sportsユースの車を造る(セットアップ)を行うにはスポーツ走行を行う基本的な知識(実践能力)と、車の動きを感じてその事象に対しての観察と考察が行えなければいけないのです。
Gr-Bの生き残りマシンたちが、2000年代もヒルクライムレースで活躍しているのは、まずはベースが当時のスペシャルな技術の頂点にあるマシンであることで、それに加えて今の知見のある実力者が現代のモディファイを行っているからなんですね。このPRO SPEEDのS1E2の空力的モディファイもかなり理想的です。ウイング形状に角度、取り付け部分からの距離は絶妙ですよ。
公道をステージにした舗装競技の場合はアウトインアウトを詰めるタイプのサーキット走行のセオリーは危険な場合があります。バンピー、舗装の質の変化、地下水、左右前後の勾配が絡んできますから縦Gやトラクションを意識した操作が必要になるんですね。跳ねた後、接地後のトラクションのかかり具合や前後のヨーの変化など・・・
それらの動きには、巷で言われているアンダー傾向やオーバー傾向という表現や感じ方は合致しません。それに捉われていたら車を造りこむ事ができなくなるんです。
私がGC8のA4車両、CT9AのN4車両、iQと乗ってきて、一番面白かったのがiQなんです。この車の特性はかなり面白いんですね。電子制御に関してはCT9AのACDの考え方が生かせるので、動きをきちんと分析できて、そこから逆算的思考で考えていけば結果が見えてくるのです。Air Repair iQはそうやって造りこみました。
ナーバスながらも旋回能力は高く、若アンダー傾向できっかけを与えればリヤが出る。ただし、ショートホイルベース&FFミッドシップ気味なのでリヤが流れたと感じてからの修正を行うと手遅れ。そうなる手前で処理を行わないといけません。カウンターステアまで必要になる場面だとスピンさせた方が良いですね。横転の可能性もありますから。これAir Repair iQの特性です。乗った事のある車の中ではABARTH595competizoneのLSD入りが近いかな?
各部の動きが正確にドライバーに伝わらなければ危険なので、各部のレスポンスに重点を置いた造りこみをして少しずつモディファイを行ってきました。車検が通るのを前提に(車検を無視すれば苦労はしない車造りができます)。
静電気や発生する磁場によって起こる空力的な事や電気システムへの影響も無視できないレベルで影響がありますし、機械的な基本チューニングも非力な車故に必要なのがiQという車。ただ、残念なのが世界的に愛好者は多いけれど、マーケットとしては成り立たないというところですか・・・
Posted at 2020/04/14 10:31:55 | |
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