、ノーズ軸で方向を変えるほうが速い。
これを理解した瞬間、私はストラトスとiQの構造的な共通点に気づきました。

■ “曲がらなさ”を受け入れると、姿勢と荷重の世界が一気に開ける

ストラトスもiQも、ヘアピンが苦手な車です。

けれどその“構造的な苦手さ”を理解すると、
逆に中速〜高速のRコーナーでは
驚くほど滑らかに走れるようになる。


舵角は最小限

荷重線の落ち先がそのまま回頭軌跡になる、そこからヨーの立ち上がりを“予測”できる、そしてその姿勢がそのまま“操作”となる。



この世界は、車の弱点を“無理に補う”のではなく
構造そのものを味方にする世界です。

ムナーリのストラトスも
私のAir Repair iQも
ここに共通点がありました。

■ ムナーリと私は、結果として同じ哲学に辿り着いていた

それは技術の話ではなく、
構造理解と感性の話です。

・弱点を隠すのではなく、読み解く
・操作ではなく姿勢で曲げる
・車と対話するように“予測”する

物理を裏切らず、車の性格を尊重する、ムナーリがストラトスで見せた美しさは、
まさにこの哲学そのもの。

iQでも同じことが起こると気づいた時、私は“構造を読む”ことの面白さを、あらためて感じました。

■ 結び:美しさの正体は、弱点と向き合うことだった

ストラトスと iQ。
時代も用途もまったく違う車なのに、なぜか同じ“理”が流れている。

その理由はやはり、車の弱点とまっすぐ向き合い、その構造を味方にした時に、
本当の美しさが現れるから。

ヘアピンでの「美しくなさ」は、むしろその車が持つ“構造の真実”を教えてくれた。

そしてその先にある“姿勢で曲げる世界”がストラトスにも、Air Repair iQにも存在していたのだと思います。

これからもその世界を
少しずつ深めていきたいと思います。
Posted at 2025/11/23 19:45:18 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記
2025年11月21日 イイね!

全ては相対関係の上にある──データを信じるほど見えなくなるもの

A/F計、吸気温センサー、水温、スロットル開度。
現代の車は、あらゆる数値をリアルタイムで表示してくれる。
けれど、その数字は「真実」ではなく、ある一瞬の状態にすぎません。

吸気温が同じでも、外気温や走行風の条件が違えば、
実際の吸気密度も燃焼状態も変わってきます。
同じ14.7でも、“その14.7がどんな環境で得られたか”が重要なんです。

数字を信じ切ると、相対関係が見えなくなります。
たとえば真冬のキャブセッティングで「完璧」と思っても、
夏になれば濃くなり、エンジンは重くなる。
それは、温度と密度の関係を“数値そのもの”で見ようとするからです。

本来、セッティングとは「数字を合わせる作業」ではなく、
温度・圧力・信号・燃焼の関係を整える作業です。
エンジンも、路面も、ドライバーの感覚も、
常に相対関係の中でバランスを取りながら動いている。

私はその関係を“整える”ことで、
ECUやキャブの制御が最大限に働く環境を作っています。

数字は参考であって、答えではない。
真のチューニングは、流れを読むこと。
そこにこそ、Air Repairのチューニング思想があります。





Posted at 2025/11/21 21:27:32 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記
2025年11月19日 イイね!

iQ…なんて奥が深いんだろう。13年目にして目から鱗の体験!

この間、カーボンナノチューブペーストを処置した“HIDユニット後ろの純正アースポイント”。
今朝の静電気除去抑制コーティングのメンテナンスのため、早朝に洗車場へ向かったとき――
車両のすべての動きが一段レベルアップしたような感覚がありました。

作業を終えて帰宅する道中でも、そのフィーリングはずっと続く。
加えて、静電気除去抑制コーティング特有の走りのスムーズさ、ハーシュネスの低下、走行ノイズの少なさも、はっきりと体に伝わってくる…。

「なんで気になり始めた頃にやっておかなかったんだ?」
そう思うほどの変化でした。

帰宅後に回路図とにらめっこしながら、信号経路や特性を整理して気付いたのが――
このアースポイントの重要性!

ECUをはじめ、A/F、点火時期、スロットル開度、燃料噴射…
全部の制御の根っこに関わる場所じゃないか!
そりゃ変わるわ…と、思わず苦笑い。┐(´д`)┌

付き合い始めて13年。
ほぼ毎日触れて、考えて、ようやくたどり着いた今の領域。
もし早い段階でこのクルマを降りていたら、きっと一生気付けなかったでしょう。

やはり――
探求し続けることは、人生において本当に大事だ。
Posted at 2025/11/19 13:32:29 | コメント(1) | トラックバック(0) | 日記
2025年11月16日 イイね!

