車はハンドルを切るとなぜ曲がるのか?
平面的に観た場合の力学的(?)な部分の紹介からパワステのメカニズムについての動画があるのでご紹介(前にも紹介したことがあるはず・・・)
荷重移動やアラメイントの調整、グリップバランス、ヨーモーメントの変化、足回りのセッティング等々がありますが、基本概念として後輪の軸線とハンドルを切った際の右前輪の軸線と左前輪の軸線を伸ばしていった先に交点がある、という認識がないと無意味な味付けになってしまうんですね。
タイロッドエンド、タイロッドの位置関係がとても重要だということがわかります。これを押さえた上でキャスター角やキャンバー角の変更が出てきます(ただ、このあたりは机上で考えるよりはタイヤのトレッド面の温度分布やドライバーの技量で変化があるので実走行でトライ&エラーで決めた方が良いかも)。
iQはノーマルの段階でタイロッド周りの取り合わせの設計やステアリングラックの位置などがかなり考えこまれた設計なんですね(センターアッパーマウント方式)。
DC5時代のインテグラなども同様な手法が取られているのですが、ホンダの場合はサスがストロークするたびにストラットの曲げ方向、ラックにとっては上下の首振り方向に入力が来るんです。これは操作する側(セッティングする側)にとっては厄介なんです。
iQの場合はステアリングラックの位置を高く設定する事によってこの応力を軽減させる事を実現しているのです。
私がノーマル形状サスペンションに拘っている理由はここなんですね~
車高調ユニットを考えた際、タイロッド系を下に下げてやる、もしくはシェルケースを上方向に伸ばす必要があるんです。
タイロッド系の位置を変えると、旋回途中状態にある時の路面状況の変化による応力やそれに起因するアラメイント変化があると、不自然な挙動が生まれて限界時にドライバーが対応できなくなる恐れがでるんです。
ショックアブソーバーを上方向に伸ばすという事はショートストロークになるので路面追従性が悪くなるんです。下手すれば弾き飛ばされる感じ?
私が取った方法はダウンサスを使う方法。
ただ、単純に吊るしのダウンサスを使うのではなく(売られているものは100でデータを取っているので数十キロ重い130では高荷重時に潰れてしまう・・・ストリートだと持ちますが)、ヘルパースプリングとメインスプリングを一本としてつなげる方法で完成車メーカーの試作スプリングを製作しているメーカーさんと意見交換をして作りました。
純正形状のショックアブソーバーの形を変えずにストロークもそのままで車高を落とす(当然減衰特性は考えます)。
四角に近いiQは、。ストロークを短くする(バネが硬すぎたり柔らかすぎると)と旋回時にFrイン側が簡単に浮き上がります。Frのレートが低いと対角のRrが浮きます。浮くとS-VSCが介入するので失速(気持ち悪い感覚)するのです。
走行レベルを上げていくような考え方からすると、通常の考え方で弄り間違うとノーマルよりも走行性能が落ちる状況になる車両なんですね。iQって・・・
私が競技ドライバーであり、メーカー出身で競技系車両の煮詰め方を知っていたからこそ、今の形を造る事ができたんだと思います。
もっと米国のScion乗り、EUのiQ乗り、香港のiQ乗りがまともに活発化してくれたらな~と思います(笑)。(今月は初RESPONS RINGが米国に旅立つ)
Posted at 2020/12/01 09:39:42 | |
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iQそのもの | 日記