追悼走行会と空力テストの成果 ― セントラルサーキットにて

昨日は兵庫県の奥地(笑)にあるセントラルサーキットで、知人の追悼走行会でした。
病気でお亡くなりになった方なのですが、葬儀がご親族のみだったこともあり、氏に近い方々が「皆で送りたい、追悼したい」と企画された走行会です。

走行会1枠は私が走る通常のスポーツ走行、走行枠2はナンバー無し車両を含むクラシックレーシングカー主体の枠でした。

二十数年ぶりのセントラルサーキット。
「こんなに山奥だった?」と、まるで全てが初めての感覚。コースレイアウトもほとんど覚えておらず、1コーナーだけ何とか覚えている程度でした。

起床はいつもと同じ4時。
片道約260kmのドライブですが、そのままのドライブ感覚では意味がないので、現在開発試験中の空力特性改善策のインフォメーションを確かめながらの移動。

うん、なかなか良い。
路面のアンジュレーションに正確に車が追従する(安定しないという意味ではない)。
以前よりもマフラー音やSタイヤ特有のロードノイズの聞こえ方、車体に伝わる微振動の再現性が増した。

ローファイナル&クロスレシオでも、新名神や中国道の登り坂で6速80km/hはシフトダウンしたくなるのですが、そのまま走行できるし、シフトダウンしなくともゆっくりならば加速できる。

自動車業界ではCd値ばかり言われますが、私は航空機における

・翼前縁のバウンダリー・タービュレーター
・翼根の渦生成タブ
・航空機腹下のフローガイド

をベースに考えています。
今度のスラG練習会で、車体の構造理論と併せてのテスト結果を基に特許庁への申請を行う予定です。

さて、現地入りした時間にはすでに受付が始まっており、急ぎ走行準備をしてご遺族や主催スタッフの皆様にご挨拶。










混走なので100%近い走りは行わず、現在テスト中の内容に必要な検証に集中。







結果は大成功。
タイヤの内圧セッティングも変えたのですが、空力特性改善策&構造的チューニングの効果もあって、走行後の内圧上昇率も理想的。溶け方も理想的。
さらにタイヤ4本の温度がほぼ同じで、トレッド面の外・中央・内すべてが1.5℃範囲内!









AIで結果分析させたところ、メーカー開発現場でもここまで揃う例は稀とのこと。
吸気負圧は 1.16kPa、回転数は 6515rpm を記録。この車の上限回転数としては記録かもしれません。

昼休憩後は、走行会枠2の車両グリッド整列をお手伝い。
クラシックレーシングの爆音は本当にすさまじいですね(笑)





ロータリー、DOHC、OHV、OHCと関係なく、皆それぞれ素晴らしい音と速さ。
亡くなられた氏が愛した世界そのものです。

空から現世の我々を見守ってくださいね。
今回の走行会を企画された皆様、そして走られた皆様、お疲れ様でした。
氏のご遺族の皆様、これからもこの世界をよろしくお願いいたします。
Posted at 2025/11/16 09:39:13 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記
2025年11月12日 イイね!

車両運動構造と気流の相関について、試験中の経過報告です

現在試験中の車体下部の気流の乱れから車体後方にできる反転流(渦)の対策試験のCFD解析図をAIの協力のもと作成しました。



左図:車体表面の代表的ポイントにタービュレーター設置と、ドロップダンサー2による静電気抑制コーティングを施した状態のCFD解析。

右図:今回の試験的に左図の内容+車体下部の気流対策を行った状態のCFD解析。

車体下部の流れを整えることにより、後部で発生していた反転流(渦)の規模が大幅に減少しているのが確認できます。
この考え方は、航空工学における翼端部の気流制御の考え方を応用したものです。

この変化は、車体後方での空気の巻き込みを抑えることで後方圧力の回復を促し、
結果として「車速の伸び」や「直進時の安定性向上」につながります。

重要なのは、この効果がいわゆるウイングやカウルによるダウンフォース依存の安定化ではないという点です。
車体前後のダウンフォースバランスにはほとんど影響を与えず、
あくまで流れそのものの整理と整流によって得られる自然な安定性の向上です。

風を「押さえつける」よりも、
風に「逆らわせない」こと。
それが、Air Repair の考える“整えるチューニング”です。

※左図の条件のなかにはアルミテープによるバンパー部の静電気除去も含まれています
Posted at 2025/11/12 19:18:50 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記

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「帰路であまりにもの空腹感に負けてかつやに寄る」
何シテル?   11/24 17:34
さんちゃん?です。よろしくお願いします。車好きが高じてサラリーマンをやめてしまいました。プロジェクトμさん、KYO-EIさん、TOMMYKAIRAさんの商品を上...
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